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「奥州市の空き家を解体したい。補助金は使える?」
先に結論です。奥州市には危険な空き家の解体費を補助する制度があり、除却費用の5分の4・上限50万円が出ます。費用の8割が出る計算になります。
ただ、入口は狭いです。この制度で申請できるのは個人だけで、会社の名義になっている建物は対象になりません。
元大工で中立の立場のおさむが、奥州市公式(2026年7月29日照合)をもとに、条件と動く順番を整理します。除却(じょきゃく)は、建物を取り壊して撤去することです。
※2026年7月29日時点の奥州市公式サイト(生活環境課 空家対策室「危険な空き家の除却に補助します」のページ・更新日2026年5月14日と、そこからダウンロードできる補助事業の概要・交付要綱・別表・様式第1号・申請フロー図、および「空き家の管理サービス、解体工事の登録事業者をご紹介します」のページ)にもとづきます。予算で変わり、内容が見直されることもあるため、申請前に必ず公式ページや空家対策室の窓口でご確認ください。※この記事で扱うのは、平常時の空き家の解体補助です。災害で被害を受けた住宅の解体は別の枠組みで扱われることがあるため、その場合は市の窓口へ直接ご相談ください。
まず結論|5分の4・上限50万円。入口は事前調査の申請

制度の名前は奥州市危険空き家除却工事補助金といいます。安全な住環境をつくるために、危険な空き家の取り壊しを後押しするものです。
押さえるのは4つ。
- 補助の額:除却費用の5分の4(1,000円未満は切り捨て)で、上限は50万円
- 対象の家:市内にある居住用の空き家で、6か月以上住んでいないこと。そのうえで、傾斜・基礎・外壁・屋根のどれかが著しく危険で、不良度の評点が百以上のもの
- 申請できる人:登記簿上の所有者か、その相続人。ただし個人に限られます
- 頼む業者:建設業の許可などを受けた、市内に事業所がある事業者
そして順番。奥州市は、いきなり交付申請ではありません。まず事前調査を申請して、対象になるかどうかを市に見てもらうところから始まります。
受付の期間については、公式ページにも要綱にも記載が見当たりませんでした。代わりに書かれているのは、募集戸数が令和8年度で6戸という一文です。ここは後半でくわしく整理します。
いくら出る?|除却費用の5分の4・上限50万円
公式の書き方はこうです。「除却費用の5分の4の額(1,000円未満切り捨て)で、上限は50万円となります」
補助率5分の4は手厚めですが、上限50万円で頭打ちになります。
逆算すると、除却工事費が62万5千円を超えたぶんは全額が自己負担です(50万円÷5分の4の計算)。木造の解体費は30坪で90〜150万円ほどが目安ですから、そのくらいの家ならまず上限にぶつかる、と考えておいてください。相場と内訳は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
もうひとつ、計算のもとになる金額に条件があります。公式は対象工事の要件として「除却工事に要する費用(家財道具その他の造作の撤去、運搬及び処分に要する費用を含まない)が20万円以上の額(消費税及び地方消費税の額を含む。)であること」と書いています。
ここは2つ読み取ってください。ひとつは、20万円に満たない小さな工事は対象外だということ。
もうひとつは、家財道具の撤去や運搬、処分にかかる費用は計算に入らないということです。長く空いていた家ほど、中には家具も家電もそのまま残っています。そこは補助の外側、という設計になっています。
だから見積書は、解体そのものと家財の処分を分けて書いてもらってください。最初の打ち合わせで伝えておけば済む話です。残置物の片付けにいくらかかるかは空き家・実家の片付け費用の記事にまとめました。
ちなみに建て替えのための取り壊しは対象外です。更地にしたあと新しい家を建てる計画があるなら、その予定も含めて窓口で確認してください。
交付申請の様式には、除却後の土地利用の予定を書く欄があります。市はそこも見る、ということです。
対象になる家|6か月以上の空き家で、傷みが「評点百以上」
家の条件は重なっています。ひとつずつ。
