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「大崎市の古い空き家を解体したい。補助金は使える?」
先に結論です。大崎市には危険な空き家の解体費を補助する制度があり、対象になる経費の2分の1・上限30万円が出ます。金額はおとなしめです。
ただ、この制度でつまずくのは金額より条件のほうだと思います。家の傷み具合だけでなく、頼む業者にも条件があります。市内に事業所がある業者の工事でないと、対象になりません。
元大工で中立の立場のおさむが、大崎市公式(2026年7月28日照合)をもとに、条件と動く順番を整理します。除却(じょきゃく)は、建物を取り壊して撤去することです。
※2026年7月28日時点の大崎市公式サイト(環境保全課空き家対策担当「大崎市危険空家等除却費補助金」のページと、そこからダウンロードできる交付要綱・別表・様式第1号、および建築指導課「危険ブロック塀等の除却助成事業」のページ)にもとづきます。耐震の建替えの枠については、2026年8月4日に建築指導課「木造住宅の耐震診断・改修の助成事業」のページと、大崎市例規集の交付要綱を照合しました。予算で変わり、内容が見直されることもあるため、申請前に必ず公式ページや環境保全課の窓口でご確認ください。
まず結論|2分の1・上限30万円。ただし条件が3つ重なる

この制度は、危険な空き家を減らして周りの生活環境を守るためのものです。「古いから」「空き家だから」というだけでは入口に立てません。押さえるのは3つです。
- 補助の額:補助対象工事に要する経費の2分の1で、上限は30万円。1,000円未満は切り捨てです
- 対象の家:昭和56年5月31日以前に建てられた空き家で、交付要綱の別表に定める傷みの基準を満たすもの
- 頼む業者:市内に事業所を有する法人または個人で、県知事による解体工事業者の登録を受けたもの、または建設業法の一定の工事業の許可を受けたものが行う工事であること
3つ目が曲者です。家の条件はそろっているのに、業者選びのせいで補助が使えない、という順番の事故が起こり得ます。
受付の期間については、公式ページに記載が見当たりませんでした。書かれているのは「予算の範囲内で」交付する、という一言です。いつまでに申請すればいいかは、環境保全課に直接聞くのが確実です。
いくら出る?|対象になる経費の2分の1・上限30万円
公式の書き方はこうです。「補助対象工事に要する経費の2分の1で、30万円を限度とします。(1,000円未満は切り捨て)」
危険度や築年数で額が段階に分かれる市もありますが、大崎市は区分けがなく、この一行だけです。
気をつけたいのは、解体工事の総額がそのまま計算のもとになるわけではないところ。公式は、対象にならない経費を4つ挙げています。
- 立木の伐採処分費
- 家具および家電品の運搬処分費
- 土砂の搬入や砂利敷きなどによる敷地整備費
- 除却工事により生ずる損失の補償費
空き家の解体で金額が膨らみやすいのが、まさに2つ目の家財の処分です。長く空いていた実家には、家具も家電もそのまま残っていることがあります。そこは補助の外側、という設計です。
だから見積書のつくりが効いてきます。公式が申請書に添えるよう求めているのは「工事積算書または見積書の写し(補助対象工事とそれ以外の工事を分離したもの)」です。解体そのものと、家財の処分や庭木の伐採を分けて書いてもらう。これを最初の打ち合わせで業者に伝えてください。
「解体工事 一式」とだけ書かれた見積書は、あとから中身を割れません。分けてもらうのは補助のためでもあり、自分が高いか安いかを判断するためでもあります。
もうひとつ、現実的な話も添えておきます。木造の解体費は30坪で90〜150万円ほどが目安です。30万円が満額出ても自己負担は残ります。補助ありきで考えるより、解体費そのものを下げる工夫とセットで考えるほうが手元にお金が残る。相場と内訳は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
対象になる家|昭和56年5月31日以前・別表の傷み・隣との距離
家の条件は3つ重なります。順に見てください。
① 建った時期。昭和56年5月31日以前に建築された空家などであることが条件です。いわゆる旧耐震(きゅうたいしん|今の耐震基準に切り替わる前の基準)の時代の建物にあたります。あわせて、新築や改築など建て替えに伴う除却でないこと、所有権または賃借権以外の権利が設定されていないことも必要です。住宅ローンの抵当権が残ったままの家は、ここの確認が要ります。建て替えるつもりの方は、この枠ではなく後半の耐震の枠を見てください。
