工事が終わったのに、思っていた仕上がりと違う。伝えても、直してもらえない。
先に結論です。同じ「納得できない」でも、それが書類に書いてあるかどうかで、進め方がまるで変わります。
元大工見習いと、ホームセンターの売り場に8年いたおさむが、不満の型ごとの動き方と、業者が動いてくれないときの公的な窓口を中立にまとめます。窓口と手続きの情報は、住まいるダイヤル(住宅リフォーム・紛争処理支援センター)と消費者庁の公式ページで確認しました(2026年8月14日に照合)。
まず、不満の「型」を分ける

直してほしいと伝えても話が進まないとき、よくあるのは「納得できない」をひとかたまりのまま渡している形です。
受け取った側は、どこから手を付ければいいのか分かりません。返事があいまいになるのは、そのためでもあります。
分け方はひとつでかまいません。その不満が、どこかの書類に書いてあるかどうか。ここで4つに分かれます。
① 書いてある内容と、実物が違う
品番、色番号、寸法、工事の範囲。契約書や見積書、図面に書いてあることと目の前の物が食い違っているなら、いちばん動かしやすい型です。
やることは、突き合わせです。契約書・見積書・図面を並べて、どの行と、どこが違うのかを1つずつ特定します。
住まいるダイヤルの相談事例でも、リフォームでもめたときの回答に「契約の解除や損害賠償請求ができる場合については、契約書に規定されているので、まずは契約書を確認してください」という一文があります。書類が出発点なのは、公的な窓口でも同じです。
ここで手が止まるのが、見積書が「◯◯工事 一式」だけの場合。突き合わせる相手がいないので、違うと言うための材料が出てきません。見積書の読み方は リフォーム見積もりの見方|「一式」に注意、契約書のどこを見るかは リフォーム契約書の注意点・チェックポイント にまとめました。
② 書いていないけれど、うまく使えない
水がうまく流れない。戸が最後まで閉まらない。雨のあとに濡れている。
この型は、好みの話ではありません。書いていなくても、住むのに困っているという事実がそこにあります。
ただし、原因の切り分けが先です。もとからあった建物側の傷みなのか、今回の工事で起きたことなのか。ここが決まらないうちに「そちらのせいだ」と言い切ると、話が正面からぶつかります。
自分で判定しようとしなくて大丈夫です。このあと紹介する住まいるダイヤルは、建築士が電話で応じる窓口。この切り分けの相談先になります。
なお、仕上がりの下に隠れる工程が省かれていないかという心配は、別の角度の話です。リフォームの手抜き工事の見抜き方とやり直しのさせ方 にまとめてあります。
③ 頼んだのに、どこにも書いていない
打ち合わせで確かに言った。でも見積書にも図面にも残っていない。いわゆる「言った言わない」です。
ここは、記録があるかどうかで分かれます。メール、メッセージアプリ、打ち合わせのメモ、写真。手元に何が残っているかを先に探してください。
住まいるダイヤルの注意喚起ページにも、こう書かれています。「事業者とトラブルになった際、言った言わないの争いにしないために、交渉時に事業者の発言内容はこまめに記録しておきましょう。コピーをとって、事業者とも共有しておくといいでしょう」
過去の分は探すしかありませんが、これから先のやり取りは、今日から記録が残る形に切り替えられます。ここは自分の手で変えられるところです。
④ 書いていないし、壊れてもいない
色の見え方が想像と違った。質感が思っていたのと違う。継ぎ目の位置が気になる。
正直に書きます。この型は、直してもらうのがいちばん難しいところです。書いてもいない、使えなくもない。求める根拠が手元にないからです。
だからといって、感じたことが間違いというわけではありません。次の見出しで、この型のときにできることを書きます。
「思っていたのと違う」が伝わらないとき
④の型でも、打つ手がないわけではないんです。
ひとつは、①〜③に当てはまる部分が混ざっていないかを、もう一度見ること。「全体が気に入らない」の中に、書いてある寸法と違う箇所が1つ混ざっていることは珍しくありません。混ざっているなら、そこから話を始められます。
もうひとつは、直してほしい範囲を自分から絞って伝えること。全部やり直しという言い方より、どの1枚のどこが気になるのかを示したほうが、相手にも中身が伝わります。
それと、少しだけ現場の話を。大工の見習いをしていた頃も、現場に入る職人は日によって違いました。同じ会社の工事でも、手を動かす人がずっと同じとは限りません。担当者に伝わっていないだけ、ということもあります。
それでも折り合わないなら、第三者に見てもらう段階です。窓口は記事の後半にまとめました。
最初の連絡は、口頭でなく記録が残る形で
