家の解体はどこまで片付ける?残していい物と別料金になる物を元大工が中立解説

業者選び・費用相場

※本記事には、解体工事の一括見積もりサービス等のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

実家の解体を頼むことになって、家の中の物をどこまで出せばいいのか分からず止まっている方へ。

調べても答えが割れています。「家の中を空にするのが原則」と書いてあるページもあれば、「明確な決まりはありません」と書いてあるページもある。業者に聞くと「そのままでいいですよ」と言われることさえあります。

結論から言うと、両端ははっきり決まっていて、迷うのは真ん中だけです。壊す物と、持ち主の物とで、処分する責任者が国の通知で分けられています。

元大工見習いで、ホームセンターの売り場に8年いたおさむが、環境省の通知と家電リサイクル法の原文をあたって、中立の立場で整理しました(2026年8月28日照合)。

家の解体で「どこまで片付ける」に決まりはあるのか

決まりはあります。ただし、決まっているのは「何を片付けるか」ではなく「誰が処分するか」のほうです。

環境省は2018年(平成30年)6月22日に、都道府県と政令市あてに通知を出しています。建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)(環循適発第1806224号・環循規発第1806224号)です。

その中に、こう書かれています。

建築物の解体に伴い生じた廃棄物(以下「解体物」という。)については、その処理責任は当該解体工事の発注者から直接当該解体工事を請け負った元請業者にある。一方、建築物の解体時に当該建築物の所有者等が残置した廃棄物(以下「残置物」という。)については、その処理責任は当該建築物の所有者等にある。

出典:環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)」2018年6月22日(2026年8月28日に原文を確認)

解体で出る木くずやがれきは業者の責任、家の中に置いてあった物は持ち主の責任、という線引きです。

そして通知は、続けてこう書いています。「建築物の解体を行う際には、解体前に当該建築物の所有者等が残置物を適正に処理する必要がある」

ページによって答えが割れて見えるのは、この2つを混ぜて話しているからです。「原則は空にする」は持ち主の責任の話、「決まりはない」は真ん中にある物の話で、どちらも間違いではありません。

線は3本ある|そのまま壊せる物・別料金になる物・法律で別扱いの物

家の解体で片付ける物の3分け。建物にくっついている物(柱・壁・屋根・床・造作)は解体物で元請業者の責任。置いてある物(家具・布団・食器・衣類)は残置物で持ち主の責任、解体費とは別料金。家電4品目(エアコン・テレビ・冷蔵庫と冷凍庫・洗濯機と衣類乾燥機)は家電リサイクル法で別ルート。出典は環境省の通知2018年6月22日と家電リサイクル法

この早見図は、出典として本記事(リフォーム補助金・業者選びガイド)へのリンクを付けていただければ、ブログ・SNS・社内資料への転載を歓迎します。

① 建物にくっついている物は、解体の一部

柱、壁、屋根、床、天井。それから壁に固定された造作の棚や、はめ込みの建具。こうした物は建物そのものなので、壊すのは解体工事の中身です。

通知の言葉では「解体物」にあたります。処理の責任は元請業者にあると書かれているとおり、持ち主が先に外しておく必要はありません。

私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、造作の棚をわざわざ抜いてから重機を入れる、という段取りは見たことがありません。建物と一緒に壊して分別するほうが早いからです。

② 置いてある物は「残置物」で、持ち主の責任

タンス、布団、食器、衣類、本、たまっていた段ボール。床に置いてあるだけの物は、建物ではなく持ち主の財産です。

通知の言葉では「残置物」で、処理の責任は所有者にあります。一般の家庭から出た物であれば、扱いは一般廃棄物(家庭ごみと同じ区分)になります。

ここが費用の分かれ目です。解体工事の見積もりは、あくまで建物を壊す料金です。中の物の処分は、その外側にある別の作業になります。

③ 家電4品目は、法律で別のルート

家電リサイクル法(正式には特定家庭用機器再商品化法・平成10年6月5日法律第97号)で、次の4つは決まったルートに乗せることになっています。2001年4月から動いている仕組みです。