① 空き家であること。公式は「市内に所在する居住用の空き家のうち、6月以上居住がなく」と書いています。6月は6か月のことです。倉庫や店舗ではなく、人が住むための建物であることが前提になります。
② 構造が著しく危険なこと。見るのは4か所です。建築物の傾斜(全体)、基礎の状況、外壁の状況、屋根の状況。このどれかが著しく危険な状態とみなされるものが対象です。
③ 不良度の評点が百以上であること。ここが数字の関門です。不良度(ふりょうど|国の規則で決まっている、住宅の傷み具合を点数にする物差し)を合算して、百以上になることが条件になっています。
別表を見ると、点の付き方が分かります。基礎、土台、柱、はりの腐朽や破損が著しく崩壊の危険があるものは、それだけで100点。屋根が著しく変形したものは50点、基礎に不同沈下(ふどうちんか|建物が場所によって不揃いに沈むこと)があるなど大修理を要するものも50点です。
小さいところでは、外壁の下地が露出しているもので15点、壁を貫通する穴があるもので25点、雨樋がないもので10点といった具合に積み上がります。
見習いのころ解体の現場に入りましたが、外から見て屋根の棟(むね|屋根のいちばん高い部分)が波打っている家で、中に入ったら土台が原形をとどめていなかった、ということがありました。外観で分かるほどの傷みは、たいてい見えない側がもっと進んでいます。
ただ、点数を自分で数える必要はありません。判定は市が行います。事前調査を申請すれば、書類審査と現地確認をしたうえで対象の可否を知らせてもらえます。
あと1点。除却工事をする敷地内の構築物は、すべて取り壊すことが条件です。母屋だけ壊して物置や車庫を残す、という進め方はできません。
申請できるのは個人だけ|会社名義の家は対象外
公式の一文がはっきりしています。「次のいずれかに該当する個人が対象者となります」
該当するのはこの2つです。
- ① 登記簿上の所有者:未登記の場合は固定資産税課税台帳上の所有者になります
- ② その所有者が死亡している場合は、その相続人:登記が親の名義のままの実家は、ここに当たります
対象者に挙がっているのは、所有者本人か、その相続人だけです。だから建物が法人の名義になっていると、申請できる人がいないことになります。
そのうえで外れる人も明記されています。市税の滞納がある人、暴力団関係者、それに抵当権設定者など他の権利者からの同意を得られない人です。
住宅ローンの抵当権が消えないまま残っている家は、金融機関の同意が要る、と読んでおいてください。
それから権利者が他にもいる場合は、全員の同意が必要になります。兄弟姉妹で相続した実家は、ここが最初の関門です。誰か一人でも反対していると先へ進めないので、業者を探すより先に家族の話をまとめるほうが早い。
市が公開している事業概要のPDFには、国や県、市の他の制度で補助金を交付されたものは対象外、とも書かれています。ほかの補助と重ねて使うことは想定されていません。
ひとつ、正直に書いておきます。この「評点が百以上」という基準は公式ページと事業概要のPDFに書かれているのですが、同じページから開ける交付要綱のほうには見当たりませんでした(要綱は倒壊や部材の落下の危険があると市長が認めるもの、という書き方です)。逆に要綱の側には、空家等対策特別措置法にもとづく勧告を受けていないこと、それに補助金の交付は1人につき1回を限度とすること、という条件が書かれています。ページの更新日は2026年5月14日、要綱は平成29年11月20日の告示です。どちらか片方だけを見て判断すると足をすくわれるので、この記事は両方の条件を満たす前提で書いています。自分の家がどう扱われるかは、業者を探し始める前に空家対策室(電話0197-34-2344)で確かめてください。
いちばんの落とし穴|契約も着工も「交付決定のあと」

ここが奥州市でいちばん大事なところです。公式ページは対象工事の要件として、こう書いています。「補助金の交付決定後に契約及び着手し、令和9年3月20日までに完了報告ができる除却工事であること」
交付要綱の第4条にも「第8条の規定による交付決定の通知の日以後に契約し、及び着手した除却工事であること」とあり、交付決定通知書の様式にも、交付の条件として「工事の契約及び着手は、補助金の交付決定後とすること」と書かれています。3つの文書が同じことを言っています。