電話で伝えて、その場では「見に行きます」と言われる。けれど来ない。よくある止まり方です。
住まいるダイヤルの相談事例では、施工業者と交渉するときの進め方をこう回答しています。「交渉に際しては、要望を書面化し、書面での回答を求めるようにしましょう。打合せを行う場合は、打合せの内容を書面に残すようにするとよいでしょう。また、写真を撮影するなど、あらかじめ現場の状況を詳細に記録しておくことも重要です」
書面と言われると身構えますが、メールで十分です。書くのは3つだけ。
- どこが|場所と箇所。写真を添えると早いです
- 何と違うか|契約書のどの行と違うのか、または何が使えないのか
- いつまでに返事がほしいか|日付を1つ入れる
写真は、全体を1枚、寄りを1枚。大きさが分かるように定規やメジャーを一緒に写しておくと、文字で説明する手間が減ります。
そもそも連絡そのものがつかない場合は、動き方が変わります。リフォーム業者と連絡が取れない時の対処 をご覧ください。工事が遅れているだけなのかを見分けたいときは リフォームの工期が遅れたら?仕方ない遅れとおかしい遅れの見分け方 に整理しました。
残っているお金は、自分だけで決めない
まだ最後の支払いが残っている方は、ここでいちばん迷うと思います。直してもらうまで払わないでいいのか。
住まいるダイヤルの相談事例に、引き渡し後の不具合を理由に最終金を払わずにいたら、業者の代理人弁護士から支払い請求の書面が届いたという事例があります(新築住宅についての相談です)。
その回答は、両方を書いています。一方には「建物に瑕疵がある場合、注文者は瑕疵の補修がされるまで原則として報酬残金の支払いを拒絶することができます」とあります。瑕疵(かし)は、契約の内容に合っていない不具合のことです。
同じ回答の別のところには「納得がいかないからといってこのまま放置すると、訴訟に発展する可能性があります」とも書かれていました。
止めること自体が禁じられているわけではないけれど、止めたまま放っておくのがいちばん悪い。そう読めます。
払う・払わないを自分だけで決めず、契約書と請求書を手元に置いて窓口に電話するのが先です。相手にも、支払いを止めている理由と、いつどうしたいのかを書面で伝えておいてください。黙って止めるのが、いちばんこじれます。
支払いのタイミングそのものの考え方は リフォームの前払いは普通?着手金と全額前払いの線引き、追加の請求が出てきたときは リフォームの追加費用が出る理由とトラブル回避 にまとめました。
業者が動かないときの相談先

会社に伝えても動かない。そのときのために、公的な窓口が用意されています。
まずは電話|住まいるダイヤル
住まいるダイヤルは、公式に「国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口」と書かれている窓口です。公正・中立の立場で、年間3万件以上の電話相談を受けていると公表されています。
電話は03-3556-5147。受付は10時から17時まで(土日祝と年末年始を除く)。固定電話からは全国どこからでも市内通話料で利用できるとされています(一部のサービスを除く)。
相談に応じるのは建築士です。公式が挙げている相談の例にも「住宅の不具合について、事業者との話し合いがまとまらない」が入っています。今の状況そのままで大丈夫です。
相談時間は30分程度が目安。月曜と金曜、連休明けの午前から14時ごろは混みやすいと案内されています。つながらない日が続くなら、混みやすい時間帯を外してかけ直してみてください。
もう一段深く|専門家相談(弁護士と建築士のペア)
電話だけで足りないときは、弁護士と建築士に対面で相談する専門家相談があります。利用できる方の一覧に「住宅リフォーム工事の発注者または発注予定者」が挙がっているので、リフォームを頼んだ側にも入口があります。
しかも、対象が広がったことを知らせる公式の案内によれば、瑕疵保険に加入していなくても利用できるとのこと。住宅リフォーム工事の発注者と既存住宅の買主が、その対象として名指しされています。
相談時間は1時間で、原則無料と案内されています。申し込みは住まいるダイヤルへの電話から。写真、図面、契約書を用意していくとより効果的だと書かれています。
ひとつ限界があります。裁判、裁判所の調停、ADR(裁判外紛争解決手続)で係争中の案件についての相談は受けられません。先に手続きを始めてしまうと、この相談は使えなくなります。
話し合いで決着しないとき|紛争処理には条件がある
話し合いで決着しないときは、あっせん・調停・仲裁という、裁判以外の手続きもあります。各都道府県の弁護士会で、弁護士や建築士が間に入る手続きです。
ただし、ここに条件が1つ。見落とされやすいところです。