  • 家庭用エアコン
  • テレビ(ブラウン管式・液晶式・有機EL式・プラズマ式)
  • 電気冷蔵庫・電気冷凍庫
  • 電気洗濯機・衣類乾燥機

環境省の説明では、この4品目を捨てるとき、消費者は収集運搬料金とリサイクル料金を払う役割とされています(出典:環境省「家電リサイクル法の概要」・2026年8月28日確認)。

金額は品目とメーカーで変わるので、買った店か、住んでいる市町村の案内で確かめてください。

なお、ここまでは平常時の解体の話です。災害で傷んだ家を壊す場合は、家の中に残った物の扱いも別の枠組みになります。損傷して処分するしかない家財を家屋の解体と併せて撤去する形が国の資料に書かれていて、そちらは公費解体の記事に整理しました。

迷いやすいのは真ん中にある物

3本の線のうち、①と③ははっきりしています。もめるのはいつも、その間にある物です。

  • 畳、襖、障子
  • 物置、カーポート、ブロック塀
  • 庭木、庭石、灯籠
  • エアコンの室外機や配管
  • 金庫、ピアノ、仏壇
  • 灯油、塗料、農薬などの残り

これらは、業者によって「解体に含めます」とも「別料金です」とも言われます。建物の一部と見るか、置いてある物と見るかが分かれるからです。

「明確な決まりはありません」と書いているページがあるのは、この真ん中の話をしているからでしょう。説明としては正しい。

読者ができるのは、決まりを探すことではなく、見積もりを取る前に、この一覧を紙に書いて一つずつ聞くことです。同じ紙を2社3社に見せれば、金額の差が何から出ているのかも見えます。

業者にまとめて任せてもいいのか|見るのは許可の種類

「うちで全部やっておきますよ」と言われたとき、断らないといけないのでしょうか。

そうではありません。任せること自体を禁じた文はどこにもなく、通知はむしろ、自治体と一般廃棄物処理業者と建設業者が連携して片付いている事例があることを紹介しています。

ただし、任せる前に確かめたい点がひとつ。通知には、こう書かれています。

残置物が一般廃棄物である場合、その処理を受託する者にあっては、産業廃棄物処理業の許可を取得していることのみでは足りず、市町村からの当該残置物の処理に係る委託又は一般廃棄物処理業の許可を受けなければならない

出典:同通知(2026年8月28日に原文を確認)

解体業者が持っているのは、多くの場合は産業廃棄物のほうの許可です。家の中から出た家庭の物は一般廃棄物なので、そちらの許可か、市町村からの委託がないと受けられません。

だから、見積もりのときに聞くのはこの一言で足ります。「家の中の物は、どこが処分することになりますか」

自社でやると言われたら許可の種類を、提携先に回すと言われたらその会社の名前を、それぞれ教えてもらってください。答えられる会社なら、まず心配はいりません。

残置物があると、いくら上がるのか

家をまるごと空にする作業を業者に頼んだ場合、20〜80万円が幅で、中心は20〜60万円前後です。間取り別の目安は次のとおりです。

  • ワンルームや1Kの部屋なら、3万円から10万円ほど
  • 1DKや1LDKで、5万円から20万円ほど
  • 2DKや2LDKで、9万円から30万円ほど
  • 3DKや3LDKで、15万円から50万円ほど
  • 一軒家をまるごと空にするなら、20万円から80万円ほど

解体そのものは、木造で坪3〜5万円、30坪の家なら90〜150万円あたりが目安です。つまり中身の片付けは、条件によっては解体費の3割前後まで乗ることがあります。

金額の内訳や下げ方は空き家・実家の片付け費用の記事に、解体費の相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。まとまった費用の用意が重いときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しました。

お金をかけずに使える窓口

業者に頼む前に、費用がかからない相談先があります。

1つは住んでいる市町村の、ごみを担当している課です。粗大ごみの出し方や、家電4品目をどこに出すのかは、この課の管轄です。量が多いときに持ち込める場所を用意している市町村もあります。市町村が自分で処理しない物については、頼める許可業者の一覧を示すよう、先ほどの通知でも自治体に求められています。

