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「山口県で古い実家を解体したい。補助金は出る?」
先に正直な結論です。山口県(県庁)としての一律の解体補助はなく、制度は市や町ごとです。しかも同じ県内なのに、金額の開きがとても大きい。上限30万円の市もあれば、条件しだいで150万円まで出る市もあります。同じ「山口県」とは思えないほど、市によって別物です。
大事なのは、金額の大きさより「自分の家が対象になるか」だということ。この記事で見た9市はどれも、古いだけ・空き家だからというだけでは出ませんでした。判定が要らない枠を持つ市もあるので、自分の市の窓口で確かめてください。この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、下関市・山口市・宇部市・萩市・岩国市・柳井市の公式サイトを照合して整理します。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
※2026年7月22日時点の各市の公式サイトにもとづきます。下関市・山口市は各市の制度ページ、宇部市・萩市・岩国市・柳井市・周南市は各市の除却補助のページで照合しました。年度・予算で変わるため、申請前に必ず各市の公式ページで最新をご確認ください。
県内6市の早見表【2026年度】

見てのとおり、同じ県でも入口も金額もそろっていません。ポイントは3つ。①上限は岩国市の30万円から柳井市の150万円まで開きがある、②率も岩国市・山口市の3分の1から萩市の3分の2までばらばら、③この記事で見た9市はどれも入口が「危険な空き家」や「跡地の活用」で、ただ古いだけ・空いているだけでは出ない、です。順番に、自分の家がどこに当てはまるか当てはめながら読んでください。
市ごとの実態|金額も条件もバラバラ
下関市|危険な空き家は40万円、駅周辺は100万円の2本立て
県内最大の市、下関市の補助は入口が2つに分かれています。ひとつは危険家屋除却推進事業で、市内の傷んだ空き家の除却に費用の2分の1・上限40万円。市の判定で不良度が100点以上など、放っておくと危ないと言えるほど傷んだ空き家が対象で、重点対象地区(中心市街地斜面地周辺地区)なら上限は60万円に増えます。もうひとつが下関駅周辺地区の空き家除却で、駅の近くの決められた区域にある空き家を壊すと、費用の2分の1・上限100万円。こちらは危険かどうかの判定がいりません。ネットで見る「80万円」は自治会が壊すケースの上限で、個人の基本は40万円です。くわしくは下関市の解体補助金の記事で2つの入口に整理しています。
山口市|危険な空き家に3分の1・上限50万円。無接道なら60万円
県庁所在地の山口市は、老朽危険空家等除却促進事業が解体そのものに届く本命です。補助は費用の3分の1・上限50万円。道路に接していない、いわゆる無接道の敷地なら、10万円が上乗せされて上限60万円になります。壊しにくい家ほど手厚い、という設計です。対象は、傷みの評点も周りへの危なさもどちらも100点以上と市が判定した空き家。ネットで見かける「上限100万円」「約半分」は、がけ地からの移転という別の制度の話で、ふつうの空き家の解体は50万円と考えてください。くわしくは山口市の解体補助金の記事にまとめています。
宇部市|跡地の活用が前提。解体だけには出ない
宇部市は、ほかの市と少し毛色が違います。空家等跡地活用促進事業という名前のとおり、空き家を壊すだけでは対象にならず、跡地を活用することが条件です。壊したあとの土地を地域の活性化に活かすなら、費用の2分の1・上限50万円。市の中心部(まちなかエリアなど)で新しく住宅を建て、申請者が若者・子育て世帯なら、加算で最大100万円まで届きます。対象は昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した一戸建てで、市が不良住宅と判定したものなど。「更地にして売りたいだけ」の方には向かない、活用とセットの制度だと覚えておいてください。
萩市|補助対象経費の3分の2・上限100万円で手厚い
城下町として知られる萩市は、この記事で見た9市の中では手厚い部類です。老朽危険空家除却促進事業で、補助対象経費の3分の2以内・上限100万円。ただし率の見え方には注意で、補助対象経費は工事費の8割で計算されるため、実際に戻るのは工事費のおよそ半分になります。
対象は、不良度判定が100点以上で周りに危険が及ぶ、木造か軽量鉄骨造の空き家。令和8年度の受付は12月11日まで、10件程度の予算内で先着順です。市内に事業所のある業者に頼むことも条件になります。
岩国市|除却費の3分の1・上限30万円
岩国市の老朽危険空き家除却促進事業費補助金は、除却工事費(税抜)の3分の1以内・上限30万円。この記事で見た9市の中では控えめな額です。
対象は、市の事前調査で不良度・危険度・周囲への影響度が高いと認定された空き家で、木造か軽量鉄骨造のもの。重量鉄骨やコンクリート造は対象から外れます。
