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「東京都で古い実家を解体したい。補助金は出る?」
先に正直な結論です。東京都は市区ごとに制度がまるで違い、しかも『空き家だから』では出ない市区が多いです。八王子市のように相続で取得した空き家が入口の市もあれば、町田市のように耐震(地震への強さ)が足りない古い家が入口の市もあります。立川市にいたっては、空き家だけを対象にした解体の補助そのものがありません。
大事なのは、金額の大きさより「自分の家がどの入口に当てはまるか」と「その市区が今も受け付けているか」です。東京都では耐震や相続が入口の市区が多いという点だけ、先に頭に入れてください。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、八王子市・町田市・葛飾区・足立区・調布市・立川市の公式サイトと、東京都(都庁)の制度を照合して整理します。
※2026年7月23日時点の各市区と東京都の公式サイトにもとづきます。年度・予算で変わり、年度の途中で受付が終わることもあるため、申請前に必ず各市区の公式ページで最新をご確認ください。
主要6市区の早見表【2026年度】

見てのとおり、同じ東京都でも金額も入口もそろっていません。率も上限も、そもそも補助があるかどうかも、市区ごとにバラバラです。多摩地域は耐震や相続が入口、区部は木造が密集した地域の防災(不燃化)が中心、というように色合いも違います。順番に、自分の家がどこに当てはまるか当てはめながら読んでください。
市区ごとの実態|入口も金額もバラバラ
八王子市|相続した未耐震の空き家に3分の2・上限は経過年数で100万→50万→25万
八王子市の未耐震空き家除却支援補助金は、相続で取得した、耐震性の足りない空き家が入口です。金額は除却工事費の3分の2以内で、上限は相続からの経過年数で3段階に下がります。相続発生日から3年を経過する年度までなら上限100万円、5年までなら50万円、10年までなら25万円です。
対象になるのは、昭和56年5月31日以前に建てられた(旧耐震基準の)住宅で、耐震性が不足していると判定されたもの。相続の登記が済んでいて、個人が所有し、相続後に貸したり住んだりしていないことなども条件になります。「早く動くほど上限が高い」という珍しい設計なので、相続した家がある方は放置しないほうが有利です。数字の読み方や条件は八王子市の解体補助金の記事でくわしく整理しています。
町田市|倒壊の可能性がある旧耐震の木造が入口。除却費の23%・上限50万円
町田市の木造住宅の除却助成は、簡易耐震診断で『倒壊の可能性がある』と判断された旧耐震の木造が入口です。まず耐震診断が必要で、そこが最初の関門になります。
金額は、1981年(昭和56年)5月31日以前に着工した旧耐震住宅なら除却費の23%・上限50万円。1981年6月から2000年5月までに着工した住宅(在来軸組工法で1986年3月以前着工など条件あり)は11.5%・上限25万円です。賃貸用の住宅は対象外で、交付決定を受ける前に契約すると出ません。受付は2026年12月11日までです。申請の順番は町田市の解体補助金の記事で整理しています。
葛飾区|不燃化特区の対象地区なら最大200万円。ただし地区は限定
葛飾区の入口は、区が指定した地区に自分の家の住所が入っているかどうかです。使えるのは『不燃化特区』の対象地区に限られます。不燃化特区とは、木造住宅が密集して火災が燃え広がりやすい地域を、区と東京都が指定して燃えにくいまちに変えていくエリアのことです。
対象地区(四つ木、東四つ木、東立石、堀切の一部)にある、木造または軽量鉄骨造で、昭和56年5月31日以前に建てられた(または区の調査で危険と認められた)老朽建築物が対象。助成額は、延床面積×36,000円と実際の取壊し費用の低いほうで、最大200万円までです。制度は令和12年度まで延伸されています。自分の家が対象地区かどうかは、都市計画課の密集地域整備第一係(電話03-5654-8345)で確認してください。地区の外でも、区の建築課に木造住宅の除却助成があります。
葛飾区にはもう1本、西新小岩五丁目の全域を対象にした枠が令和8年8月1日にできました。不燃化集中促進事業の取壊し助成で、金額の決め方は不燃化特区と同じです。
