鹿児島市の解体補助金【2026】空き家は上限30万円・がけ地の移転は別枠を元大工が中立解説

補助金の基礎知識・申請の流れ

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「鹿児島市で古い実家を解体したい。補助金は出る?」

先に正直なところをお伝えします。鹿児島市で空き家の解体そのものに使える補助は1つで、対象は倒れそうなほど傷んだ危険な空き家です。金額は解体費の3分の1、上限30万円。単に古い、空き家というだけでは出ません。ネットの業者サイトには「2分の1・50万円」と書いたものも見かけますが、それは誤りです。

ただ、解体費に届く枠が空き家の制度だけかというと、そうではありません。がけのそばに建つ危険な住宅から移り住む場合のがけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助には、除却等費として97万5千円までの枠があります。入口が「空き家」ではなく「移転」なので、解体で探していると通り過ぎてしまうところです。

この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、鹿児島市公式(2026年7月20日照合)をもとに、出る家・出ない家がすぐ分かるように整理します。

※2026年7月20日時点の鹿児島市公式サイト(建築指導課の各制度ページ)にもとづき、がけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助は2026年8月3日に同課の「助成・補助制度」一覧から追加で照合しました。3つの制度の受付期間は、2026年8月11日にそれぞれの公式ページで取り直しています。年度・予算で変わるため、申請前に必ず公式ページや建築指導課の窓口でご確認ください。
※この記事で扱うのは、平常時の空き家の解体補助です。災害で被害を受けた住宅の解体は別の枠組みで扱われることがあるため、その場合は市の窓口へ直接ご相談ください。

まず結論|空き家の解体は1つ、がけ地の移転は別枠

鹿児島市の解体補助が使える家を示した図。空き家向けは1つで、がけ地の移転は別の枠。①空き家=倒壊しそうな危険な空き家に、解体費の3分の1・上限30万円。②がけ地=がけのそばに今も住んでいる家が移転するなら、除却等費に97万5千円まで。空き家のままでは原則あてはまらない。③別枠=道路沿いの危険なブロック塀に、撤去費の2分の1・上限20万円。④出ない=単に古い家や傷みの軽い空き家には、空き家というだけの解体補助はない。共通ルールは契約より前に申請して交付決定を受けること。交付決定の前に着工した工事は対象外で、予算内で先着。

鹿児島市の空き家向けの解体補助は、熊本市のように「危険」と「危険になる前」の2段構えでもなければ、大阪市のような密集地区の話でもありません。用意されているのは、倒壊のおそれが著しい危険な空き家を壊すための補助です。空き家をそのまま放っておくと、倒れて隣の家や通行人に迷惑がかかる。それを防ぐための制度なので、入口が「危険な空き家であること」に絞られています。

ただ、解体費に届く枠はこれだけではありません。建築指導課の中に、目的の違う枠が並んでいます。整理すると入口は3つです。

  • ① 危険空き家の解体費に関する補助:倒壊のおそれが著しい危険な空き家が対象。解体費の3分の1・上限30万円で、多くの方に関係するのがこれです
  • ② がけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助:がけや土砂災害特別警戒区域のそばの住宅から移転する場合に、除却等費が97万5千円まで。ただし今その家に住んでいることが基本の条件です
  • ③ ブロック塀等の撤去費に関する補助:道路沿いの危険な塀が対象。撤去費の2分の1・上限20万円

3つとも窓口は同じ建築指導課です。ただし受付期間は制度ごとに違います。

①の危険空き家と②のがけ地は、令和8年度が令和8年5月7日から12月9日まで。③のブロック塀だけは令和8年4月20日から令和9年1月29日までで、始まりも終わりもずれています。

塀の枠が年をまたぐことは、覚えておくと得です。12月10日を過ぎていても、塀の分だけは1月29日まで残ります。ただし予算に到達すればそこで終わる点は、3つとも同じです。

まずは金額の中心になる、危険な空き家の解体補助から見ていきます。

中身|危険空家解体工事補助(3分の1・上限30万円)

正式には危険空家解体工事補助事業といいます。名前のとおり、放っておくと倒れかねない空き家を壊すための補助です。

  • 補助額解体費の3分の1、上限30万円。工事費の全額が出るわけではありません
  • 対象になる人:空き家の所有者か相続人(法人は除く)、または空き家が建つ敷地の所有者で所有者から同意を得た人。あわせて、市税を滞納していないことが条件です
  • 受付と期間:令和8年度は令和8年(2026年)5月7日から12月9日まで。申請した順に受け付け、予算に達した時点で期間の途中でも締め切られます

