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「熊本市で古い実家を解体したい。補助金は出る?」
先に正直なところをお伝えします。熊本市で「解体費の補助」と呼ばれている空き家向けの2制度は、対象が1年以上使っていない空き家に限られます。しかも1年ごとに使える戸数の枠が決まっていて先着です。相続や遺贈で受け継いだ家に的をしぼった新しい特例枠にいたっては、令和8年度でわずか5件程度と、かなり狭い入口です。
ただし、今そこに住んでいる家に出口がないわけではありません。同じ敷地に建て直す耐震の枠と、区域の指定を受けた場所から引っ越す移転の枠が、別の課にあります。窓口も締切も空き家の制度とは別なので、記事の後半にまとめました。
この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、熊本市公式(2026年7月20日と8月11日に照合)をもとに、出る家・出ない家がすぐ分かるように整理します。
※空き家向けの2制度は2026年7月20日時点、住んでいる家に使える枠は2026年8月11日時点の熊本市公式サイトにもとづきます(空家対策課・住宅政策課・都市安全課の各制度ページと、そこからリンクされている手引きやチラシのPDF)。
年度・予算・戸数枠で変わるため、申請前に必ず公式ページや各課の窓口でご確認ください。
※この記事で扱うのは、平常時の空き家の解体補助です。災害で被害を受けた住宅の解体は別の枠組みで扱われることがあるため、その場合は市の窓口へ直接ご相談ください。
※2026年8月11日に、住んでいる家に使える枠(耐震の建替えと、区域指定を受けた場所からの移転)を書き足しました。それまでこの記事は住んでいる家には出ないと書いていましたが、これは空き家をあつかう課の制度だけを見た書き方で、別の課の枠を落としていました。
まず結論|空き家向けは2制度、住んでいる家は別の入口

熊本市の解体費補助は、大阪市のような密集地区の話でも、京都市のような路地の話でもありません。軸は1年以上使っていない空き家の除却(取り壊し)です。空き家をそのまま放っておくと、倒壊やまわりへの迷惑につながる。それを減らすための制度なので、入口が「空き家であること」に絞られています。空き家向けの枠は大きく2つです。
- ① 傷んで危険な空き家を壊す型(老朽危険空家等除却):かなり傷んで危険と判定された空き家が対象。金額はこちらのほうが手厚く、上限60万円。ただし令和8年度の枠は13戸程度
- ② 危険になる前の空き家を壊す型(老朽空き家除却):まだ危険とまではいかない古い空き家が対象。上限40万円で、令和8年度の枠は80戸程度。この中に、相続・遺贈で受け継いだ家向けの新しい特例(5件程度)もあります
どちらも金額の大きさより、自分の家が「空き家として対象になるか」が先です。当てはめながら、順番に中身を見ていきます。
なお、今そこに住んでいる家やこれから住む家を壊すなら、この2つではなく住宅政策課と都市安全課の枠を見ます。中身は後半の2つの見出しで。
制度①|危険な空き家を壊す(老朽危険空家等除却・上限60万円)
2つのうち金額が大きいのがこちらです。名前のとおり、放っておくと倒れかねない「危険な空き家」を壊すための補助です。
- 対象:老朽危険空家等。市の外観目視による危険度の判定表で、配点の合計が66点以上になる空き家が目安です。まず事前調査を申請すると、市の職員が現地を見て、該当するかを確認します
- 補助額:次の2つのうち少ないほうで、上限60万円。
1. 除却費(消費税を除く)×8/10×2/3
2. 延べ床面積(建物の各階の床面積の合計)×{36,000円(木造)/51,000円(非木造)}×8/10×2/3 - 枠と受付:令和8年度の募集は13戸程度。事前調査の受付は令和8年(2026年)4月13日〜12月28日、そのあとの補助金交付申請は令和9年(2027年)1月29日まで。予算がなくなり次第、期間中でも締め切られます
正直に言うと、危険度66点以上はかなり傷んだ家です。まだ人に貸せそう・売れそうな程度の空き家だと、この制度には届きにくい。その場合は次の制度②が受け皿になります。
制度②|危険になる前の空き家を壊す(老朽空き家除却・上限40万円)
「危険になる前に、早めに壊しておく」ことを後押しするのがこちらです。制度①より対象が広く、枠も大きいので、多くの方の入口になります。
- 補助額:制度①と同じ計算で、上限40万円(1. 除却費〈税抜〉×8/10×2/3、2. 延べ床面積×{36,000円・木造/51,000円・非木造}×8/10×2/3、の少ないほう)
