見積書に「養生費」という行がある。何の費用なのか、削れるのか。
先に書いておくと、ここでは金額の相場を出しません。工事の中身と家の作りで動くもので、うちが数字を断定できる材料を持っていないからです。
書くのは、何のための費用で、見積書のどこに立ち、無いとどうなるかです。
元大工のおさむが、中立に整理します。
養生とは、傷つけないための覆い
養生(ようじょう)は、工事で傷がつきそうな場所を先に覆っておく作業です。
覆う相手は3つに分かれます。
- 通り道|玄関から工事する部屋まで。材料と道具が何度も通ります
- 残す場所|工事しない部屋の床や壁、建具
- 家財|動かせない家具、置いたままの荷物
傷がついてから直すほうが、覆っておくより高くつきます。養生費は、そこを先に払っておく費用です。
見積書のどこに立つか

立ち方は会社によって違います。おもな形は次の3つです。
1. 独立した行になっている
「養生費」「養生・清掃費」として1行あります。いくら見込んでいるかが見えるので、比べやすい形です。
2. 仮設工事の中に入っている
「仮設工事」というまとまりの中に、養生と、足場や仮設電源が一緒に入っていることがあります。
この場合、内訳を出してもらえるかどうか聞いてください。出せる会社と、一式のままの会社に分かれます。
3. 諸経費に含まれている
個別の行が立たず、諸経費の中で見ている形です。安く見えることがありますが、見えないだけで、どこかで見込んでいます。
見積書の読み方そのものはリフォーム見積もりの見方に整理しました。
覆うものの種類
現場で使う養生材は、場所によって変わります。名前を知っていると、見積書や現場の会話が分かりやすくなります。
- 床用のボード|厚みのある板状のもの。通り道に敷きます
- ビニールのシート|家財や、動かせない設備にかぶせます
- テープ付きのフィルム|建具や枠に貼ります。剥がしやすいものが使われます
- マスカー|テープとビニールが一体になったもの。塗装の現場で使われます
どれを使うかで手間も材料費も変わります。同じ「養生費」という行でも、中身が違えば金額も動きます。
外の工事と中の工事で違う
外壁塗装や屋根の工事では、養生の役割が変わります。
塗料が飛ぶのを防ぐため、窓やエアコンの室外機、車、植栽まで覆うことになるでしょう。工事の期間中、その窓が開けられなくなる日も出てきます。
どの窓が、どれくらいの期間ふさがるのか。ここは着工の前に聞いておくと、生活の段取りが立てやすくなります。
近隣への飛散を防ぐ意味もあるので、外の工事では範囲を削る相談がしにくい部分です。
マンションの場合
マンションのリフォームでは、共用部の養生が別に要ります。
エントランス、エレベーター、共用廊下。管理組合の規約で、養生の仕方が決まっている場合もあります。
この分は見積書に別で立つことがあり、戸建てと同じ感覚で比べると食い違いが出るでしょう。規約を業者に渡しておくと、見積もりの段階で織り込んでもらえます。
削れるのか
ここが気になるところだと思います。
結論から書くと、削るより、範囲を決めるほうが現実的です。
養生そのものを外すと、傷のリスクが施主側に戻ってきます。工事中についた傷が、養生していれば防げたものだったのか、後から判断するのは難しくなります。
代わりにできるのは、次のような相談です。
- 通り道のうち、こちらで荷物をどけておける場所はあるか
- 使わない部屋まで覆う必要があるか
- 工期が短い工事なら、簡易な養生で足りる場所はあるか
どこまで覆うかは、話し合って決められます。覆わない選択をするなら、そこは自己責任になると分かったうえで決めます。
養生が甘いと、どうなるか
工事が終わってから見つかる傷は、通り道で起きることがあります。
- 玄関の上がりかまちの角
- 廊下の床、特に曲がり角
- 階段の段鼻(先端の出っぱり)
- ドアの枠、特に取っ手の高さ
着工の日に、この4か所が覆われているかを見ておくと、あとの心配が減ります。
覆われていないなら、その場で聞けます。これから貼る予定なのか、そこは覆わない方針なのか。
終わったあとに見ること
養生を外した直後が、傷を見つけやすいときです。
外す日に立ち会えるなら、その場で一緒に見てください。立ち会えないなら、外す前に写真を撮ってもらえるかを頼んでおきます。
時間が経つほど、工事でついた傷か、元からあったかの線が引きにくくなります。
引き渡しのときに見る場所はリフォーム工事中の電気と水道は誰が払うの後半にも書きました。
よくある質問
Q. 養生費はいくらくらいですか
ここでは数字を書きません。工事の範囲、通り道の長さ、覆う家財の量で変わります。相見積もりを取るなら、養生費の行だけを比べるのではなく、覆う範囲が同じかを聞いてください。
Q. 養生費が入っていない見積書は安いですか
安いとは限りません。諸経費に含んでいる形もあります。行が無いなら、どこで見ているかを聞くのが早いです。
Q. 自分で養生してもいいですか
荷物をどけておくのは有効です。ただし通り道や建具の養生は、材料と貼り方に慣れが要ります。剥がすときに表面を傷めることもあるので、そこは業者に任せるほうが安全です。
Q. 傷がついていたら、誰が直しますか
まず業者に伝えます。いつ見つけたか、どこかを具体的に。写真があると話が早くなります。折り合いがつかないときの進め方はリフォームの仕上がりに不満があるときにまとめました。
まとめ|削る費用ではなく、範囲を決める費用
養生費は、傷を防ぐために先に払っておく費用です。
見積書では、独立した行・仮設工事の中・諸経費の中、のどれかに立ちます。行が無いなら、どこで見ているかを聞きます。
削るかどうかより、どこまで覆うかを決めるほうが現実的です。そして着工の日に、玄関・廊下・階段・ドア枠が覆われているかを見ておきます。


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