② 傷み具合。交付要綱の別表に、目で見て分かる基準が並んでいます。項目は「著しい傾斜」「基礎及び土台」「柱,はり,筋かい,柱とはりの接合等」「屋根ふき材,ひさし又は軒」「外壁」の5つです(筋かい=柱と柱の間に斜めに入れる補強材)。
たとえば傾斜なら「木造建築物について、20分の1超の傾斜が確認できる」とあります。1メートルにつき5センチを超える傾き、ということです。ほかにも基礎と土台のずれ、土台の腐朽や蟻害(ぎがい|シロアリによる被害)、瓦やトタンが剥がれ落ちそうな状態、外壁を貫通する穴といった項目が並びます。
外から目で見て分かるほど傷んでいる家は、床や壁をはがすと見えていた以上に傷んでいることがあります。見習いのころ入った解体の現場でも、外から分かる沈みの下で土台が原形をとどめていない家がありました。判定は市の外観調査によりますが、心当たりがあるなら相談してみる価値はあります。
③ 隣との距離。ここが大崎市でいちばん見落とされやすいところです。別表の備考には、こう書かれています。「調査項目のいずれかに該当し,かつ,隣地等への影響を考慮し,建築物から隣地境界線(道路・河川含む。)までの水平距離が当該建築物の高さ以内であること」
つまり傷んでいるだけでは足りず、倒れたときに隣や道路に届く近さにあることが条件になります。建物の高さが6メートルなら、境界線までの水平距離が6メートル以内、という読み方です。広い敷地の真ん中にぽつんと建つ建物は、傷んでいても外れる可能性があります。備考にはもう一つ、隣地の高さについての条件も添えられています。読み取りが難しいところなので、自分で結論を出さず窓口へ。
申請できる人|所有者・相続人・管理者に「申請順位」がある
申請できる人は3種類で、公式は申請順位まで示しています。上から順に見てください。
- ① 所有者またはその後見人:市内に所在する空き家の所有者として、登記事項証明書(未登記の場合は固定資産課税台帳)に記載されている人です
- ② 所有者の相続人:登記がまだ親の名義のまま、という家はここに当たります
- ③ 空家などの管理者:所有者や相続人から管理を任されている人です。申請には所有者または相続人からの委任状が要ります
交付要綱では、これに相続財産清算人や財産管理人も加えた4種類が対象者として定められています。
そのうえで、大崎市の市税に滞納がないこと、この補助金の交付を受けたことがない人であること、特定空家等への勧告のあとに措置命令を受けていない人であること、という条件が付きます。2つ目は要するに、この補助を使えるのは1回まで、ということです。
所有者や相続人が複数いる場合は、全員の工事同意書(様式第2号)が要ります。兄弟姉妹で相続した実家だと、この同意書がひとつの関門です。先に家族で話を通しておくと、そのぶん早く進みます。土地の所有者が別の人なら、土地の所有者の同意書も必要です。
いちばんの落とし穴|工事を頼めるのは「市内に事業所がある業者」
公式ページは、補助の対象になる工事の条件として、こう書いています。「市内に事業所を有する法人または個人で、県知事による解体工事業者の登録を受けたもの、または建設業法の一定の工事業の許可を受けたものが行う工事であること」
さらっと書かれていますが、業者選びで補助が消える条件です。相見積もりを取ること自体はぜひやってほしい。ただ、大崎市の補助を使うつもりなら、比べる相手は市内に事業所がある業者どうしにしてください。市外の安い1社に決めてしまうと、工事は問題なく進んでも、補助のほうが使えない、ということになりかねません。
登録や許可も条件のうちです。公式が挙げているのは、県知事による解体工事業者の登録を受けたものか、建設業法の一定の工事業の許可を受けたもの。見積もりをもらったら、登録番号や許可番号を聞いてください。きちんとした業者なら、聞かれて嫌がることはまずありません。
ひとつ、正直に書いておきます。この「昭和56年5月31日以前」と「市内に事業所を有する」の2つは、公式ページには載っているのですが、同じページから開ける交付要綱のPDFのほうには見当たりませんでした。ページの更新日は2026年6月17日、要綱の最終改正は令和5年4月1日の施行です。新しいのはページのほうなので、この記事はページの条件で書いています。そのうえで、業者を絞り込む前に環境保全課(電話0229-23-6074)へ一本電話を入れてください。市内の業者に限るのかどうかは、見積もりを頼む前に確かめておきたいところです。
申請の流れ|事前の申し出が先・工事は交付決定の後

