実家が空き家になっても、郵便物は届き続けます。
ポストがいっぱいになると、人が住んでいないことが外から分かります。防犯の面でも、近所への迷惑という面でも、早めに手を打ちたいところです。
調べると「転居届を出しましょう」と書かれたページがたくさん出てきます。この記事では、その転居届が使えるかどうかを分けるところから始めます。
元大工で中立の立場のおさむが、日本郵便の公式に書かれていることだけを使って、順番に整理します。
先に、いちばん大事なことを書きます。亡くなった方あての郵便物は、家族が頼んでも転送できません。実家が空き家になるきっかけとして多いのは親を見送ったときなので、この記事を読む方の多くは、転居届という手が最初から使えない側にいます。

まず、自分の場合に転送届が使えるかを分ける
日本郵便の転居・転送サービスは、引っ越した人あての郵便物を新しい住所へ転送する仕組みです。使えるかどうかは、名あて人が誰かで変わります。
親が存命で、施設や病院に移った場合
この場合は転居届が使えます。名あて人である親本人が、住む場所を移したことになるからです。
提出の方法は、郵便局の窓口、ポストへの投函、e転居(ウェブサイトと郵便局アプリ)の3つです。どの方法でも、提出する人の本人確認があります。
親が亡くなっている場合
日本郵便の公式には、こう書かれています。
ご家族の方から転送のお申出があっても、亡くなられたご本人さまの郵便物等を転送することはできません
受取人ご本人さまが亡くなられた場合、ご本人さまあての郵便物等は差出人さまへ返還されます
手続きをしなくても、いずれ差出人へ返っていく形です。ただし、そうなるまでの間、郵便物はポストに届き続けます。
この場合にできることは、記事の後半にまとめました。
転送届が使える人が、先に知っておく5つ
1. 転送期間は「届出日から1年」
公式には「届出日から1年間です(転送開始希望日からではありません)」と書かれています。
転送を始めてほしい日を先に指定しても、1年の数え方は届け出た日からです。ここを誤解すると、思っていたより早く期限が来ます。
2. 更新は自動ではない
転送期間が過ぎると、郵便物は差出人へ返還されます。続けたい場合は、もう一度転居届を出します。
3.「転送不要」と書かれた郵便物は転送されない
公式は、転送不要の記載を「差出人さまが『この住所に住んでいない場合は返還してほしい』という意思表示」と説明しています。転居届を出していても、この記載があるものは転送されません。
どの差出人がこの書き方を使うかまでは公式に書かれていないので、ここでは触れません。
4. 本人限定受取の郵便物
日本郵便は、本人限定受取の郵便物を出す側に対して「『転送不要』その他転送を要しない旨の記載」を求めています。
上の3と合わせて読むと、本人限定受取で届くものは、転居届を出していても新しい住所へは回らないことになります。
5. 荷物も対象になる
公式のよくある質問は「引っ越すので郵便物や荷物を転送したいのですが」という問いに対して、転居届による転送サービスを案内しています。手紙やはがきだけの仕組みではありません。
提出のあと、事実確認が入ることがある
転居届を出すと、次の方法で事実の確認が行われる場合があります。
- 社員による現地訪問
- 転居者が不在の場合、同居人等への居住の事実確認
- 旧住所あて確認書の送付(窓口で提出者の本人確認と旧住所の記載内容の確認ができた場合は行いません)
空き家では、旧住所あてに確認書が送られても受け取る人がいません。窓口で本人確認と旧住所の確認まで済ませておくと、この行き違いを避けられます。
提出から登録までは3から7営業日かかります。引っ越しの予定が決まったら早めに出しておくと安心です。
転送届が使えないとき、公式に書かれている手は1つ
親が亡くなっている場合、転居届は使えません。それでも郵便物は届きます。
日本郵便のよくある質問に、これに近い問いがあります。「前に住んでいた住人あての郵便物や荷物が届くのですが、どうすればいいですか?」という問いです。
答えはこうです。
お手数ですが、お住いの配達を担当する郵便局へその旨ご連絡くださいますようよろしくお願いいたします。社員が訪問を行う等して、居住確認をさせていただきます