もう一つ大事なのが、申請の前に事前協議が必ず要ることです。空き家の今の様子が分かる写真を持って、先に建築指導課の窓口へ行きます。そこで市が現況を見て、この補助の対象になりそうかを確認する。ここを飛ばして先に進むことはできません。

なお、この補助で壊せるのは建物本体です。建物の一部だけの解体、塀や門扉・庭木の撤去、浄化槽など地下の埋設物や家財道具の片づけは対象になりません。家の中の物や庭まわりは、別で費用がかかると考えておくと見積もりで驚きません。

使える条件|4つすべてを満たす危険な空き家

対象になる空き家は、次の4つをすべて満たすものです。ここで多くの家がふるいにかかります。正直に書いておきます。

  • (1) 危険な空き家であること倒壊のおそれが著しいなど、そのままでは危ない状態の空き家。事前協議のあと、市の職員が現況を確認します
  • (2) 1年以上使っていないこと1年以上使用されていないこと。水道や電気を止めた日が分かる書類などで確認されます
  • (3) もとが住宅だったこと:従前の用途が住宅であること。店舗や倉庫だけの建物は入口が違います
  • (4) 立地の条件:次のどちらか。A=建物が隣の家や道路と近く、周囲に被害を与えるおそれがあるもの。B=道路に接していないなど、活用が進みにくい敷地に建つもの

正直に言うと、(1)の「危険」はかなり傷んだ家が前提です。まだ人に貸せそう、売れそうという程度の空き家だと、この制度には届きにくい。自分の家が当てはまるか迷ったら、写真を持って先に建築指導課へ相談するのがいちばん早いです。判定は市が現地を見て決めるので、電話やネットだけで自己判断しないほうが失敗がありません。

がけ地のそばの家は別枠|危険住宅の移転等の補助(除却等費97万5千円まで)

「空き家 解体 補助金」で探していると、まず出てこないのがこの制度です。がけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助といって、がけ崩れなどの危険がある場所に建つ住宅から、安全な場所へ移り住む人を助けるための仕組みです。移転にともなって今の家を取り壊す費用(除却等費)が補助の対象に入るので、結果として解体費の助けになります。

  • 補助額(限度額)除却等費は975千円(97万5千円)。あわせて、移転先の住宅の建設・購入・改修や土地取得、敷地造成のために金融機関から融資を受けた場合、その利子相当額も補助されます(限度額は建設および改修4,650千円、土地取得2,060千円、敷地造成608千円。利率は8.5パーセントを限度)。利子の分であって、建設費そのものが出るわけではありません
  • 対象になる場所:2メートルを超えるがけに近接する区域、急傾斜地崩壊危険区域、浸水被害の建築制限を定めた地区計画の区域、土砂災害特別警戒区域(通称レッドゾーン)、浸水被害防止区域など、市が定める区域にあること
  • 受付:令和8年5月7日から令和8年12月9日まで。申請順に受け付け、予算に到達した時点で終了します。申請は東別館4階の建築指導課だけで、支所ではできません
  • そのほか:市税を滞納していないこと。移転先や住宅の建設助成にも条件があります

ここは正直に線を引いておきます。この制度の中心にいるのは「今その家に住んでいる人」です。市の説明では、がけや急傾斜地などの区域にある既存不適格住宅について現に居住の用に供されているものに限ると書かれています。誰も住んでいない実家をただ壊すために使う、という形にはあてはまりません。

ただし対象はもう一つ書かれています。区域内の住宅のうち、建築後の大規模地震や台風などで安全上または生活上の支障が生じ、市長が移転勧告・是正勧告・避難指示などを行った住宅です。こちらには居住中という条件が書かれていません。自分の家がどの読み方になるかは、市が現地と経緯を見て決める部分です。がけのそばに実家がある方は、自己判断せずに建築指導課(099-216-1358)へ状況を伝えて確かめてください。

親御さんが今もがけのそばの家に住んでいて、住み替えを考えている。その段階なら、この制度がいちばん手厚い受け皿になります。空き家にしてから壊す段取りに入る前に、一度聞いておく価値があります。

危険なブロック塀は別枠で補助(2分の1・上限20万円)