- 枠と受付:令和8年度の募集は80戸程度。受付は令和8年(2026年)4月13日〜12月28日。予算がなくなり次第、期間中でも終了します
対象になる空き家の入口は、築年数で2つに分かれます。ここが少しややこしいので、ていねいに書きます。
- (1) 旧耐震の空き家:昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した空き家(旧耐震=今より前の耐震基準で建った古い家)。令和8年度はこちらが75件程度の枠です
- (2) 相続・遺贈の新特例:昭和56年6月1日以降に着工した、もう少し新しい家でも、相続や遺贈で受け継いだ空き家なら、構造ごとの築年数を満たせば対象になります。木造は築22年以上、鉄骨造は築34年以上、レンガ造・石造・ブロック造は築38年以上、鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造は築47年以上が目安。ただし令和8年度の枠は5件程度と、かなり少ない
共通の条件として、1年以上使っていないこと、熊本市内にあること、戸建(法人の所有でない)であること、抵当権が付いていないこと(付いていても全員の同意があれば可)などが必要です。相続で受け継いだ比較的新しめの木造にも入口ができたのは前進ですが、5件枠は年度の早いうちに埋まりうると思っておくのが安全です。
自宅が対象になるか|確認の順番
熊本市の解体補助は「空き家かどうか」「どのくらい傷んでいるか」で入口が決まります。次の順で当てはめてください。
- まず空き家かを確認:1年以上使っていない家か。水道・ガス・電気の使用を止めた日が分かる書類などで確認されます。住んでいる家・使っている家は、この2制度の対象からは外れます(住んでいる家の枠は次の見出しから)
- 次に傷み具合を見る:かなり傷んで危険なら制度①(上限60万円・要現地判定)、まだそこまでではない古い空き家なら制度②(上限40万円)が候補です
- 最後に築年・受け継ぎ方を見る:旧耐震(昭和56年5月末以前)なら制度②の(1)。相続・遺贈で受け継いだ比較的新しい家なら、制度②(2)の新特例を、上の構造別の築年数で確認します
制度が分かれていて自分で判定しきるのは大変です。迷ったら、熊本市の空家対策課(市役所9階・電話096-328-2514)に先に電話するのがいちばん早いです。特に危険な空き家は、先に事前調査の申請が要るので、動く前に聞いてしまうほうが失敗がありません。
住んでいる家を壊す場合|同じ敷地に建て直すなら耐震の枠がある

ここからは、空き家ではない家の話です。あつかう課が、上の2制度とは変わります。
先に、使えない人から書きます。この枠は解体して更地にするだけの人や、よその土地へ住み替える人には使えません。壊したあと、同じ敷地に自分が住む家を建てることが条件だからです。
制度の名前は「戸建木造住宅の耐震改修等事業」の建替え設計工事一括。市の説明では「建替え(=既存を解体のうえ、同一の敷地に新築)により耐震化を図る事業」で、既存の家の解体工事も、この一括の中に入っています。
- 対象になる家:耐震診断で上部構造評点(家の強さを表す数値。1.0未満は倒壊の危険があるとされます)が1.0未満と評価されたもの。平成12年(2000年)5月31日以前に新築着工したもの。在来軸組構法(柱と梁で組む一般的な木造)または伝統的構法で地上3階以下のもの。現に居住しているか、居住する見込みがあるもの(賃貸中のものは除く)
- 対象になる人:市税の滞納がないこと。住宅の所有者、中古住宅を買って自ら住む見込みの方、またはその住宅に住んでいる所有者の2親等以内の親族。貸家は建替え関連のメニューの対象外と手引きにあります
- 補助額:昭和56年5月31日以前の着工、または高齢者等(65歳以上・非課税世帯・障がいのある方等)が住んでいる場合は、耐震改修費用相当分の10分の9以内で上限157.5万円。昭和56年6月1日から平成12年5月31日までの着工なら、60分の53以内で上限132.5万円
- 受付と件数:2026年4月28日から原則10月30日まで(郵送は消印有効)。件数は「当面は10数件を予定」とあります。完了実績報告書の提出期限は原則2027年2月26日まで
- 金額のもとになる額:ここでいう「耐震改修(耐震化)に要する費用の相当分」は、手引きに「従前(除却する)建築物の延べ面積×34,100円/平方メートルで算出します」とあります。新築の工事費そのものではありません
つまり上の金額は天井であって、必ず届く額ではないということです。壊す家が小さいほど、もとになる額も小さくなります。
ほかに、建替え後の家は原則として省エネ基準に適合すること、原則として災害リスク等のあるエリア外に建てること、被災者生活再建支援法にもとづく支援金の支給対象になった住宅は対象外、といった条件が手引きに並びます。