つまり決定の通知が届く前に契約書に判を押した工事は、対象から外れます。見積もりを取るところまでは自由ですが、契約はいったん止めてください。
流れは市の申請フロー図のとおりです。
- ① 事前調査申請(様式第1号):付近見取図、現況写真、平面図を添えて空家対策室へ提出します
- ② 事前調査結果通知(様式第2号):市が書類審査と現地調査を行い、対象の可否を知らせます
- ③ 補助金交付申請(様式第3号)→ 交付決定通知(様式第4号):見積書の写しや登記事項証明書などを添えて申請します
- ④ 請負契約締結・工事着手:ここでようやく契約です
- ⑤ 完了実績報告(様式第7号)→ 交付額確定(様式第8号)→ 交付請求(様式第9号)→ 補助金支払
完了報告にも期限があります。公式ページの条件は令和9年3月20日まで。要綱ではもう少しこまかく、工事が完了した日から30日を経過する日か、完了した日の属する年度の3月20日か、早いほうの日までと決められています。
お金の順番も知っておいてください。交付決定通知書には「除却工事が完了し、補助金交付額確定後交付する」とあります。補助金が振り込まれるのは工事が終わったあとで、工事費はいったん自分で立て替える前提です。
公式は、自己負担分に金融機関の空き家ローンなどが使える場合がある、とも案内しています。事業概要のPDFには、市と協定を結んでいる地元の金融機関の融資なら金利の優遇を受けられる場合がある、という記載もあります。手元の資金が心配なときに取れる順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています。
頼めるのは市内に事業所がある業者|市が名簿を公開している
もうひとつの条件が業者です。公式ページはこう書いています。「建設業の許可などを受けた市内に事業所を有する事業者に請け負わせる除却工事であること」
要綱はさらに具体的で、土木工事業、建築工事業、とび・土工工事業、解体工事業のいずれかの許可か、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)の登録を受けた市内事業者、と書かれています。
つまり市外の安い1社に決めてしまうと、工事はできても補助のほうが使えません。相見積もりを取るのはぜひやってほしいのですが、比べる相手は市内に事業所がある業者どうしにしてください。
探し方はあります。奥州市は空き家等解体工事事業者の登録名簿を作って公開しており、生活環境課のページからPDFで開けます。この名簿に載っていることが条件だとは、公式ページにも要綱にも書かれていません。ただ、市内の業者を探す入口としては早い。
その名簿のページには、市の言葉でこう添えられています。「市では、業務の仲介・あっせんを行っていません」「費用が高額になる場合などは、複数の事業者からお見積りをいただくことをお勧めします」
市自身が相見積もりを勧めている、ということです。補助金を使いながら相見積もりで安くする順番は補助金と相見積もりを両立させる記事にまとめています。
募集は令和8年度6戸|受付の方法は公式に書かれていない
予算のことも正直に書いておきます。公式ページの募集戸数の欄にあるのは「令和8年度 6戸」の一行だけです。
そして注意事項の先頭に、こう書かれています。「予算の都合により、補助事業の対象となっても、交付申請及び事業実施を翌年度以降にお願いする場合があります」
対象と認められても、その年のうちに進められるとは限らない、ということです。解体の時期を売却や相続の予定に合わせたいなら、早めに相談しておく意味があります。
いっぽうで、受付の開始日や締切日、それに受付の順番の決め方については、公式ページ、事業概要、交付要綱、別表、様式、申請フロー図のどれにも記載が見当たりませんでした。書かれていないことを推測して書いても読者の役に立たないので、ここは空家対策室(電話0197-34-2344)に直接聞いてください。
聞くことは3つで足ります。今年度の受付はまだ空いているか、事前調査の申請はいつまで受け付けるか、自分の家は対象になりそうか。どれも電話1本で聞けます。
条件に届かない場合|解体費そのものを下げる
個人ではない。傷みが評点に届かない。他の補助をすでに使っている。条件がはっきりしている制度なので、当てはまらない人も出ます。
