空き家の固定資産税は6倍になる?上がる条件と、上がる前にできること|元大工が中立解説

業者選び・費用相場

※本記事には、不動産買取サービス等のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

空き家を放っておくと固定資産税が6倍になる。そう書かれた記事を読んで、不安になった方へ。

先に結論です。空き家というだけでは上がりません。上がるのはおもに、市から勧告を受けたときと、家を壊して更地にしたときです。

元大工で、ホームセンター売り場に8年いたおさむが、地方税法の条文と国土交通省の資料で確かめました(照合日2026年8月13日)。

この記事では、6倍の中身、上がる条件と時期、そして上がる前にできることを順に見ていきます。

「6倍」の正体|6分の1になっているのは税額ではない

「6倍」の正体は住宅用地の特例。6分の1になるのは税額ではなく課税標準。200平方メートル以下の部分は課税標準が価格の6分の1、都市計画税の課税標準は3分の1になり、この部分を小規模住宅用地といいます。200平方メートルを超える部分は課税標準が価格の3分の1、都市計画税の課税標準は3分の2になり、同じ土地でも面積で分けて計算します。特例が外れた土地は6分の1も3分の1もなくなり、これが6倍と呼ばれているもので、減らす前の金額のまま計算されます。6分の1が無くなるという意味で、実際の金額は市の税務課で確認できます

人が住むための家が建っている土地は、住宅用地として固定資産税が軽くなります。

軽くなる幅は面積で分かれます。200平方メートル以下の部分は、税額のもとになる金額(課税標準といいます)が価格の6分の1。200平方メートルを超える部分は3分の1です。

都市計画税にも同じ仕組みがあって、200平方メートル以下は3分の1、超える部分は3分の2になります。根拠は地方税法349条の3の2と702条の3です。

この6分の1が無くなることを、世の中では「6倍になる」と呼んでいます。

ここで押さえておきたいのは、6分の1は税額そのものではないということ。税率をかける前の金額の話です。

だから、実際にいくら増えるかは土地の評価額と市の税率で変わります。倍率だけでは金額は出ません。

自分の土地でいくらになるかは、市役所の税務課(資産税課という名前のところもあります)に納税通知書を持って聞くのがいちばん早いです。

空き家というだけでは上がらない|外れるのは2つの場合

住宅用地の特例が外れるのはどんなときか。空き家というだけでは外れません。外れないのは空き家のまま持っている状態で、市から指導を受けた段階でもまだ外れませんが、住宅と認められない状態は別の扱いになります。外れる1つ目は市から勧告を受けたとき。特定空家等は助言・指導のあとに勧告、管理不全空家等は指導のあとに勧告です。外れる2つ目は家を壊して更地にしたとき。住宅用地は家が建っている土地の特例で、解体費の補助が使えるかは市の制度を先に確認します。決まるのは毎年1月1日の状態。勧告の通知が来たら、放っておかずに担当課へ相談を

① 市から勧告を受けたとき

空き家の管理が行き届かず、周りに迷惑がかかる状態になると、市は段階を踏んで働きかけてきます。いきなり税金が上がるわけではありません。

倒壊のおそれがあるなど程度が重いものは「特定空家等」と呼ばれます。順番は、まず助言または指導。それでも状態が改善されなければ勧告。次が命令で、最後が行政代執行(市が代わりに工事をして費用を請求する手続き)です。空家等対策の推進に関する特別措置法22条にそう書かれています。

そこまでではないけれど、放っておくと特定空家等になりそうなものは「管理不全空家等」という区分になります。令和5年12月13日の法改正で加わったもので、こちらは指導のあとに勧告という2段階です(同法13条)。

住宅用地の特例から外れるのは、どちらも勧告を受けたとき。助言や指導の段階では外れません。ここを書いていない解説が多いので、覚えておいて損はないところです。

ただし、勧告がなくても特例が付かない場合があります。そもそも住宅と認められない状態のときです。

国土交通省の資料には、構造上住宅と認められない場合、使う見込みがなく取壊しを予定している場合、管理を怠っていて今後人が住む見込みがないと認められる場合、の3つが挙げられています(平成27年の総務省通知として紹介されているもの)。勧告さえ来なければ絶対に安全、とは言い切れない理由がこれです。

そのうえで、勧告そのものの件数も見ておきます。国土交通省の資料によると、特定空家等への勧告は平成27年5月から令和5年3月までの累計で3,078件。出したことのある市区町村は417です。命令は382件、行政代執行は180件でした。

数としては多くありません。ただ、通知が届いた人にとっては確率の話ではなくなります。市から指導の連絡が来たら、その時点で担当課に相談してください。草を刈る、崩れそうな部分を直す。改善されないときに次へ進む、という順番になっています。

② 家を壊して更地にしたとき

住宅用地の特例は、あくまで家が建っている土地に付くものです。壊して更地にすれば、その土地は住宅用地ではなくなります。

税金が上がるなら壊さないほうがいい。そう考えるのは自然だと思います。

ただ、壊さずに置いておけば管理の手間と費用は続きますし、勧告の話も残ったままです。どちらが得かは、その土地が売れる場所かどうかで変わります。

解体費のほうは、補助を出している市が多いです。お住まいの市の制度は解体の補助金|47都道府県まとめから探せます。基本は申請してから交付決定、そのあとで契約と着工という順番です。

なお、建て替えを予定している土地の扱いは市ごとに条件があります。壊す前に税務課へ確認しておいてください。

上がるのはいつからか|毎年1月1日で決まる

固定資産税は、その年の1月1日の状態で決まります。地方税法359条に「固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の一月一日とする」と書かれているとおりです。

