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「解体の見積もりを取ったけれど、この金額が高いのか安いのか分からない」
金額だけを並べても答えは出ません。同じ家でも、どこまでを工事に含めるかで総額が変わるからです。だから比べるのは金額ではなく、何が含まれていて、何が含まれていないかのほうです。
そして、その中身のいくつかは法律で説明することが決まっています。業者の親切ではなく、義務です。ここを知っていると、見積もりの席で何を聞けばいいかがはっきりします。
元大工で中立の立場のおさむが、条文にあたって整理します。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
※建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)を、e-Gov法令検索で2026年9月9日に確認しています。金額や相場は業者と建物で変わるため、この記事では書いていません。
契約の前に、業者から書面で説明を受けます

一定の規模以上の解体工事は「対象建設工事」と呼ばれ、契約の前に、業者が書面を交付して説明する義務があります。建設リサイクル法の第12条です。
説明されるのは、同じ法律の第10条に並んでいる次の項目です。
- 解体する建物の構造
- 工事に着手する時期と、工程のあらまし
- 分別解体の計画
- 解体する建物に使われている建設資材の量の見込み
言い方を変えると、いつ始めて、どういう順番で壊して、何がどれくらい出るのかを、契約より前に書面でもらえるということです。
ここが見積もりを比べるときの土台になります。工程が違えば日数が変わり、出る量の見込みが違えば処分費が変わるからです。金額だけを3社並べても意味がないのは、この土台が各社で違うことがあるためです。
契約書に書くことも決まっています
契約の段階では、第13条が効いてきます。分別解体の方法と、解体工事に要する費用を書面に記載して、双方が署名または記名押印して交付し合うという条文です。
つまり「解体にいくらかかるか」は、契約書に書かれるべき事項として法律に挙がっています。口頭で「だいたいこのくらい」のまま進む工事ではない、ということです。
もう一つ、同じ条の第2項に、内容を変更するときも書面にして交付し合うと書かれています。工事が始まってから金額が動く場合も、書面が要ります。
見積もりの席で確かめる4つ

条文をふまえると、聞くべきことは4つに絞れます。同じ文面で全社に聞くのがこつです。返ってきた答えの差が、そのまま業者の差になります。
1. 届出は、どちらが出しますか
対象建設工事は、工事に着手する日の7日前までに都道府県知事へ届け出ることになっています(第10条)。届出の義務があるのは発注者、つまり施主です。ただし実務では業者が代行することが多く、その場合は委任状を書きます。
ここを曖昧にしたまま進むと、着工の直前に「出していない」と分かって工程がずれます。代行してもらえるのか、自分で出すのかを、見積もりの段階で決めておいてください。
2. 建物以外は、どこまで含まれていますか
塀、門、物置、庭木、庭石、カーポート。これらが含まれているかは、見積書によって違います。「一式」とだけ書かれている見積書は、あとで「それは別です」となりやすいところです。
敷地にあるものを見取り図に描いて、それぞれ含むか含まないかを書き分けてもらうと、比べやすくなります。
3. 家の中の物は、どういう扱いですか
家具や家電が残ったままだと、解体の廃材とは別の扱いになって費用が変わることがあります。自分で運び出すのか、業者に頼むのかで金額が動きます。
ここは工事の内容というより、事前にどこまで片付けるかの話です。見積もりを取る前に、家の中の状態を写真で見せておくと、あとで金額が動きにくくなります。
4. 追加費用が出るとしたら、どういう場合ですか
地面を掘ったら以前の建物の基礎が出てきた、想定より土に混ざり物が多かった。こうした場合に追加が出ることはあります。
大事なのは、追加が出る条件と、そのときどう決めるかを、契約の前に聞いておくことです。第13条第2項のとおり、変更するなら書面が要ります。口頭で「追加します」と言われて後から請求される形にはならないのが本来の姿です。
安さだけで選ぶと、守れない手順が出てきます
相見積もりは勧めますが、いちばん安い1社を選ぶこととは違います。
分別解体には手順があり、処分にも決められた道筋があります。極端に安い金額は、そのどこかを省く前提になっていることがあります。省かれた分は、あとで追加になるか、正しく処理されないかのどちらかです。
だから見るのは、金額の低さではなく内訳の細かさです。何にいくらかかるかが分かれている見積書は、比べられます。「一式」で終わっている見積書は、比べようがありません。
比べるときの順番
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▶ 同じ条件で、複数の業者に出してもらう:1社だけだと、その金額が妥当かどうか判断する材料がありません。
依頼するときは、上の4つを同じ文面で全社に伝えてください。条件をそろえないと、比べているつもりで比べられていないことになります。
まとめ
- 一定規模以上の解体は、契約の前に業者が書面で説明する義務がある(建設リサイクル法第12条)
- 説明されるのは構造・着手時期と工程・分別解体の計画・資材の量の見込み(第10条)
- 契約書には分別解体の方法と解体に要する費用を記載して双方が交付し合う(第13条)。変更も書面(同条第2項)
- 届出の義務は施主。着手の7日前まで。代行してもらうなら委任状が要る
- 聞くのは4つ=届出はどちらが出すか/建物以外はどこまでか/家の中の物の扱い/追加が出る条件
- 比べるのは金額の低さではなく内訳の細かさ。「一式」は比べようがない
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よくある質問
見積もりは何社から取ればいいですか
社数そのものより、同じ条件で出してもらうことのほうが大事です。条件がそろっていないと、社数を増やしても比べられません。
「一式」と書かれた見積書は、断ったほうがいいですか
断る必要はありませんが、内訳を出してもらえますかと聞いてみてください。出してもらえるかどうかも、判断の材料になります。
届出を自分で出すのは大変ですか
書式は都道府県のページにあります。ただし分別解体の計画など専門的な内容が含まれるので、業者に代行してもらうのが一般的です。委任状を書く形になります。
契約書をもらえないまま工事が始まりそうです
第13条は双方が署名または記名押印して交付し合うと定めています。着工の前に書面を求めてください。それでも出てこない場合は、その業者で進めるかどうかを考え直す場面です。


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