それでも手はあります。解体は業者によって金額の差が大きい工事です。
見習いのころ入った現場でも、前の道が狭くて重機が入らないというだけで段取りが丸ごと変わりました。手壊しが増えれば、人手も日数も増えます。
補助が使えない前提でも、2〜3社に同じ内容で相見積もりを取れば、同じ工事でも数十万円変わることは珍しくありません。断るのが気まずいなら「家族と相談して決めました」で十分です。
▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※奥州市の補助を使うつもりなら、集まった見積もりのうち市内に事業所がある業者を比べてください。契約は交付決定のあとです)
▶ 壊すか、直して使う・貸すかで迷っているなら、直す場合の費用も無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※まだ十分に使える家なら、壊さずに直して住む・貸すという道もあります。実家や空き家を活かす補助は実家・空き家リフォームの補助金で整理しています)
よくある質問
北上市の補助と条件は同じですか?
補助率と上限は同じですが、中身は別の制度です。北上市の危険空き家等除却補助金も除却費用の5分の4・上限50万円ですが、対象になるのは市の空き家台帳に登録されているか、おおむね1年以上使われていない空き家で、受付は先着順です(北上市公式・2026年7月23日照合)。奥州市は6か月以上居住がないことが条件で、申請できるのは個人だけ、工事は市内に事業所がある業者で除却工事費20万円以上、そして募集戸数は令和8年度6戸。数字が同じでも条件は別物なので、隣の市の情報をそのまま当てはめないでください。北上市の中身は北上市の解体補助金にまとめています。
もう解体業者と契約してしまいました。今からでも申請できますか?
奥州市の対象工事は「補助金の交付決定後に契約及び着手」した除却工事と決められています。交付決定より前に契約した工事は、この要件を満たしません。まだ着工していないなら、工事を進める前に空家対策室(電話0197-34-2344)へ事情を伝えて相談してください。着工まで進めてしまうと、そこは取り返しがつきません。
家の中の家具や家電の処分費も補助の対象になりますか?
対象外です。公式は対象工事の費用について「家財道具その他の造作の撤去、運搬及び処分に要する費用を含まない」と書いています。除却工事費だけが5分の4の計算のもとになります。だからこそ見積書は、解体と家財の処分を分けて出してもらってください。片付けの費用の目安は空き家・実家の片付け費用にまとめています。
解体すると固定資産税が上がると聞きました
土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。奥州市の公式ページにも、除却により住宅地特例が適用されなくなるため翌年度からの土地の固定資産税額が増額となる場合がある、と注意書きがあります。解体の時期は、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。実家をどうするか全体で迷っているなら実家が空き家になったらどうするかもどうぞ。
まとめ
- 奥州市危険空き家除却工事補助金は、除却費用の5分の4・上限50万円(1,000円未満は切り捨て)。家財道具の撤去・運搬・処分費は計算に入りません
- 対象の家は6か月以上住んでいない居住用の空き家で、傾斜・基礎・外壁・屋根のどれかが著しく危険、かつ不良度の評点が百以上のもの。判定は市の書類審査と現地確認で決まります
- 申請できるのは個人だけ。登記簿上の所有者か、その相続人です。ほかに権利者がいる場合は全員の同意が要ります
- 工事は建設業の許可などを受けた、市内に事業所がある業者に頼むこと。除却工事費が20万円以上であることも条件です
- 順番は事前調査の申請→対象の可否の通知→交付申請→交付決定→契約・着工。契約も着手も交付決定のあとで、完了報告は令和9年3月20日まで
- 募集は令和8年度6戸。受付の期間や方法は公式に記載が見当たらないので、空家対策室(0197-34-2344)へ電話で確認を
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