公式にはこう書かれています。「住宅紛争審査会では、評価住宅や保険付き住宅でない住宅の紛争は、取り扱うことができません」
リフォームでこの「保険付き住宅」に当たるのは、その工事にリフォーム瑕疵保険(工事に不具合が見つかったときの補修費用などを保険でまかなう仕組み)が付いている場合です。紛争処理を使えるのは、この保険が付いた工事だけ。2022年10月から対象に加わったと公表されています。
申請料は1万円で、一部の保険付き住宅は1万4千円と案内されています。
この保険は、リフォームでは任意です。付いていない工事もあります。自分の工事に付いているかどうかは、契約のときの書類(保険付保証明書)を探すか、住まいるダイヤルに電話で聞くのが早いです。
保険が付いていなくても、電話相談は使えます。専門家相談についても、公式の案内は加入していなくても利用できると書いています。条件が付くのは、この紛争処理の手続きです。
契約とお金の話は|消費生活センター(188)
契約や支払いの話は、消費者ホットラインの188が入口です。局番なしの188にかけ、郵便番号などを入力すると、近くの消費生活センターにつながります。
相談そのものは無料で、かかるのは通話料です(相談窓口につながった時点から発生します)。話し中でつながらないときは、国民生活センターのバックアップ相談も案内されています。
工事の中身のことなら住まいるダイヤル、契約とお金のことなら188。迷ったら、先につながったほうでかまいません。
よくある質問
いつまで言えますか?
ここは記事の側で言い切れません。保証の期間は会社ごとに違い、契約の書き方でも変わるからです。保証書があれば、まずその期間の欄を見てください。考え方は リフォームの保証期間は何年?保証書がない時の対処 に整理しました。気づいた日と場所を記録しておくと、あとで相談するときに効いてきます。
全部やり直してもらえますか?
やり直しの範囲と方法は、話し合いで決まります。公式の紛争処理でも、扱う事例として「その補修の方法や金額について話し合いがまとまらない」場合が挙げられています。つまり、方法と金額はもめる論点として想定されているということです。全部か、部分か、それとも金額で調整するのか。ここは書類と現物を見た人でないと決められません。
別の業者に直してもらってもいいですか?
その前に、今の契約をどう終わらせるかを整理してください。先に他社へ頼んでしまうと、あとで費用の精算や責任の話がこじれます。解約と違約金の考え方は リフォームは契約後でも解約できる?違約金の注意点 にまとめました。
大げさに騒いでいるだけ、と思われませんか?
住まいるダイヤルは年間3万件以上の電話相談を受けていると公表している窓口です。事業者との話し合いがまとまらないという相談は、公式が相談の例として自分から挙げているものの1つ。遠慮する場面ではありません。
まとめ
- 「納得できない」をひとかたまりで渡さない。書類に書いてあるかどうかで4つに分ける。
- 書いてある内容と違う型がいちばん動かしやすい。契約書・見積書・図面を並べて突き合わせる。
- 色や質感の見え方は、直してもらうのが難しい型。ただし①〜③が混ざっていないかは見直す価値がある。
- 連絡はメールなど記録が残る形へ。どこが・何と違うか・いつまでに返事がほしいかの3つを書く。
- 残っているお金は自分だけで決めない。止めるなら理由を書面で伝えて、窓口に相談してから。
- 工事の中身は住まいるダイヤル(03-3556-5147・平日10時から17時)、契約とお金は188。紛争処理はリフォーム瑕疵保険が付いた工事だけが対象。
まず、契約書と見積書を出して、納得できない箇所の写真を1枚撮ってください。相談の電話は、この2つが手元にあるだけで話が早くなります。
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運営者の経歴は 運営者情報(元大工のおさむ) をご覧ください。
出典:住まいるダイヤル(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター)「電話相談」「専門家相談/専門家相談(WEB相談)」「住宅紛争審査会の取り扱う紛争」「紛争処理と専門家相談の対象が拡大しました」「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」および相談事例2件/消費者庁「消費者ホットライン」(いずれも2026年8月14日に確認)。仕上がりの評価や補修の範囲、支払いの扱いは個別の契約・事案により異なるため、判断の前に契約書を確認し、住まいるダイヤル・消費生活センター(188)・専門家へご相談ください。


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