順番のルールは空き家の制度と同じです。建替え設計や工事の契約を結ぶ前に申請して、補助金交付決定通知書を受け取る必要があります。すでに契約や着手をしたものは対象になりません。
窓口は住宅政策課の建築支援班(電話096-328-2449)。空き家の制度をあつかう空家対策課とは別の課で、電話番号も分かれています。
ここに書いた条件は、市のページと、そこからリンクされている申請者向けの手引き(PDF)で確認しました。金額は市の「耐震化事業一覧」というPDFにも載っていますが、そちらは「2025年4月時点」と書かれた資料です。数字は手引き側と一致していました。
区域の指定を受けた場所に住んでいる場合|移転の3制度
住んでいる家の解体費が出る道は、もう1つあります。ただし入口はかなり狭いです。
これも使えない人から。この3つは、土砂災害特別警戒区域や災害危険区域など、区域の指定を受けた場所に建っている家に住んでいる人のための制度です。区域の外に建っている家は、どれだけ古くても対象になりません。
自分の家が区域内かどうかは、熊本県の土砂災害情報マップで確認できます。そのうえで、区域の外へ移ること、今の家を解体撤去すること、跡地に住むための建物を建てないことが共通の条件です。
- 熊本市土砂災害危険住宅移転促進事業:土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内の住宅に住んでいる方が対象。住宅除却費等は300万円が限度で、移転先が熊本県内であることが条件です。ページの更新日は2026年6月17日で、受付期間の記載は見当たりませんでした
- 熊本市居住誘導促進事業:同じくレッドゾーン内の住宅に現在住んでいて、市の居住誘導区域(人口密度を保っていくエリア)へ移る方が対象。除却等費は1平方メートルあたり木造33千円・非木造47千円で計算して300万円が限度、引越等は97.5万円、建物助成費は1戸あたり421万円。受付は令和8年4月1日から9月30日まで、予算の範囲内で先着順です
- 熊本市がけ地近接等危険住宅移転事業:災害危険区域や土砂災害特別警戒区域にある既存不適格住宅(今の法令に合わなくなった古い建物)などが対象。除却費は1平方メートルあたり木造33千円・非木造47千円、引越費用等は1戸当たり97万5千円、建物助成費は1戸当たり421万円(旧秋津村にあたる特殊土壌地帯は731万8千円)
がけ地の移転事業については、正直に書いておきます。このページの更新日は2025年5月23日で、載っている受付期間は令和7年度の4月1日から9月30日まで。
令和8年度の受付期間は、2026年8月11日に見た時点でページに出ていませんでした。今年度が使えるのかどうかは、このページだけでは決められません。動く前に窓口で確かめてください。
それから、建物助成費は住宅の建設や購入のために金融機関などから借りた、借入金の利子に相当する額への補助です。手元に421万円が入るという意味ではありません。
居住誘導促進事業と土砂災害危険住宅移転促進事業のページには、どちらも「他の制度による補助金等の交付を受ける場合は、当該補助金等の額を差し引いた額を対象の経費とする」という趣旨の備考があります。上の金額を単純に足した額が出るわけではありません。
窓口は都市安全課(電話096-328-2926)。がけ地の移転事業のページと、居住誘導促進事業のチラシに、この課の名前と番号が書かれています。空家対策課とも住宅政策課とも別の課です。
申請の流れ|「解体の契約より前」が絶対のルール

ここからは空き家の2制度の話に戻ります。どちらでも共通して、いちばん大事なのはここです。
- 解体の工事契約より前に申請し、市の「交付決定」(補助を出しますという市の決定)を受けること。交付決定の前に契約・着手した工事は、原則として補助を受けられません
- 審査には日数がかかります。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません。まず空家対策課へ相談し、戸数枠と予算が残っているかを確かめてから動きます
- 解体は登録のある業者が行うことが条件で、自分で壊す工事は対象外です。工事は令和9年(2027年)2月28日までに終わる予定であることも必要です
- 補助金が振り込まれるのは、工事費を全額支払って完了報告をしたあと。いったんは自分で立て替える前提です
「先に業者と契約してしまった」は、補助が消える、いちばんもったいないつまずき方です。順番だけは守ってください。
災害で被害を受けた家の解体は、別の枠組み
ひとつ、大事な区別があります。ここまで説明したのは、平常時の空き家の解体を後押しする制度です。