更地にすることが条件ですが、浄化槽や樹木、家財道具の処分費は対象外で、あくまで住宅部分の解体費だけが対象です。同じ人への交付は1年度に1回まで。受付は令和8年5月15日からで、募集予定数に達すると終わります。
柳井市|費用の2分の1・上限150万円(拡充中)
早見表の6市の中では、いちばん金額が大きいのが柳井市です。空き家除却補助制度を拡充していて、補助は費用の2分の1・上限150万円。たとえば対象経費が300万円なら150万円、155万円なら77万5千円が戻る計算です。
ただし、これは令和7年度から令和9年度までの3年間の重点的な取り組みで、いつまでもこの額とは限りません。令和8年度は予算を1億円に倍増し、要件も緩められています。
市内に本店のある解体業者に頼むこと、動産や樹木の撤去は対象外なことなどの条件はありますが、上限150万円は、この記事で見た9市の中でも大きいほうです。同じ150万円の枠は長門市にもあります。使えるうちに、という意味でも早めの相談が有利です。
長門市と美祢市には、上限100万円を超える枠があります
ここも書き直しました。以前この記事では「上限は30万〜50万円というのが県内の中心」とだけ書いていましたが、それより大きい枠が県内にあります。
長門市|面積で100万円と150万円に分かれます
長門市危険空き家等除却事業補助金は、家の広さで2つに分かれます。延べ床面積が200平方メートル未満なら経費の2分の1・限度額100万円、200平方メートル以上500平方メートル以下なら2分の1・限度額150万円です。
ただし、ここには重い条件が付きます。除却後5年間は、解体後の土地で家屋等の建設・土地の譲渡・営利目的の事業を行わないことという条件です。市のページの言葉をそのまま引いています。
壊してすぐ売りたい方には使えません。5年間、更地のまま持ち続ける覚悟がある方の枠だと考えてください。
もうひとつ、所得の線があります。申請者世帯の前年所得金額の総計が500万円未満であること。これは令和7年度に250万円未満から緩和されているので、以前あきらめた方はもう一度見る価値があります。
市職員の家屋不良度判定が100点以上であること、世帯に市税等の滞納がないことも条件です。
順番は、まず建築住宅課へ電話して現地確認を依頼するところから。おおむね7日後に点数が出て、そこで足りなければ申請そのものができません。窓口は建築住宅課(電話0837-23-1186)です。
美祢市|2分の1・上限100万円。ただし申請は10月末まで
美祢市危険家屋除却推進事業補助金は、危険空家の除却に要する経費の2分の1・限度額100万円です。この記事の6市と違って法人も申請できます。
気をつけたいのは締切です。市は補助金の申請は10月末までに提出する必要がありますと明記しています。しかも工事は申請年度の2月末日までに完了しなければなりません。年度末ぎりぎりでは間に合いません。
対象戸数は8戸程度と公表されています。延べ床面積の2分の1以上が居住用の建物で、常時無人であること、不良住宅かつ周辺への危険度判定の項目に当てはまることが条件です。
所有者が複数なら全員の同意、家が建っている土地の所有者が申請者と違うならその方の同意も要ります。市税の滞納がないことも必要です。窓口は建設課(電話0837-52-1116)です。
※長門市(更新日2026年3月24日)・美祢市(更新日2026年4月1日)の各公式ページを2026年8月10日に照合しています。
ここまでの市以外にお住まいなら
周南市にも解体への補助があります。危険空き家解体事業補助金で、費用の2分の1・上限50万円。市内の危険な空き家が対象で、現地確認で対象と判定された方が申請できます(令和8年度は追加募集)。このほか、防府市・下松市・光市・山陽小野田市など、ここに挙げていない市や町にも、危険な空き家の除却補助がある場合があります。
郡部の町にも制度はあります。周防大島町の危険空家等除去事業は、補助対象経費の3分の1・上限50万円。対象は特定空家等、またはこれに準ずる空き家(国の不良度判定で評点100点以上のもの)で、町税を滞納していないことなどが条件です。窓口は空家定住対策課(電話0820-74-1033)。
※周防大島町は2026年8月12日時点の公式ページと交付要綱で照合しています。
率は費用の3分の1か2分の1が多いのですが、上限は市によってかなり開きます。30万円の市がある一方で、長門市の150万円、美祢市の100万円、柳井市の150万円があります。自分の市町の実際の上限を確かめてください。
山口県のサイトには、県内の市町の空き家の相談窓口や補助制度をまとめた情報があり、まず自分の市町に制度があるかを確認できます。個別に調べるときは、「市町村名+空き家 解体(除却)補助金」で検索し、URLが lg.jp の公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度が古いことが多いためです。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。
