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「長崎県で古い実家を解体したい。補助金は出る?」
先に正直な結論です。長崎県(県庁)としての一律の解体補助はなく、制度は市や町ごとです。しかも金額も条件も、市によってまるで別物。上限50万円のところが多いなかで、100万円の枠を持つ市や町もあります。さらに長崎県で見落としやすいのが受付の時期で、すでに令和8年度の受付が終わった市もあれば、秋や冬まで受け付けている市町もあります。
大事なのは、金額の大きさより「自分の家が対象になるか」と「まだ受付が開いているか」だということ。この記事で見た4市2町はどれも、古いだけ・空き家だからというだけでは出ませんでした。判定が要らない枠を持つ市町もあるので、自分の市町村の窓口で確かめてください。この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、長崎市・佐世保市・諫早市・島原市・新上五島町の公式サイトを照合して整理します。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
※2026年7月22日時点の各市町の公式サイト(各市の建築・住宅の担当課の令和8年度版ページ)にもとづきます。年度・予算・受付状況で変わるため、申請前に必ず各市町の公式ページや窓口で最新をご確認ください。
県内5市町の早見表【2026年度】

見てのとおり、同じ長崎県でも入口も金額もそろっていません。ポイントは3つ。①上限はこの5市町では新上五島町の100万円がいちばん大きく、多くの市は50万円(町まで見ると小値賀町にも大きい枠があります。後半で書きます)、②長崎市と諫早市は「対象経費の8割のさらに半分=実質およそ4割」という2段構えで、業者サイトの「5分の2」表記もこのため、③佐世保市と諫早市は令和8年度の受付がすでに終わっている、です。順番に、自分の家がどこに当てはまるか当てはめながら読んでください。
市町ごとの実態|金額も受付時期もバラバラ
長崎市|実質4割・上限50万円。申請は2月末まで受付中
長崎市の特定空家等除却費補助金は、放っておくと危ない老朽化した空き家の取り壊しが対象です。お金の考え方が少し独特で、補助の対象になるのは解体・運搬・処分費(国の基準額と比べて安いほう)の8割まで。そのさらに2分の1が補助金なので、実際に戻るのは解体費のおよそ4割・上限50万円です。満額の50万円に届くのは工事費が125万円以上のとき。業者サイトで「2分の1」と「5分の2(4割)」の両方を見かけるのは、この2段構えのせいです。対象は市の判定で評点50点以上(長屋は100点以上)と測定された、おおむね1年以上使われていない空き家。このほか、建物と土地を市に寄附して無償で壊す道(老朽危険空き家対策事業)もあります。受付は令和9年(2027年)2月末までで、いまは開いた状態です。くわしくは長崎市の解体補助金の記事にまとめています。
佐世保市|住宅は40%・上限60万円。ただし令和8年度は受付終了
佐世保市の老朽危険空き家及び空き建築物除却費補助金は、住宅なら除却費の40%・上限60万円。市街化区域内で条件を満たす住宅は、上限が最大100万円まで上がります。倉庫や店舗などの住宅以外は、3分の1・上限60万円です。木造は築22年以上で、構造の傷みが著しく危険と市に判定されることが条件。金額の目安は5市町では手厚い部類ですが、注意点があります。令和8年度の相談受付はすでに終了しています(相談期間は令和8年4月15日から5月29日まで)。この制度は年度はじめの短い相談期間に募集があり、希望者が多いと市が危険度の高い順に対象を選ぶ仕組みです。次の年度に向けて、家の写真や見積もりの準備は今からできます。くわしくは佐世保市の解体補助金の記事で整理しました。
壊して同じ場所に建て直すつもりの方には、まだ動ける道が1本あります。期限が8月末なので、順番を変えてこちらから。佐世保市の安全・安心住まいづくり支援事業(耐震の枠)は、市のページに「同一敷地での建替え(新築工事)をされる場合は、補助の対象となります」と書かれています。つまり古い家を壊して建て直す工事が対象に入ります。
ただし今年度の補助金はありません。市の説明はこうです。耐震診断の結果、基準に適合しないと判定された住宅に限って事前相談だけを受け付け、来年度に予算が確保できた場合に限り申請ができる。そして来年度に申請するためには、令和8年8月末までに事前相談をしておく必要がある。
補助は対象費用の5分の4で限度額67万円。対象は昭和56年5月31日以前に着工した木造戸建てで、階数3以下、在来軸組・伝統的・枠組壁のいずれかの工法、そして所有者などが現に住んでいる家です。空き家には使えません。窓口は都市整備部 建築指導課(電話0956-25-9629)。除却の枠が5月29日で締め切られている以上、建て替えを考えている方にとってはこの事前相談が実質的な次の一手になります。
諫早市|長崎市と同じ実質4割・上限50万円。受付は6月末で終了
諫早市の老朽危険空家等除却助成事業は、長崎市と同じ2段構えの制度です。補助の対象になるのは解体・運搬・処分費の8割まで、そのさらに2分の1が補助金で、実質およそ4割・上限50万円。対象は、市の不良度判定で評点100点以上と測定された、傷みの著しい空き家です。ここで気をつけたいのが受付時期で、令和8年度の受付は令和8年6月30日までとされ、すでに終わっています。この補助を使いたい方は、次の年度の募集開始を建築住宅課(電話0957-22-1500)で早めに確かめておくのが確実です。
島原市|除却費の4割・上限50万円。受付は12月上旬まで
島原市の老朽危険空家除却支援事業は、除却費の4割・上限50万円。対象は、島原市内にある空き家で、過半が住宅として使われていた木造か鉄骨造、そして構造の腐りや壊れの合計評点が100点以上の傷んだ家です。受付は令和8年12月4日までと、5市町のなかでは比較的おそくまで開いています(予算に達すると締め切りです)。窓口は都市整備課の建築・空家対策班(電話0957-63-1111)です。
新上五島町|上限100万円。受付は11月末まで
新上五島町の老朽危険空き家除却費補助事業は、上限100万円と、この5市町ではいちばん大きい枠です(補助率は公表されておらず、限度額100万円が示されています)。対象は、築後22年以上たった木造(一部の軽量鉄骨造を含む)で、1年以上使われておらず、過半が住宅だった建物。周りの道路や住宅に危険を及ぼすおそれが大きく、構造の傷みが著しい状態が条件です。受付は令和8年5月1日から11月30日までで、いまは開いています。ただし予算がなくなり次第終了なので、使うつもりなら早めに建設課(電話0959-53-1160)へ相談を。
町まで見ると、小値賀町に大きい枠があります
ここまでは5市町の話ですが、長崎県は町も見ないと上限が変わります。小値賀町の老朽危険家屋除却支援事業がそれです。
ただ、この町は金額の書き方が2つあります。町のページ(更新日2025年4月1日)は、除却工事費の10分の8まで、その金額が150万円を超える場合は150万円という書き方です。いっぽう同じページからリンクされている交付要綱の第6条は、補助金の額は補助対象経費額以内とし、100万円を上限とすると書いています。
どちらが運用なのかは私には決められません。低いほうの100万円を前提に見積もりを組み、実際の額は建設課(電話0959-56-3111)に確かめてください。要綱は平成28年の告示、ページの更新日は2025年4月1日です。
使える人の条件は要綱がはっきりしています。法人は対象外。町税(町外に住んでいる方は住所地の市町村税)の滞納がないこと。建物は町内の木造で、現に使われておらず、過半が居住用だったもので、評点100点以上と測定されるものです。
工事にも線があります。町内に登録された営業所等を置く法人か、町内に住所を有する個人に頼むこと。そして建て替えや、更地にしてから転売することを目的とした工事は対象外と要綱に明記されています。
申請の期限は毎年12月末日で、申込の状況によっては前倒しになることがあると町が書いています。交付決定を受けてから60日以内に工事を終える必要もあるので、逆算して早めに動いてください。まずは建設課への事前協議からです(2026年8月11日にページと要綱を確認)。
ほかに、南島原市が2分の1・上限80万円、平戸市が2分の1・上限80万円で、5市町の外にも50万円を超える枠があります。自分の市町がこの記事に無い場合は、県の「空き家の除却費補助を実施している市町」の一覧から自分の町を探してください。
県の一覧に載っている5市も確かめました
ここまで詳しく見たのは、長崎市・佐世保市・諫早市・島原市の4市と新上五島町・小値賀町でした。長崎県が出している「空家の除却費補助を実施している市町」の一覧(令和8年4月1日現在)には、17の市町が並んでいます。記事に無かった5市を当たり直しました(2026年8月13日照合)。
先に共通の壁から。5市とも入口は市の調査で不良度の判定を通った空き家で、古いだけ・空き家だからというだけでは通りません。
お金の考え方も長崎市・諫早市と同じ2段構えです。解体費(国土交通大臣が定める標準除却費が上限)の10分の8までが補助対象経費で、そのさらに2分の1が補助金。実質はおよそ4割になります。