大崎市は、入口が申請書の提出ではありません。公式にはこうあります。「事前に申し出をいただき、当該建物について職員が外観調査を行います。倒壊や飛散の恐れ、隣地等への影響等の基準を満たす場合は下記の流れで手続きを行います」
まず電話や窓口で申し出て、職員に見てもらう。そこを通ってから、書類の話に進みます。
- ① 交付申請(様式第1号):工事の着工前に、空き家の位置図、工事着手前の現況写真、見積書の写しなどを添えて申請します
- ② 交付決定:環境保全課から申請者へ通知が送られます
- ③ 工事:公式の流れでは、工事は交付決定のあとです
- ④ 実績報告(様式第5号):工事請負契約書の写し、領収書の写し、工事着手前と完了後の写真を添えて提出します
- ⑤ 交付確定 → 交付請求(様式第8号)→ 補助金交付:ここでようやく振り込まれます
実績報告には期限があります。「対象工事の完了後30日または当該年度の3月20日のいずれか早い日まで」となっています。年度末が近いと30日を待たずに3月20日で切られるので、冬に工事をするなら日程に余裕を持たせてください。
契約をいつ結ぶかについては、公式ページに書かれていませんでした。ただ、申請は着工前、工事は交付決定の後、という順番は明記されています。業者と契約書を交わす前に、環境保全課へ順番を確認しておくのが安全です。先に契約して着工してしまってから相談する、が一番もったいない進み方になります。
お金の流れも押さえておきます。補助金が振り込まれるのは、工事が終わって報告と請求を済ませたあとです。工事費はいったん自分で立て替える前提になります。手元の資金が心配なときの順番は、解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています。
建て替えるなら別の枠|耐震の建替えに上限115万円
ここまでの補助金は、空き家を壊して更地にする人の枠です。条件に「新築や改築など建て替えに伴う除却でないこと」とあるとおり、建て替えが前提なら使えません。
ただ、大崎市には建て替える人のための枠が別にあります。環境保全課ではなく、建築指導課が持っている木造住宅の耐震改修工事助成事業です。
対象は公式に「市の木造住宅の耐震診断事業で耐震性が無いとされ、作成した改修計画を基に耐震改修工事、建て替え工事をする住宅」と書かれています。基本上限額は1,150,000円(改修費用の5分の4)。その他の改修工事を併せる場合は上限100,000円の加算金があります。受付は令和8年5月7日から令和9年1月29日までです。
ただし、こちらには除却の枠とはまるで違う条件が付きます。交付要綱に、建替え後の住宅は「耐震建替え工事に係る補助金の交付を受けようとする者の居住の用に供するもの」と定められています。建て替えたあと、その家に自分が住むことが条件ということです。市のページには出てこない条件で、要綱を開いてはじめて分かりました。
壊して更地にするだけの方、建て替えても自分は住まない方は、この枠には入れません。その場合はここまでの除却費補助金のほうを見てください。
お金の中身も違います。交付要綱では、補助の対象になる経費が耐震改修工事に要する費用(建替えの場合はその相当分)に限られていて、解体費がどこまで入るかは書かれていません。解体費が出る枠だと思って進めると当てが外れます。見積もりを取る前に、建築指導課 指導担当(電話0229-23-8057)へ確かめてください。
入口は耐震診断です。市の木造住宅耐震診断助成事業(昭和56年5月31日以前に建築した3階建て以下の戸建て木造住宅が対象)を先に受けて、耐震性が無いと出るところから始まります。診断を飛ばして先に壊してしまうと、この入口には入れません。県内のほかの市の耐震の枠は宮城県の解体補助金の記事に並べています。
塀だけなら別の制度|危険ブロック塀等の除却助成
家は対象にならないけれど、道路沿いの古いブロック塀が気になる。そういう場合は、建築指導課が持っている別の制度があります。
- 補助の額:除却費用の6分の5、または除却部分の面積1平方メートル当たり9,500円のいずれか低い額。上限は375,000円です
- 対象の塀:道路に面していて、道路からの高さが1メートル以上(擁壁(ようへき|土を留めるための壁)の上なら40センチ以上)で、市の実態調査で危険と判定されたもの。全部を撤去するのが原則です
- 受付:令和8年5月7日から令和9年2月26日まで。こちらは受付期間が公式に示されています
こちらも工事の着手前に申し込みます。令和8年度からは補助金代理受領制度が使えるようになっていて、申請者と工事施工者の合意があれば、業者が代理で補助金を受け取れます。立て替えの負担にかかわる話なので、公式も「制度の利用を希望される申請者は、契約する予定の方とよく話し合ってください」と添えています。窓口は建設部建築指導課の指導担当(市役所東庁舎2階)か、各総合支所の地域振興課になります。