どの市でも共通の鉄則
- 工事の契約前に申請し、交付決定を受けてから契約・着工。先に契約すると1円も出ません
- 危険な空き家の補助は、まず市の「判定」や「現地調査」からです。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
- どの市も予算がなくなり次第終了。受付の期間や件数は市ごとに違い、年度の前半ほど有利です
- 市内業者限定・家財の処分費は対象外・跡地活用が条件の市があるなど、細かい条件は市ごとに違います。補助金は工事のあとに振り込まれるので、いったんは自分で立て替える前提で考えておいてください
解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。山口県には斜面地や細い道の多い土地も少なくなく、道の広さひとつで費用がふくらむ現場もあります。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
▶ 解体費の内訳(本体・付帯・処分費)を並べて比べるなら:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※市内業者限定の補助を使う市では、見積もり先が条件に合うかも確認してください)
▶ 解体でなく「直して住む・貸す」なら、リフォーム費用を無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※壊すか直すかで迷っている段階なら、直す場合の金額を先に知っておくと判断が早くなります。費用が心配なときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています)
よくある質問
山口県(県庁)としての解体補助金はないのですか?
解体費への一律の県補助はありません。県の役割は、市や町の空き家の相談窓口や補助制度をまとめて案内することが中心で、解体の窓口は各市町です。まず家がある市や町の建築・住宅の担当課を調べてください。山口県も空き家の情報を県のポータルサイトで発信しているので、あわせて見ておくと早いです。
なぜ同じ山口県で、上限30万円の市と150万円の市があるのですか?
制度のねらいと、時期の後押しが違うためです。多くの市は「危険な空き家を減らす」ことがねらいで、傷みの判定を通った家の解体そのものに補助を出しています。柳井市のように、令和9年度までの重点期間として上限を150万円に拡充している市もあれば、岩国市のように上限30万円の市もあります。金額の大小より、自分の家がどの市の、どの制度の対象になるかで使える額が決まります。住んでいる市の制度しか使えないので、金額の大きい市ではなく、自分の市の入口から考えるのが出発点です。
解体すると土地の固定資産税が上がると聞きました
上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にすると特例が外れるためです。周南市の案内でも、解体に伴って翌年度以降の土地の税額が高くなる可能性があると注意しています。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。払えるか不安なときの順番は解体費用が払えないときの記事にまとめています。
まとめ
- この記事で公式を照合したのは下関市・山口市・宇部市・萩市・岩国市・柳井市に長門市・美祢市・周南市を加えた9市です。山口県には13の市があるので、県内での順位や「いちばん」は、全部を見終えるまで書きません
- 山口県の解体補助は市や町ごとで、県の一律制度はない
- 下関市は危険な空き家に2分の1・上限40万円(重点60万円)、駅周辺の跡地活用は上限100万円。山口市は3分の1・上限50万円(無接道60万円)
- 萩市は3分の2以内・上限100万円で手厚く、柳井市は拡充で2分の1・上限150万円と早見表の6市では最大。岩国市は3分の1・上限30万円と控えめ
- 宇部市は跡地の活用が前提で、解体だけには出ない。周南市は2分の1・上限50万円
- 長門市は2分の1・限度額100万円(延べ床200平方メートル以上500平方メートル以下なら150万円)。ただし除却後5年間は土地を譲渡できないので、売るために壊す方には使えない。所得500万円未満の線もある
- 美祢市は2分の1・上限100万円で法人も可。ただし申請は10月末までで、工事は申請年度の2月末までに完了が必要
- この記事で見た市はどこも、まず市の判定・現地調査が入口。判定が要らない枠を持つ市もあるので、自分の市の窓口で確かめてください。共通の鉄則は契約前に申請と、業者差の大きい解体費を下げる相見積もり
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