松浦市|2分の1・上限100万円。ただし受付の表示が食い違っています
松浦市の老朽危険家屋除却支援事業は、市が出している令和8年度の概要版に「次の①又は②のいずれか少ない額 上限100万」と書かれています。①が解体・運搬・処分に要する費用(消費税を除く)の2分の1、②が床面積に標準除却費(木造33,000円、鉄骨造47,000円)を掛けた額の2分の1です。ここだけ2分の1で、ほかの4市より率が高くなっています。
ここは、正直に書いておかなければなりません。市のページの見出しは「令和8年度松浦市老朽危険家屋除却支援事業のお知らせ ※本年度は受付終了しました」ですが、同じページの本文と概要版はどちらも「申請期間 令和8年11月30日まで(土、日、祝日は除く)・先着順」としています。ページの更新日は2026年4月1日です。
どちらが今の運用かは、こちらでは決められません。終わっていると決めつけて動かないのがいちばん損なので、都市計画課住宅係(電話0956-72-1111)へ電話を1本入れて確かめてください。申請書は郵送も電子メールも不可で、窓口へ直接提出する形です。工事は市内に本店を有する法人か市内に住所を有する個人に頼むこと、交付決定の通知から60日以内に終えることが条件です。
対馬市|実質およそ4割・上限50万円。11月30日まで受付中
対馬市の老朽危険空家除却支援事業は、上の2段構えの計算で上限50万円。募集期間は令和8年5月1日から11月30日までで、照合日時点では開いています。
対象は市内の木造か鉄骨造で、現に使われておらず、過半が居住用だった建物。市の現地調査で不良度が100点以上と測定されることが条件です。法人は対象外で、工事は市内に本店を有する法人か市内に住所を有する個人に頼むこと。市が命令の措置を出した特定空家等を除却する工事も対象外です。
この市は窓口が建築や住宅の課ではありません。総務部総務課の地域安全防災室(電話0920-53-6206)です。事前調査が必要なので、まず事前相談から。
雲仙市|空き家は上限50万円。業者は県内でよい
雲仙市の老朽危険空家等除却支援事業も同じ2段構えで、空き家なら2分の1・上限50万円。住宅以外の空き建築物は4分の1・上限20万円と分かれています。申請受付は令和8年11月30日まで(予算額に達した時点で終了)。
ここで読者に有利な点が1つあります。工事を頼む先が長崎県内に本社を有する事業所か県内に事業所を有する個人事業主とされていて、市内限定ではありません。見積もりを取れる幅が広いということです。
申請の前に事前協議(現地確認)が必要なので、まず建設部建築課(電話0957-38-3111)へ。市税の滞納があると交付が制限されます。
西海市|空き家は上限50万円。店舗や倉庫の枠も別にあります
西海市には除却の枠が2つあります。老朽危険空き家除却支援事業が空き家向けで、2分の1・上限50万円。令和8年度の受付はすでに始まっており、申込期限は例年12月末頃までとされています。
もう1つの危険空き建築物除却支援事業は、居宅だけでなく店舗・事務所・倉庫等も対象で、延べ床面積が10平方メートル以上あること、周囲の住環境に影響を及ぼす恐れがあることが条件。こちらは上限30万円で、同じ敷地につき1回限りです。
どちらも市内の業者に頼むこと、建築物のすべてを除却すること、交付決定から60日以内に工事を終えることが条件です。事前調査申請書を出して調査結果通知書を受けておく必要があります。窓口は住宅建築課(電話0959-37-0021)。
壱岐市|2分の1・上限50万円。建て替え目的には3年の縛りがあります
壱岐市の老朽危険家屋除却支援事業は、同じ2段構えで上限50万円。法人は対象外です。
ここは更地にして建て直すつもりの方が外れます。要綱の第4条に、補助金額の確定通知があった日から3年以内に、補助を受けた人やその3親等以内の人が建築物等の建て替えを目的とした工事を行う場合は補助対象工事としない、と書かれています。
県の一覧には壱岐市のページのURLが載っておらず、今回確認できたのは市の例規集にある交付要綱(平成25年4月1日告示第37号・令和4年4月1日施行)までです。受付の期間と今年度の予算は要綱からは読み取れないので、建設課(電話0920-42-1111)へお尋ねください。
確認の深さを書いておきます。松浦市・対馬市・雲仙市・西海市は市の公式ページの本文(松浦市は概要版のファイルも)まで、壱岐市は市の例規集の要綱までです。町の分と、県の一覧に載っている残りの市町は当たり直していません。
この記事で見た市町以外にお住まいなら