足立区|区が「危険」と勧告した老朽家屋が対象。金額はまず窓口へ
足立区は入口の考え方が独特です。区の審議会が『危険な老朽家屋』と勧告した建物が、老朽家屋等解体工事助成の対象になります。屋根や外壁が落ちそうな家について区が調査・判定し、危険と認めた家が入口という流れです。
この老朽家屋等解体工事助成については、公式ページに助成額の数字が出ていません。金額と条件は建築室開発指導課の建築監察係(電話03-3880-6497)へ。
ただし足立区で数字が分かる枠は別にあります。不燃化特区の解体費助成がそれで、単価も限度額も公開されています。この記事の後ろの章にまとめました。
ほかに、木造住宅と非木造の建築物それぞれに除却・耐震工事の助成もあります。どれが自分の家に合うかも含めて、窓口で聞くのが早道でしょう。
調布市|解体だけでは出ない。耐震の「建替え」枠で解体費の23%・上限80万円
調布市は、解体だけの助成はなく、建て直しとセットの『建替え』が条件です。木造住宅耐震化促進事業の中に建替えの枠があり、耐震診断で耐震性が足りないと分かった旧耐震の住宅を解体し、同じ敷地に自分が住む家を新しく建てる場合が対象になります。
金額は建物の解体工事費用の23%・上限80万円です。壊すだけ、更地にして売るだけ、では対象になりません。ここは他市と勘違いしやすい点なので、建て直す予定があるかどうかで判断してください。くわしくは調布市の住宅課(電話042-481-7545)へ。
立川市|空き家だけを対象にした解体補助はなし。入口は耐震の枠
立川市には、『空き家だから』という理由だけで使える解体補助はありません。使えるのは、木造住宅の耐震化助成の中にある除却の枠だけです。
この除却枠は、旧耐震の木造住宅で、市の耐震診断(助成利用)を受けて上部構造評点が1.0未満(地震に対して弱いと出た)と判定された家が入口。金額は除却に要した費用の2分の1・上限50万円です。耐震の建替え枠(2分の1・上限100万円)もあります。いずれも耐震診断が出発点で、「空き家をただ壊す」だけでは補助に届かない設計です。
この木造の枠には、記事の前の版で書けていなかった条件があります。市税を滞納していないこと、建替えの場合は除却するとともに、その敷地に新たに住宅を建てること(更地にして売る人は使えません)、建替え後の住宅は原則として土砂災害特別警戒区域外で省エネ基準に適合すること。完了の届出は令和9年2月26日までです。
もうひとつ、こちらは条件がかなり絞られますが、立川市にはもう1本、除却と建替えにお金が出る枠があります。緊急輸送道路沿道建築物の耐震化助成制度です。市のページの助成内容に「除却に要する費用」「建替えに要する費用」が並んでいます。
ただし対象になる建物の条件が3つあり、そのうちの1つが効きます。道路幅員の概ね2分の1以上の高さの建築物であること。幅16メートルの道路なら8メートル以上ですから、ふつうの2階建ての実家は、まず当てはまりません。ほかの2つは、敷地が特定緊急輸送道路または市の要綱に定める緊急輸送道路に接していること、昭和56年6月1日の耐震基準改正前に建てられた建物であることです。
該当しそうなら、一度聞いてみる価値はあるはずです。相談先はどちらも市民部の住宅課で、緊急輸送道路のほうは申請の前に必ず事前相談(電話予約制)と市が明記しています。
それと、立川市はどちらの枠でも委任払いが使えるのが大きい。市の言葉では「申請者の一時的な費用負担が軽減される委任払いが利用できます」となっています。補助金にあたる分を業者へ直接払ってもらえるので、全額の立て替えが要りません。窓口は住宅課 住宅対策係(電話042-523-2111 内線2562)です(2026年8月10日確認)。
区部の「不燃化特区」なら別枠がある|ただし地区の中だけ

先に、使えない人から書きます。不燃化特区の除却助成は、区が指定した地区の中にある建物だけが対象です。同じ区でも、地区の外なら1円も出ません。
不燃化特区は東京都と区が組んで進めているもので、17区44地区が指定されています(東京都都市整備局の不燃化ポータル・最終更新2026年3月31日)。
この記事で中身まで開いたのは、葛飾区・品川区・足立区・墨田区・大田区の5区です。残りの12区は、地区の指定があることまでしか確かめていません。
品川区|築年の線が平成17年3月31日以前。延床100平方メートルの木造で360万円