配達を担当している郵便局に事情を伝える。これが公式に書かれている手です。
電話でも窓口でも構いません。担当の郵便局は、日本郵便のサイトの郵便局検索で住所から調べられます。
伝える内容は、実家の住所、建物が空き家であること、名あて人が亡くなっていること、連絡の取れる自分の電話番号です。この4つがあれば話が早く進みます。
不在届は空き家には使えない
「不在届を出せばいいのでは」と考える方がいるかもしれません。
これは旅行や帰省のための制度で、預かってもらえる期間は最長30日です。保管期間が終わると、その翌日にまとめて配達されます。空き家の郵便物を止める手段にはなりません。
郵便を止めても、片づかないものがある
届く郵便物の中でも、役所からの通知は別に考える必要があります。
所有者が亡くなると、名義が変わるまでの間は、現に所有している人(多くは相続人)が固定資産税を納める立場になります。郵便の転送とは別に、市町村への申告が要ることがあります。
根拠は地方税法第384条の3です。ただしこの条文は「市町村長は、条例により……申告させることができる」という作りになっていて、全国一律ではありません。
実際に定めている例として、栃木県日光市があります。市税条例で「現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日まで」に申告すると定め、正当な理由なく提出がない場合は10万円以下の過料と書かれています。
この3か月という期間や過料の額は、日光市の条例のものです。自分の実家がある市町村でどう決まっているかは、税務課の窓口で確かめてください。届出の様式の名前も市町村によって違います。
固定資産税そのものの話は空き家の固定資産税は6倍になる?上がる条件と、上がる前にできることにまとめています。
よくある質問
転送の期間は延ばせますか
延ばせます。転送期間は届出日から1年ですが、もう一度転居届を出すことで更新できます。自動では更新されないので、期限が近づいたら自分で手続きします。
本人限定受取の郵便物は転送されますか
日本郵便は、本人限定受取の郵便物を出す側に「転送不要」の記載を求めています。そして転送不要と書かれた郵便物は、転居届を出していても転送されません。転送されない前提で考えておくのが安全です。
亡くなった親あての郵便物を、放っておくとどうなりますか
公式には、受取人が亡くなった場合、その人あての郵便物は差出人へ返還されると書かれています。ただし返還が始まるまでの間はポストに届きます。ポストが外からあふれて見える状態は避けたいので、担当の郵便局に事情を伝えておくほうが早く片づきます。
まとめ
順番はこうです。
- 親が存命で住む場所が変わった場合は、転居届。期間は届出日から1年で、更新は自分でする
- 親が亡くなっている場合は、転居届は使えない。配達を担当する郵便局に事情を伝える
- どちらの場合も、役所からの通知は郵便の転送では片づかない。市町村の窓口で申告が要るか確かめる
郵便物が届き続けるのは、その家がまだ使われている形のまま止まっているというサインでもあります。この先どうするかを決める時期に来ているのかもしれません。
管理を続ける場合の費用は空き家の管理サービス費用と維持費の現実に、中の物を片付けるところから始める場合は実家の片付けは自分でやる?業者に頼む?に、手放すことを考える場合は空き家の買取で減額される3つの理由にまとめています。
参照した日本郵便の公式ページ(2026年9月16日に確認)=転居・転送サービス/死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?/転居届で転送されない郵便物等はありますか?/前に住んでいた住人あての郵便物や荷物が届くのですが、どうすればいいですか?/長期間不在とする場合の郵便物等の配達について/引っ越すので郵便物や荷物を転送したいのですが/本人限定受取郵便。固定資産税の現所有者の申告は地方税法第384条の3と、栃木県日光市の案内を参照しました。制度は変わることがあるため、手続きの前に窓口でご確認ください。


コメント