長崎県には、ここに挙げていない市や町にも解体・除却の補助がある場合があります。大村市や長与町など、制度の有無や金額・受付時期は年度で動くので、必ず自分の市や町の公式ページで確かめてください。長崎県のサイトには、県内で空き家の除却費や改修費の補助を実施している市町の一覧が用意されているので、まず自分の市町に制度があるかを確認できます。個別に調べるときは「市町村名+空き家 解体(除却)補助金」で検索し、URLが lg.jp などの公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度や受付時期が古いことが多いためです。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。
どの市でも共通の鉄則
- 工事の契約前に申請し、交付決定を受けてから契約・着工。先に契約すると1円も出ません
- 危険な空き家の補助は、まず市の「判定」や「現地調査」からです。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
- 受付の時期は市町でバラバラ。佐世保市や諫早市のようにもう終わった市もあれば、島原市や新上五島町のように秋・冬まで開いている市町もあります。予算がなくなり次第終了なので、年度の前半に動くのが安全です
- 市内業者限定・市税の滞納なし・家財の処分費は対象外など、細かい条件は市ごとに違います。補助金は工事のあとに振り込まれるので、いったんは自分で立て替える前提で考えておいてください
解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。まして長崎県は坂と階段の多い斜面地に古い家が多く、車や重機が入りにくい立地だと解体費はかさみます。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
▶ 解体費の内訳(本体・付帯・処分費)を並べて比べるなら:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※市内業者限定の補助を使う市では、見積もり先が条件に合うかも確認してください)
▶ 解体でなく「直して住む・貸す」なら、リフォーム費用を無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※壊すか直すかで迷っている段階なら、直す場合の金額を先に知っておくと判断が早くなります。費用が心配なときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています)
よくある質問
長崎県(県庁)としての解体補助金はないのですか?
解体費への一律の県補助はありません。長崎県の空き家対策は、市や町の取り組みを後押しする方針づくりや、県内で除却・改修の補助を実施している市町の一覧の紹介が中心です。解体の補助は、家がある市や町の制度を調べてください。まず自分の市町に制度があるか、そして今年度の受付がまだ開いているかを、市の建築・住宅の担当課で確かめるのが早道です。
長崎市と諫早市で「5分の2」「4割」と書いてあるのはなぜですか?
どちらも同じ2段構えの計算だからです。補助の対象になるのは解体費の8割までで、そのさらに2分の1が補助金。かけ算すると工事費全体のおよそ4割(5分の2)になります。「2分の1」は対象経費に対する率、「4割(5分の2)」は工事費全体から見た実際の戻り分で、見ている土台が違うだけです。どちらかが間違いというわけではありません。
解体すると固定資産税が上がると聞きました
土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。払えるか不安なときの順番は解体費用が払えないときの記事にまとめています。
まとめ
- 長崎県の解体補助は市や町ごとで、県の一律制度はない
- 長崎市・諫早市は実質4割・上限50万円、島原市は4割・上限50万円、佐世保市は住宅40%・上限60万円(最大100万円)
- 新上五島町は上限100万円と、この5市町ではいちばん大きい。ただし町まで見ると小値賀町にも枠があり、金額は町のページ(150万円)と交付要綱(100万円)で食い違っています。低いほうの100万円なら新上五島町と同額、町のページの150万円が正なら今回確かめた中では最大です。どちらが運用かは建設課へ確認を
- 受付時期が市町でバラバラ。佐世保市と諫早市は令和8年度が終了、島原市(12月上旬まで)と新上五島町(11月末まで)と長崎市(2月末まで)は受付中
- 共通の鉄則は契約前に申請と、業者差の大きい解体費を下げる相見積もり
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