品川区は8地区が指定されています。金額は木造で延床1平方メートルあたり最大36,000円、上限1,800万円。軽量鉄骨造は51,000円で上限2,550万円です。
上限の数字だけ見ないでください。実際の額は家の大きさで決まります。区の案内には延床100平方メートルの木造で360万円という例が出ています(令和8年7月1日から増額)。
実家の解体を考えている方にいちばん効くのは、築年の線のほうかもしれません。品川区は平成17年3月31日以前に建てられた木造まで入ります。
昭和56年5月31日で切る区より、20年以上あとの家まで対象という意味です。ただし平成5年6月25日以降に建てられた3階建て以上、または延べ面積500平方メートル超の建物は除かれます。
助成を受けられるのは、その建物の所有権を持つ個人または中小企業。工事の契約前に申請が要ります。
足立区・墨田区・大田区|地区も、金額の決まり方も違う
足立区は西新井駅西口周辺地区と足立区中南部一帯地区の2地区。木造は1平方メートルあたり28,000円、軽量鉄骨造は41,000円で、限度額は280万円です。
木造なら延床100平方メートルで限度額に届く計算になります。実際にかかった費用(消費税を除く)と比べて低いほうが出る仕組み。
築年は昭和56年5月31日以前、または区の調査で危険と認められた建物です。工事に着手したあとの申請は対象外で、着手の約1か月前までに申請が要ります。
墨田区は京島周辺地区と鐘ヶ淵周辺地区で、除却の助成は上限200万円。ここは築年ではなく耐用年数の3分の2以上が過ぎた建物という線を使っています。
区の例では、木造でおおよそ築15年から。対象は個人・中小企業者・公益社団法人等で、宅地建物取引業者がその土地を売る目的で壊す場合は外れます。
大田区は大森中地区と羽田二・三・六丁目地区で最大150万円。羽田の地区で道路に接していない建物を壊す場合は最大200万円です。
対象は昭和56年5月31日までに建てられた木造住宅で、除却するのは個人か中小企業者。補助29号線沿道地区だけは別建てで、実費と区が算定した額の低いほうになります(助成の対象になる延床は500平方メートルまで)。
どの区も工事の契約前に区の承認が要る点は共通です。自分の家が地区の中かどうかは、住所を伝えて区の窓口で聞くのがいちばん早いと思います。
この6市区以外にお住まいなら
東京都には62の市区町村があり、ここに挙げた6つ以外にも制度がある市区がたくさんあります。全部を一覧にするのは現実的でないので、『自分の市区の名前+制度』を公式で探すのがいちばん確実です。
探し方はかんたんです。「市区町村名+空き家 解体(除却)補助金」や「市区町村名+木造住宅 耐震 除却 助成」で検索し、URLが lg.jp や tokyo.lg.jp などの公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度が古く、今は受付が終わっている制度を「受付中」のまま載せていることがあるためです。傾向として、区部は不燃化・防災(木造密集地の取壊し)が中心、多摩地域は耐震や相続が入口の市が多い、と覚えておくと当たりを付けやすくなります。
もうひとつ、見落とされがちなのが東京都(都庁)の制度です。区市町村の補助とは別に、東京都空き家家財整理・解体促進事業があります。東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談したうえで解体する空き家の所有者が対象で、解体費の2分の1・上限10万円(家財の整理は2分の1・上限5万円)が出ます。ここで1つ注意です。都の要綱は「消費税及び地方消費税を除いた額」に2分の1を掛けると書いています。税込の見積書で計算すると、思ったより少なくなります(1,000円未満は切り捨て)。額は小さめですが、都内全域が対象です。区市町村の補助と一緒に使えるかなど、細かい扱いは相談窓口で確認してください。
東京都(都庁)として住民が直接申請できる大きな解体補助はなく、解体費そのものの入口はあくまで市区町村です。都は、区市町村の空き家対策を後ろから支えたり(不燃化特区の除却費などを区に補助)、無料のワンストップ相談窓口を用意したりする役回りになっています。まず解体費の補助があるかどうかは、家がある市区町村の窓口が出発点です。隣県も市ごとに違うので、埼玉県のまとめや神奈川県のまとめもあわせてどうぞ。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。