対象にならない・条件に届かない場合
傷みが別表に届かない。境界線から遠い。この補助はもう一度使えない。そういう場合でも、打つ手は残っています。
解体は業者によって金額の差が大きい工事です。同じような家でも、重機の入れ方や廃材の処分の仕方で見積もりは大きく動きます。見習いのころ入った現場でも、前の道が狭くて重機が入らないというだけで段取りが丸ごと変わりました。手壊しが増えれば、人手も日数も増えます。補助が使えない前提でも、2〜3社に同じ内容で相見積もりを取れば、数十万円変わることは珍しくありません。
断るのが気まずいなら「家族と相談して決めました」で十分です。金額の理由を問い詰められる筋合いはありません。
▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※大崎市の補助を使うつもりなら、集まった見積もりのうち市内に事業所がある業者を比べてください。申請は工事の着工前です)
▶ 壊すか、直して使う・貸すかで迷っているなら、直す場合の費用も無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※まだ十分に使える家なら、壊さずに直して住む・貸すという道もあります。実家や空き家を活かす補助は実家・空き家リフォームの補助金で整理しています)
よくある質問
受付はいつまでですか?
大崎市の公式ページには、この補助金の受付期間の記載が見当たりませんでした。交付要綱には「市長が別に定める日までに」提出する、とあります。その日付は公表されていないので、環境保全課(電話0229-23-6074)に今年の締切と予算の残りを聞いてください。「予算の範囲内で」交付する制度なので、対象になりそうなら早めに動く意味はあります。
もう解体業者と契約してしまいました。今から申請できますか?
公式ページは「工事の着工前に」交付申請書を提出するよう求めており、申請の流れでも工事は交付決定のあとです。すでに契約済みの場合にどう扱われるかまでは、公式ページからは読み取れませんでした。着工する前に、環境保全課へ事情を伝えて確認してください。着工してしまうと、そこは取り返しがつきません。
仙台市の解体補助と同じ条件ですか?
いいえ、別の制度です。仙台市の解体補助は、市が「特定空家等」と判定した空き家が対象で、対象経費の3分の1・上限50万円。大崎市は特定空家等の判定が入口ではなく、昭和56年5月31日以前に建てられたことと、別表の傷みの基準を満たすことが条件です。仙台市の中身は仙台市の解体補助金にまとめています。市が違えば条件も金額も別物なので、近くの市の情報をそのまま当てはめないでください。
解体すると固定資産税が上がると聞きました
土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。実家をどうするか全体で迷っているなら実家が空き家になったらどうするかもどうぞ。
まとめ
- 大崎市危険空家等除却費補助金は、補助対象工事に要する経費の2分の1・上限30万円(1,000円未満は切り捨て)。家具や家電の運搬処分費、立木の伐採処分費などは対象外です
- 対象の家は昭和56年5月31日以前に建てられた空き家で、要綱別表の傷みの基準を満たすもの。加えて、建物から隣地境界線までの水平距離が建物の高さ以内であることが備考に定められています
- 申請できるのは所有者またはその後見人、相続人、管理者の順。市税の滞納がなく、この補助金の交付を受けたことがない人が対象です
- 工事を頼めるのは市内に事業所がある、登録または許可を受けた業者。相見積もりも市内の業者どうしで比べてください
- 順番は事前の申し出→職員の外観調査→着工前に交付申請→交付決定→工事。受付期間は公式に記載がないので、環境保全課(0229-23-6074)へ確認を
- 家が対象外でも、道路沿いの危険なブロック塀は別制度(除却費用の6分の5または1平方メートル当たり9,500円の低い方・上限375,000円・令和9年2月26日まで)が使えます
- 壊して建て替えるなら、建築指導課の耐震の枠(改修費用の5分の4・基本上限1,150,000円)が別にあります。ただし交付要綱で建て替えたあと自分が住むことが条件。解体費がどこまで入るかは書かれていないので、見積もり前に0229-23-8057へ
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