つまり、勧告を受けた状態で1月1日を迎えると、その年の4月から始まる年度の税額に反映されます。

解体も同じ考え方です。年内に壊すか、年が明けてから壊すかで1年ずれます

年末年始をまたぐ工事は、いつ家屋が無くなった扱いになるかを市に聞いてから日程を決めると安心です。取り壊しの届出が要る市もあります。

解体の日程は、この1月1日をまたぐかどうかで考えれば足ります。慌てて業者を決める話ではない、ということです。

上がる前にできること|出口は4つ

税金の話は、結局「この家をどうするか」に戻ってきます。出口は大きく4つです。

売る

先にお金が出ていかない出口です。家が建ったままでも売れます。

売れれば税金の心配はその年で終わりますが、買い手が見つかるかどうかは場所次第。まず「いくらになりそうか」を聞くところから始めると、他の3つと比べられるようになります。

共有名義になっている、再建築ができない、長く空き家だった。そういう条件でも査定してもらえるところなら、数字だけ先に聞くことができます。

▶ 空き家がいくらになるか調べる

他社で断られた物件でも買取りが可能「ワケガイ」

(※査定は無料で、金額を聞いてから断っても費用はかかりません。申し込むと電話で確認の連絡が入ります。山林・田・畑のように宅地として使えない土地や、賃貸需要が全く無いエリアは買取が難しい場合があります。名義がまだ親のままなら、先に相続登記を。2026年8月時点の公式サイト記載)

貸す

家を残したまま、維持費を家賃でまかなう形です。人が住んでいる家の敷地は住宅用地のままですし、傷みも進みにくくなります。

ただし、貸せる状態にするための工事が先に必要になることが多いです。判断の軸は実家が空き家になったらどうする?最初の90日でやること3つにまとめています。

解体して土地にする

管理の手間がいちばん減る出口です。そのかわり、先に出ていくお金がいちばん大きくなります。

木造なら坪3万〜5万円が目安で、30坪の家で90万〜150万円あたり。補助が使えれば負担は下がりますが、受付期間と予算に限りがあります。

手元にお金が無い場合の順番は解体費用が払えない!売る前に確認する4つの順番に書いています。

管理を頼む

まだ決められないときの、時間を買う選択肢です。月数千円から1万円前後で、換気や見回りを代わりにやってもらえます。

決断を先送りできるかわりに、出ていくお金は止まりません。相場と自分でやる場合の比較は空き家の管理サービス費用と維持費の現実にあります。

よくある質問

空き家というだけで固定資産税は上がりますか?

上がりません。住宅用地の特例から外れるのは、勧告を受けた特定空家等と管理不全空家等の敷地です。誰も住んでいないというだけでは対象になりません。

ただし、住宅と認められない状態だと別の扱いになります。心配な状態なら、市の税務課に自分の土地が今どう扱われているかを聞いてみてください。

解体して更地にすると、いつから上がりますか?

1月1日の時点で家が無ければ、その年の4月から始まる年度分からです。年内に壊すか年明けに壊すかで1年変わります。

着工から完了まで日数がかかるので、年末に工事を入れるときは市に確認してから日程を組んでください。

勧告を受けてしまいました。もう戻せませんか?

勧告の対象になっている状態を直したあとの扱いは、市の運用で決まります。ここは条文だけでは分かりません。

まず担当課に、何をどこまで直せば勧告の対象から外れるのかを聞いてください。家の状態は空き家の担当課、税の扱いは税務課と、窓口が分かれていることが多いです。

家の中に荷物が残っていても住宅用地ですか?

国土交通省の資料に挙げられているのは、構造上住宅と認められない場合、取壊しを予定していて使う見込みがない場合、管理を怠っていて今後人が住む見込みがないと認められる場合の3つです。荷物があるかどうかで決まる、という書き方はこの資料には出てきません。

判断するのは市なので、迷ったら税務課へ。片付けの費用感は空き家・実家の片付け費用にまとめています。

まとめ

  • 6分の1になっているのは税額ではなく課税標準。倍率だけでは金額は出ない
  • 特例が外れるのは、勧告を受けたときと、更地にしたとき。空き家というだけでは外れない
  • 助言・指導の段階では外れない。ただし住宅と認められない状態は別
  • 決まるのは毎年1月1日。年内に壊すか年明けに壊すかで1年ずれる

今日やることを1つだけ挙げるなら、固定資産税の納税通知書を引き出しから出すことです。その土地に住宅用地の特例が入っているかどうかが書いてあります。読み方が分からなければ、通知書を手元に置いて市の税務課に電話1本で足ります。

あわせて読みたい

運営者の経歴は運営者情報(元大工のおさむ)をご覧ください。

【出典】住宅用地の課税標準の特例=地方税法349条の3の2・702条の3(国土交通省が公開する法令抄 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712030.pdf ・照合日2026年8月13日)/勧告で特例の適用対象から除外されること、措置の実績、総務省通知の3つの場合=国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」( https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf ・照合日2026年8月13日)/助言・指導から勧告・命令・行政代執行までの手順と管理不全空家等=空家等対策の推進に関する特別措置法13条・22条(e-Gov法令検索・照合日2026年8月13日)。令和5年法律第50号による改正の施行日は令和5年12月13日(国土交通省・照合日2026年8月13日)/賦課期日=地方税法359条(e-Gov法令検索・照合日2026年8月13日)/木造解体の坪単価・空き家管理サービスの費用=当サイト調査(解体業者・管理サービス各社の公開料金の照合・2026年7月)。税額の計算と個別の判定は市区町村が行います。ご自分の土地の扱いは必ず市の窓口でご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました