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実家を壊すことが決まった。手続きは進んでいるのに、家の前に立つと気持ちが追いつかない。
知恵袋や発言小町にも、同じ気持ちを書き込んだ相談がいくつも並んでいます。寂しいと感じるのは、おかしなことではありません。
ここでは、気持ちの整理のしかたに正解を出すことはしません。書くのは、家が建っているうちにしかできない4つのことと、まだ迷っている人のための壊さない道です。
解体の現場に見習いで入っていた元大工のおさむが、施主の側でできる段取りに絞って整理します。
壊す前にしかできない4つ【早見】
4つとも、解体が始まってしまうとやり直せません。そのかわり、見積もりを頼む前から手をつけられます。

① 残したい部材は、見積もりを頼む前に伝える
柱の一部、欄間(らんま・部屋と部屋の境の上にはめ込む飾りの板)、建具、表札、床の間の板。家の一部を手元に置いておく、という残し方があります。
気をつけたいのは順番です。壁や柱に取り付いている物は、何も言わなければ建物と一緒に崩して処分する前提で、金額が組まれる。
形を保ったまま外すなら、重機ではなく人の手の仕事です。そのぶん人手と日数が増えるので、残したい物は、見積もりを頼む時点でリストにして渡します。
工事が始まってから言うと、追加の費用として出てくることがあります。
柱を残すなら、どの柱の、床から何センチのところを、どれくらいの長さで切るかまで決めておくと話が早いです。背比べの傷が刻まれた柱なら、傷の上と下に余裕を持たせて切ってもらいます。長い部材は、持ち帰る車と置き場所も先に考えておきましょう。
もう1つ、建材を持ち帰るときの注意があります。解体の前には、石綿(アスベスト)が使われているかを調べる事前調査が法律で決まっています(環境省「建物を壊すときにはどうしたら良いの?」を2026年9月23日に確認)。
持ち帰りたい物に屋根材・外壁材・床材のような建材が入るなら、その調査の結果を業者に聞いてから決めてください。
② 家の中は、ふだん歩く順に動画で残す
写真を1枚ずつ撮ると、部屋と部屋のつながりが抜け落ちます。
玄関から奥の部屋まで、いつも歩いていた順に動画を回すと、廊下の暗さや階段の音まで一緒に残ります。
撮っておきたいのは、たとえばこんな場所です。
- 柱の傷や、落書きが残る壁
- いつもの窓から見える景色
- 台所の流しと、風呂場の窓
- 道から見た家の全体と、門から玄関までの数歩
家族で撮るなら、話しながら回すのも一つのやり方です。
間取りは、紙に描いておくと記憶の手がかりになります。建てたときの図面が家から出てきたら、捨てずに書類と一緒にしまっておきましょう。
③ 持ち出す物は、自分の手で選ぶ
解体の前には、家の中を空にする作業があります。片付けを業者に任せる場合でも、思い出の品と大事な書類は、自分の手で先に抜いておくほうが確実です。
時間が足りないときは、全部に目を通そうとしないことです。アルバム、手紙、子どものころの作品。箱を1つ決めて、そこに入る分だけを選ぶ、という決め方もあります。
片付けを自分でやるか業者に頼むかは実家の片付けは自分でやる?業者に頼む?に、どこまで出せば解体に進めるかは家の解体はどこまで片付ける?にまとめています。
④ 着工の日は、家族の都合で決めていい
急いで壊さなければならない事情がないなら、着工の日は、家族が最後に集まれる日のあとに置けます。
ただし、日取りを決める前に確かめておきたいことが2つあります。
1つ目は、市町村の補助金です。解体費の補助には、契約や着工より前に申し込む決まりのものがあります。先に契約すると使えなくなることがあるので、日を決める前に市町村へ聞いてください。都道府県ごとの窓口は解体の補助金 47都道府県まとめにあります。
2つ目は、土地の固定資産税です。家が建っている土地には税金を軽くする特例があり、当てはまるかどうかは毎年1月1日の状態で決まります。年内に壊すか、年が明けてから壊すかで、翌年度の税額が変わることがあります。くわしくは空き家の固定資産税は6倍になる?で整理しました。
近所へのあいさつは、着工の日が決まってからです。誰がいつ回るかは解体工事の近所挨拶に書いています。
まだ迷っているなら、壊さない道もある
寂しさが強いと、「本当に壊すしかないのか」がもう一度気になってきます。
壊す理由が「ほかに方法がないから」なら、一度だけ確かめ直す値打ちはあります。建物が付いたまま売る、貸す、直して住む。壊してしまうと、この3つには戻れません。
建物付きで売れるかどうかは空き家は解体してから売る?そのまま売る?で、住む・貸す・売る・解体の決め方は実家が空き家になったらどうする?で比べています。兄弟で気持ちが分かれているときは実家の処分で兄弟と揉めないための順番が先です。
確かめたうえで壊すと決めたなら、あとは段取りの話です。
よくある質問
柱や建具を残すと、解体の費用は上がりますか
上がることがあります。傷めないように手で外して運び出す手間が増えるためです。
見積もりを頼むときに残したい物のリストを渡し、その分を別の行で出してもらうと、会社どうしで比べやすくなります。
壊しているところを見に行ったほうがいいですか
決まりはありません。見届けたい人もいれば、見ないと決める人もいます。
見に行くなら、工事中の敷地には立ち入りが制限されるので、外からです。建物の本体を崩す日がいつになるかを業者に聞いておくと、予定を合わせやすくなります。
解体の前に、お祓いはしたほうがいいですか
するかどうかは、家族と地域の考え方で決まります。この記事では作法には触れません。
するのであれば、着工の日を決める前に頼み先へ相談しておくと、日程を合わせやすくなります。
まとめ|寂しさは消せなくても、残し方は選べる
- 残したい部材は、見積もりを頼む前にリストで伝える
- 家の中は、ふだん歩く順に動画で残す
- 思い出の品と書類は、自分の手で先に抜く
- 着工の日は家族で決めていい。補助金の申込みと1月1日だけは先に確かめる
見積もりは、残したい物のリストを同じ内容で2〜3社に見せて取ります。外す手間をどう見積もるかは、並べてみるまで分かりません。
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まだ決めきれていないなら、ボタンは押さずに、上の「壊さない道」の記事から読んでください。
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