どの市区でも共通の鉄則
- 工事の契約前に申請し、交付決定を受けてから契約・着工。先に契約すると1円も出ない市区がほとんどです
- 東京都は耐震や相続が入口の市区が多く、まず耐震診断や相続登記など「事前の手続き」から始まります。ここに時間がかかるので、動くなら早めが有利です
- どの市区も予算がなくなり次第終了。年度の前半ほど取りやすく、葛飾区のように地区が限定されていたり、立川市や調布市のように条件が細かかったりします
- 市区内業者限定・築年限定・状態の判定など、細かい条件は市区ごとに違います。補助は工事のあとに振り込まれるので、いったんは自分で立て替える前提で考えておいてください
- 更地にすると土地の固定資産税が上がる場合があります(住宅用地の特例が外れるため)。解体のタイミングは税金や売却の予定とセットで考えてください
解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
▶ 解体費の内訳(本体・付帯・処分費)を並べて比べるなら:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※市区内業者限定の補助を使う市区では、見積もり先が条件に合うかも確認してください)
▶ 解体でなく「直して住む・貸す」なら、リフォーム費用を無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※壊すか直すかで迷っている段階なら、直す場合の金額を先に知っておくと判断が早くなります。費用が心配なときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています)
よくある質問
東京都(都庁)としての解体補助金はないのですか?
住民が直接申請できる大きな解体補助は、都庁にはありません。解体費の入口は市区町村です。ただし例外として、東京都空き家家財整理・解体促進事業があり、東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談したうえで解体する場合に、解体費の2分の1・上限10万円が出ます。都はこのほか、不燃化特区の除却費を区に補助したり、無料の相談窓口を置いたりして、区市町村の空き家対策を後ろから支えています。
「空き家だから」補助が出ると思っていました。違うのですか?
東京都では、『空き家だから』より『耐震が足りない』『相続で取得した』『区が危険と判定した』が入口の市区が多いのが実情です。まず、自分の家が昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震かどうか、相続で取得したかどうか、から確認してください。町田市や立川市のように耐震診断が最初の関門になる市も多く、そこを飛ばして「壊すだけ」では補助に届きません。
調布市や立川市のように、解体だけでは補助が出ない市もあるのですか?
はい。調布市は建て直し(建替え)とセットが条件で、更地にして売るだけでは対象外です。立川市は空き家だけを対象にした解体補助がなく、耐震診断で弱いと出た家の除却枠しかありません。こうした市で壊すだけの予定なら、補助はあてにせず、2〜3社の相見積もりで費用を抑えるのが現実的です。自分の家がどの枠に当てはまるかは、各市の住宅課で確認してください。
まとめ
- 東京都の解体補助は市区町村ごとで、都庁の大きな一律制度はない(例外=相談窓口経由の家財整理・解体促進事業で解体費の2分の1・上限10万円)
- 入口は耐震や相続が中心。八王子は相続した未耐震(3分の2・上限100万→25万)、町田は倒壊の可能性の旧耐震(23%・上限50万)が入口
- 区部は不燃化・防災の色が濃い。不燃化特区は17区44地区にあり、地区の中だけの別枠。上限額でなく延床面積×単価で決まる区が多い(見たのは5区)
- 調布市は建替えが条件(解体費の23%・上限80万)、立川市は空き家単独の補助がなく耐震の除却枠のみ(2分の1・上限50万)
- 金額の大小より、自分の家がその市区の対象になるか・その市区が今も受け付けているかが先。まずは自分の市区の窓口へ
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