災害で被害を受けた住宅の解体は、この制度とは別の枠組みで扱われることがあります。
家が災害で壊れた場合は、この記事の内容とは切り離して、まず市の窓口へ相談してください。
あわてて片づけたり壊したりする前に、相談が先です。被害の状態そのものが、その後の手続きの前提になることがあるからです。
解体業者に見積もりを頼むより先に、窓口でどの枠組みの話になるかを確かめる。順番はそれだけです。
対象外だった人の、現実的な選択肢
空き家でなかった、あるいは戸数枠が埋まってしまった場合でも、打つ手はあります。解体は業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。補助が使えない前提でも、2〜3社の相見積もりで数十万円変わることは珍しくありません。
- 解体費そのものの相場と内訳は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています
- 費用が心配なら、壊す前に確認したい順番を解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています
- 空き家を壊して土地を売るなら、一定の要件を満たせば譲渡所得の3,000万円特別控除という税の特例が使えることがあります(詳しくは税務署や市の窓口へ)。売る・貸す・直して使う道も一度は実家・空き家リフォームの補助金で検討する価値があります
▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※補助を使う場合は、その業者が制度の条件に合うかの確認も忘れずに)
▶ 壊すかリフォームで住み続けるか迷っているなら、直す場合の費用も無料で比較
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よくある質問
合志市や菊陽町に住んでいます。同じ補助はありますか?
解体や除却の補助は市区町村ごとに制度が違うので、熊本市の内容はそのままは使えません。熊本県内でも、老朽化した空き家の除却に補助を設けている市町村があります(金額・戸数・条件は市ごとに異なり、年度でも変わります)。お住まいの「市名+空き家(解体・除却)補助金」で市の公式サイトを確認するか、市役所の住宅・建築の担当課へ電話で聞くのが確実です。当サイトでも各市の情報がそろい次第、記事を追加していきます。
まだ住んでいる家や、これから建て替える家の解体にも使えますか?
空き家向けの2制度では使えません。どちらも1年以上使っていない空き家が前提で、今住んでいる家や、貸して使っている家は対象になりません。
ただし、熊本市に何もないという意味ではありません。同じ敷地に建て直すなら耐震の建替え枠(住宅政策課・上限157.5万円か132.5万円)、区域の指定を受けた場所から引っ越すなら移転の枠(都市安全課)が別にあります。条件は本文の後半に書きました。
更地にして売るだけ、駐車場にするだけ、といった建て替えを伴わない解体は、どの枠にも当てはまりません。その場合は相見積もりで工事費そのものを下げる方向になります。
なお、災害で被害を受けた住宅の解体は、この話とは別の枠組みで扱われることがあります。その場合は、市の窓口へ直接ご相談ください。
もう解体業者と契約してしまいました。今から申請できますか?
原則できません。熊本市の補助は交付決定より前に契約・着手した工事は対象外です。これから解体する方は、必ず相談→申請→交付決定→契約の順で進めてください。着手までに期間がある場合は相談できることもあるので、まずは空家対策課の窓口へ。
まとめ
- 熊本市で空き家向けの解体費補助は2制度。傷んで危険な空き家は上限60万円(13戸枠)、危険になる前の空き家は上限40万円(80戸枠)
- どちらも1年以上使っていない空き家が前提。今そこに住んでいる家は、この2つでは出ない
- 住んでいる家は別の課に枠がある。同じ敷地に建て直すなら耐震の建替え(住宅政策課096-328-2449・上限157.5万円か132.5万円・受付は原則10月30日まで)、区域の指定を受けた場所から引っ越すなら移転の枠(都市安全課096-328-2926)。更地にして売るだけの解体は、どちらも対象外
- 相続・遺贈で受け継いだ比較的新しい木造にも、築22年以上などで使える新しい入口ができたが、令和8年度はわずか5件程度の狭い枠
- 共通ルールは着手前申請・戸数と予算の先着。契約を先にすると補助は消える。迷ったら空家対策課(096-328-2514)へ電話


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