工事が始まると、職人は家の中のコンセントを使います。水も使います。
その分の電気代と水道代は誰が持つのか。先に結論です。多くは施主の家のものをそのまま使い、そのぶんは施主の負担になります。ただし、そう決まっているわけではありません。
解体や下地の現場に見習いで入っていたおさむが、契約の前に決めておくことを中立にまとめます。
ここでは金額を書きません。工事の中身と期間で大きく動くうえ、うちには数字を断定できる材料がないためです。書くのは、誰が持つのかの決め方と、先に決めておくと揉めないことです。
現場で何に使っているのか
そもそも何に使うのかが分かると、量の見当がつきます。
- 電動工具|丸のこ、インパクト、集じん機。動かすのは作業しているあいだに限られます
- 照明|壁を塞いだあとの部屋は昼でも暗いので、仮設の照明を点けます
- 水|道具を洗う、手を洗う、左官やタイルの材料を練る、掃除に使う
いちばん量が出るのは、エアコンや大きな機械を使う工事です。塗装の乾燥や、床暖房の試運転のように、機械を長く動かす工程があるときは、そこだけ別に聞いておくと見当がつきます。
誰が持つのが普通なのか
住みながらのリフォームでは、家の電気と水道をそのまま使うのが一般的です。メーターが1つしかないので、分けて測れないからです。
空き家や、住んでいない家の工事では話が変わります。止めてあるライフラインを、工事のために開けるかどうかという判断が先に来ます。
止めるか開けるかの考え方は空き家の電気・ガス・水道は止めていい?にまとめました。
いずれにしても、決まりで決まっているのではなく、契約でどう決めたかの話です。だから契約の前に確かめます。
契約書に書いておくと揉めません
建設業法の第19条第1項は、請負契約を結ぶときに書面へ記載する事項を並べています。そのなかに、注文者が工事に使う資材を提供したり、機械を貸したりするときは、その内容と方法を定めると書かれています(十号)。
電気や水道がこの号に当たるかどうかは、条文だけでは決まりません。ただ、施主の側が出すものについては紙に書いておく、という考え方は同じです。
口頭で「使っていいですよ」と言うだけでも工事は進みます。困るのは、終わってから請求書を見て驚くときです。
先に決めておく4つ

1. どのコンセントを使うか
家じゅうどこでも使っていい、という伝え方だと、冷蔵庫と同じ回路から取られてブレーカーが落ちることがあります。
使っていい場所を決めて、落ちてほしくない回路を先に伝えておきます。
2. 水はどこから取るか
屋外の水栓があるなら、そこを使ってもらう形が楽です。室内の水回りを工事しているときは、そもそも使えないこともあります。
3. 長く機械を動かす工程があるか
ここだけは見積もりの段階で聞いておく値打ちがあります。あるなら、その分をどちらが持つかを先に決めます。
4. 留守にするあいだの扱い
日中いないなら、鍵と一緒に、電気と水をどこまで使っていいかも伝えておきます。
鍵の預け方や連絡先の決め方はリフォーム職人への差し入れは何がいいの後半にも書きました。
請求されることはあるのか
工事のために使った電気と水道を、あとから業者が請求してきたという話は、あまり聞きません。逆に、施主が業者へ請求するという形も、あまり聞きません。
ただし空き家のように、工事のためだけに開栓する場合は別です。開栓の手数料と基本料金が発生するので、それをどちらが持つかは、契約の前に決める話になります。
仮設の電源を別に引く工事もあり、その場合は見積書に仮設の項目が立ちます。そこを見れば分かるでしょう。
見積書の読み方はリフォーム見積もりの見方に整理しています。
ガスはどう扱うか
電気と水道に比べると、ガスは現場で使う場面が限られます。
ただし給湯器やコンロを入れ替える工事では、いったん止めて、つなぎ直す作業が入ります。この日はお湯が使えません。
いつ止まって、いつ戻るのか。ここは電気や水道よりも、生活に直に響きます。工程表をもらっているなら、その日に印を付けておくと段取りしやすいでしょう。
つなぎ直しを誰が行うのか、その費用が見積書のどこに入っているのかは、着工の前に確かめておきます。
住みながら工事をするときに、あわせて決めること
電気と水道の話をするなら、同じ場面で決まることがいくつかあります。まとめて聞いておくほうが早いです。
- トイレを使えるか|使えるなら、どのトイレか。使えないなら、職人はどこへ行くのか
- 駐車の場所|停める場所が決まっていないと、朝はそこを探すところから始まってしまいます
- ごみの置き場|出た端材をどこに置くか。家庭のごみと混ざらない場所を決めます
- 作業の時間帯|何時から何時までか。近所への説明とも関わります
どれも、当日に決めるより先に決めたほうが早い話ばかりです。
近所への伝え方は解体工事の近所挨拶|粗品より先に決めておく3つのことにまとめました。解体の話ですが、伝える中身の作り方は工事の種類が変わっても同じです。
工事が終わったあとに見ておくこと
引き渡しのときに、ひとつだけ見ておくと安心なところがあります。
仮設で使っていたものが、元に戻っているかです。仮設の照明、養生、仮の電源。外し忘れがないかを、部屋ごとに見て回ります。
ブレーカーの位置も、工事の前と同じかを見ます。工事中に落として入れ直していることがあるからです。
水は、しばらく使っていなかった蛇口を開けて、濁りが出ないかを見ておきます。
よくある質問
Q. 工事中の電気代はどのくらい上がりますか
工事の中身と期間で変わるので、ここでは数字を書きません。気になるなら、契約の前に業者へ「長く機械を回す工程はありますか」と聞くのがいちばん早いです。
Q. 使っていいか聞かれませんでした
聞かずに使う業者もいます。それ自体が悪いわけではなく、慣習としてそうなっていることが多いためです。気になるなら、着工の前にこちらから伝えておくと、あとがすっきりします。
Q. 空き家の工事で、水道を開けるよう言われました
工事に水が要るなら必要な手続きです。ただし開栓の手数料と基本料金がかかるので、どちらが持つかを先に決めてください。工事が終わったあとにまた止めるのかも、あわせて決めておきます。
Q. メーターを分けることはできますか
仮設の電源を引く方法はありますが、工事の規模によっては割に合いません。必要かどうかは業者に聞いて、見積書の仮設の項目で確かめます。
工事の音で苦情が来たときの順番はリフォームの騒音で苦情が来たら|謝る前に確かめる3つに整理しています。
トイレを貸すかどうかの決め方は工事中に職人へトイレを貸すか|貸す・貸さないの伝え方に整理しています。
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犬や猫がいる家の置き場所はリフォーム中のペットはどうするに整理しています。
まとめ|金額の前に、使い方を決めておく
工事中の電気と水道は、多くの場合そのまま施主の家のものを使います。決まりでそうなっているのではなく、契約でどう決めたかの話です。
先に決めるのは4つ。どのコンセントを使うか。水はどこから取るか。長く機械を動かす工程があるか。留守のあいだの扱い。
この4つを着工の前に伝えておけば、あとから驚くことは減ります。金額を見積もるより、使い方を決めるほうが先です。
根拠にした出典は、e-Gov法令検索の建設業法第19条第1項です(2026年9月22日に確認)。


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