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実家を壊す見積もりをもらったら、いちばん下のほうに「浄化槽撤去」という行が別料金で入っていた。この形がいちばん多いです。
建物の解体費に含まれていると思っていた方が、そこで手を止めます。
そして市の補助金の案内を開くと、こう書いてあります。浄化槽など地下に埋まった物の処分費は対象になりません、と。
この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、浄化槽の撤去がなぜ別扱いになるのか、費用の幅がどこで決まるのか、そして壊す前にやっておくと維持費が止まる届出まで整理します。法律の条文は環境省の法令データベースで照合しました(2026年9月5日確認)。

浄化槽の撤去費は、建物の解体費とは別に出てきます
解体の見積書は、たいてい3つに分かれています。建物本体の解体費、付帯工事費、それに処分費です。
浄化槽はこのうちの付帯工事に入ります。建物とは別の構造物で、掘る場所も違うからです。
見積書によっては「附帯工事」「別途工事」と書かれていることもあります。呼び方は会社ごとに違いますが、本体と分けている点は共通しています。
解体の現場では、家屋を壊す作業と、庭を掘る作業は段取りが別になります。重機の入れ方も、掘る深さも違うからです。
だから見積もりを比べるときは、本体の坪単価だけを見比べても意味がありません。浄化槽の行が入っている見積もりと、入っていない見積もりを並べると、後者が安く見えるだけです。
費用に幅が出るのは、地面の下で条件が変わるからです
金額を先に知りたい方には申し訳ないのですが、この工事は幅が大きいです。理由を4つ書きます。

ひとつめは大きさ。5人槽と10人槽では、掘る量も運ぶ量も変わります。
ふたつめは材質。プラスチック系のものは割って運び出せますが、コンクリート製だと壊す手間が別に乗ります。古い家ほどコンクリート製が残っています。
3つめは重機が入るかどうか。前面道路が狭い、庭の奥にある、隣の家との間が詰まっている。こういう現場では人力の割合が増えて、その分だけ人工(にんく)がかかります。
4つめが中身の処理です。浄化槽は汲み取ってから壊します。中身が残ったままでは動かせません。この汲み取りを専門の業者に頼む分が、別に乗ることがあります。
この4つのどれが効くかは、現場を見ないと分かりません。だから電話だけで金額を言い切る会社があったら、それは概算です。
売り場にいた頃、地面の下の工事の話になると、職人さんほど「掘ってみないと分からない」と言っていました。先に幅を言われるほうが、あとで驚かずに済みます。
解体の補助金では、対象外と書かれていることが多いです
市町村の解体補助金には、対象になる経費と、ならない経費が要綱で決まっています。
浄化槽は「地下埋設物」として対象から外されていることが多いです。家財道具、門、塀、機械、車両などと並べて書かれています。
実際に条文を読んだ例を挙げます。和歌山県のかつらぎ町は、対象経費から「家財道具・門・塀・機械・車両等の処分費と地下埋設物(浄化槽等)の除却費」を除くと明記していました。同じ県の湯浅町も同じ形です。
ここで厄介なのが、工事のほうは敷地内の工作物を全部壊すのが条件になっている市町村があることです。塀も物置も壊さないと補助が下りない。でもその費用は補助の計算には乗らない。この組み合わせだと、見積もりの総額と補助の対象額がずいぶん離れます。
だから補助金を当てにして予算を組むときは、総額ではなく「対象になる経費がいくらか」で計算してください。
市町村ごとの上限や率は、家の解体費用の相場と補助金の記事に整理しています。
使うのをやめたら、30日以内に届出が要ります
ここからは手続きの話です。知らないまま放置している方が多いところです。
浄化槽法の第11条の3に、こう書かれています。浄化槽管理者は、当該浄化槽の使用を廃止したときは、環境省令で定めるところにより、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
つまり、家を壊して浄化槽を撤去したら、30日以内に廃止の届出です。届出先は都道府県知事ですが、実際の窓口は保健所や市の環境課になっていることが多いので、市町村のホームページで確認してください。
解体業者が代わりに出してくれることもあります。ただし全部の会社がやるわけではありません。契約するときに「廃止の届出はどちらが出しますか」と一言聞いておくと、あとで慌てません。
この届出を出さないままだと、書類の上では浄化槽が生きている状態が続きます。年に一度の検査の案内が届き続けることもあります。
まだ壊さないなら、休止という届出があります
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
実家が空き家になったけれど、まだ壊すかどうか決まっていない。この状態の方がいちばん多いはずです。
浄化槽は、使っていなくても維持の義務がついてきます。浄化槽法の第10条で年1回以上の保守点検と清掃、第11条で年1回の水質検査が決められているからです。誰も住んでいなくても、管理者である限りこれが続きます。
ところが、この2つの条文にはどちらもただし書きが付いています。
第11条の2に「使用の休止の届出」という制度があって、休止の届出をした浄化槽は、保守点検・清掃・水質検査の対象から外れます(使用を再開したものを除く、という条件つきです)。
条文の言葉ではこうです。浄化槽管理者は、当該浄化槽の使用の休止に当たつて当該浄化槽の清掃をしたときは、環境省令で定めるところにより、当該浄化槽の使用の休止について都道府県知事に届け出ることができる。
読み落としやすいのが「清掃をしたとき」という条件です。空にしてから届け出る形なので、清掃の費用は一度かかります。ただ、そこから先の毎年の点検と検査が止まります。
使うのを再開したときは、30日以内に再開の届出が要ります。壊すと決まったら、あらためて廃止の届出です。
実家を空けたまま何年も点検費を払い続けている方は、まず市町村の環境の窓口に「休止の届出はできますか」と聞いてみてください。
埋め戻しは、あとから陥没しない形にしてもらう
撤去したあとの穴は、土で埋め戻します。ここで手を抜かれると、数年後に地面が沈みます。
埋め戻しは、一度に入れるのではなく少しずつ入れて締め固めるのが基本です。まとめて放り込むと、雨と時間で土が沈んでいきます。
跡地を駐車場にする予定なら、なおさらここが効きます。あとから舗装が割れる原因になるからです。
見積もりの段階で「埋め戻しは転圧まで入っていますか」と聞いておくと、話が早いです。
同じ地面の下の話として、井戸を埋めるときの注意は井戸の埋め戻し費用の記事にまとめています。息抜きの意味も書いています。
よくある質問
浄化槽を残したまま家を壊すことはできますか?
物理的にはできますが、おすすめしません。使用をやめた時点で廃止の届出が要りますし、地中に空洞が残ると陥没の原因になります。跡地を売る予定なら、埋設物が残っていることを買主に伝える必要も出てきます。壊すと決まった時点で、一緒に処理してしまうほうが後が楽です。
下水道につなぐ場合も撤去しますか?
下水道への接続工事では、浄化槽を撤去する場合と、中身を抜いて埋め戻す場合があります。どちらになるかは市町村の指導と現場の条件で変わります。切り替えの費用と補助金は下水道への切り替えの記事に整理しています。
費用の目安はいくらですか?
ここは正直に書きます。大きさ・材質・重機が入るか・汲み取りの有無で幅が大きいので、この記事では金額を言い切りません。相場を1つの数字で書いている記事もありますが、条件が違えば倍近く動きます。現場を見てもらった上の見積もりを2社以上で比べるのが、いちばん確実です。
まとめ
- 浄化槽の撤去費は建物の解体費とは別に、付帯工事として出てくる。本体の坪単価だけで見積もりを比べない
- 費用の幅は大きさ・材質・重機が入るか・汲み取りの4つで決まる。電話だけの金額は概算
- 市町村の解体補助金では地下埋設物として対象外にされていることが多い。予算は総額でなく対象経費で組む
- 使用をやめたら30日以内に廃止の届出(浄化槽法第11条の3)。業者が出すのか自分で出すのかを契約時に決めておく
- まだ壊さない空き家なら休止の届出という手がある。清掃をしてから届け出ると、毎年の保守点検・清掃・水質検査が止まる
- 埋め戻しは転圧まで入っているかを見積もりの段階で確認する
▶ 浄化槽の撤去まで含めて見積もりを比べるなら:解体工事比較ナビ(解体業者の一括見積もり・無料)が使えます。(※依頼するときに「浄化槽の撤去と埋め戻しを含めて」と伝えると、条件をそろえて比べられます)
解体の見積もりは、同じ家でも会社によって金額の差が大きい工事です。浄化槽の行が入っているかどうかも会社ごとに違うので、条件をそろえて2〜3社で比べてください。

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