もう1つは、空き家の相談窓口です。空き家バンクや空き家相談を置いている市町村なら、片付けと解体をまとめて相談できることがあります。

どちらも電話1本で、費用はかかりません。先にここを当たってから、業者を探しても遅くはありません。

見積もりの前にやる4つの順番

家の解体前にやる4つの順番。1は貴重品と書類を先に抜く。2は家電4品目を分けて数える。3は迷う物のリストを作る(畳・襖・物置・カーポート・庭木・仏壇・金庫)。4は同じリストを見せて2〜3社に見積もりを頼む。順番を変えると金額が比べられなくなる

① 貴重品と書類を先に抜く

通帳、権利証、保険証券、印鑑、写真。片付けが始まると混ざって出てこなくなります。

ここだけは業者に任せず、自分の手で抜いてください。

② 家電4品目を分けて数える

エアコン、テレビ、冷蔵庫と冷凍庫、洗濯機と衣類乾燥機。台数を数えて紙に書いておきます。

ルートが他と違うので、見積もりのときにも別枠で扱われます。

③ 迷う物のリストを作る

畳、襖、物置、カーポート、庭木、仏壇、金庫。先ほどの真ん中の物を書き出します。

写真を撮っておくと、話が早くなります。

④ 同じリストを見せて2〜3社に頼む

解体は、同じような家でも会社によって金額の差が大きい工事です。前の道が細くて重機が入らない、隣家との隙間がない。そうなると手で壊す割合が増えて、日数も人手も膨らみます。

大事なのは、同じ条件で比べることです。1社には「タンスは残す」と言い、別の1社には「全部出す」と言ってしまうと、出てきた数字はもう比べられません。

3枚の紙(家電の台数・迷う物のリスト・写真)を同じように見せて、内訳を本体、付帯、処分費に分けて出してもらってください。

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よくある質問

タンスは置いておいてもいいですか

置いておくこと自体はできますが、その分の処分費が解体費とは別にかかります。木の物なら安く済むこともある一方で、量が多ければ数万円単位の差になるでしょう。

自分で市町村の粗大ごみに出せる量なら、出してから見積もりを取ったほうが総額は下がります。

エアコンは自分で外した方がいいですか

外す作業まで自分でやる必要はありません。ただし家電リサイクル法の対象なので、解体のがれきに混ぜて処分することはできない品目です。

台数を伝えて、誰がどのルートで出すのかを見積もりの段階で決めておいてください。

物が多すぎて、自分ではとても無理です

無理に自分でやる必要はありません。持ち主の責任というのは、自分の手で運ぶという意味ではなく、正しいところに出す責任のことです。

市町村の窓口で許可業者を教えてもらう、片付けの業者に頼む、解体業者の提携先に回してもらう。どれを選んでも構いません。

片付けの費用にも補助は出ますか

市町村によっては、空き家の片付けや家財の処分に使える枠を用意しているところがあります。解体の補助とは窓口が分かれていることがあるので、解体の担当課だけでなく、空き家を担当している課にも聞いてみてください。

仏壇はどうすればいいですか

扱いは業者によって分かれる部分です。運び出しから引き受ける会社もあれば、宗教に関わる物は受けないという会社もあります。

菩提寺(ぼだいじ・その家が代々世話になっているお寺)があるなら、先に相談しておくと段取りが決めやすくなります。

まとめ

「どこまで片付けるか」に、全国共通の一覧はありません。ただ、探すべきは一覧ではなく、線が3本あるという見取り図のほうです。

  • 建物にくっついている物は、解体工事の中身。持ち主が先に外す必要はない
  • 置いてある物は残置物で、処分の責任は持ち主。解体費とは別の費用になる
  • 家電4品目は、家電リサイクル法で決まったルートに乗せる
  • 畳、襖、物置、カーポート、庭木、仏壇などは業者で扱いが分かれる。紙に書いて聞く
  • 業者にまとめて任せてもよい。聞くのは「家の中の物はどこが処分しますか」の一言

先に市町村のごみの担当課と空き家の窓口を当たれば、費用をかけずに進められる部分がまだ残っているはずです。そのうえで、同じ条件をそろえて2〜3社に見積もりを頼んでください。

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