解体そのものとは別に、危険なブロック塀を撤去するための補助があります。地震のときに塀が倒れて通行人がけがをするのを防ぐための制度です。

  • 対象になる塀:道路に面した、高さ1メートル以上のコンクリートブロック造や石造などの塀・門柱。道路と敷地に段差がある場合は、道路から1メートル以上かつ敷地の地面から60センチメートル以上のものです
  • 補助額:見積額と、基準額(1メートルあたり1万円)のうち少ないほうの2分の1、上限20万円。同じ敷地で使えるのは1回だけです
  • 対象になる人:塀の所有者か管理者(こちらは法人も使えます)
  • 申請期間:令和8年4月20日から令和9年1月29日まで。危険空き家とがけ地の枠より遅く始まり、年をまたいで続きます。申請順の受付で、予算に到達した時点で終了。受付は平日の8時45分から12時と13時から16時30分で、支所ではできません(更新日2026年4月20日の公式ページ)

こちらも、市の交付決定より前に撤去に着手すると対象外になります。古い塀のある家は、解体や建て替えと一緒に検討しておくと二度手間になりません。

申請の流れ|「交付決定の前に契約しない」が絶対

鹿児島市の解体補助 申請の流れの図。①建築指導課に事前協議する。危険な空き家の写真を持って相談する。②交付申請して決定を待つ。契約や着工より前に申請し、予算内で先着。③交付決定の後に契約して解体する。登録や許可のある解体業者に依頼し、自分での解体は不可。④完了報告して受け取る。工事費を全額払った後にあとから振り込まれる。交付決定の前に契約・着手した工事は原則として対象外で、先に業者と契約すると補助は受けられなくなる。

この補助で、いちばん大事なのはここです。

  • 解体の契約より前に申請し、市の「交付決定」(補助を出しますという市の決定)を受けること。決定より前に契約・着手した工事は、原則として補助を受けられません
  • まず事前協議、そのあと申請、そして交付決定を待つ、という順番です。審査には日数がかかります。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
  • 解体は、解体工事業の登録か建設業の許可がある業者が行うことが条件です。工事の一部を下請けに出す場合も、その業者に登録や許可が要ります。自分で壊す工事は対象になりません
  • 補助金が振り込まれるのは、工事費を全額払って完了報告をしたあと。いったんは自分で立て替える前提です

「先に業者と契約してしまった」は、補助が消える、いちばんもったいないつまずき方です。順番だけは守ってください。

対象外だった人の、現実的な選択肢

危険な空き家に当てはまらなかった、あるいは予算が終わってしまった場合でも、打つ手はあります。解体は業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や、出た廃材の処分の仕方で見積もりは大きく動きました。補助が使えない前提でも、2〜3社の相見積もりで数十万円変わることは珍しくありません。

  • 解体費そのものの相場と内訳は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています
  • 費用が心配なら、壊す前に確認したい順番を解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています
  • 更地にすると住宅用地の特例が外れ、固定資産税が上がる場合がある点も、壊す前に知っておいてください。空き家を壊して土地を売る場合は、一定の要件を満たせば譲渡所得の3,000万円特別控除という税の特例が使えることもあります(詳しくは税務署や市の窓口へ)

▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※補助を使う場合は、その業者が制度の条件に合うかの確認も忘れずに)

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あわせて読みたい

よくある質問

霧島市や姶良市に住んでいます。同じ補助はありますか?

解体や除却の補助は市区町村ごとに制度が違うので、鹿児島市の内容はそのままは使えません。鹿児島県内でも、老朽化した危険な空き家の除却に補助を設けている市町があります(金額・条件は市ごとに異なり、年度でも変わります)。お住まいの「市名+空き家(解体・除却)補助金」で市の公式サイトを確認するか、市役所の建築や住宅の担当課へ電話で聞くのが確実です。当サイトでも各市の情報がそろい次第、記事を追加していきます。

まだ住んでいる家や、単に古いだけの空き家の解体にも使えますか?

危険空き家の解体費補助は使えません。この補助は倒壊のおそれが著しい危険な空き家が前提で、まだしっかりしている古い空き家や、今住んでいる家は対象外です。普通の中古住宅を壊すこと自体に広く使える補助は、建築指導課の「助成・補助制度」の一覧を2026年8月3日に見た範囲では見当たりませんでした。

ただ、例外が1つあります。がけや土砂災害特別警戒区域のそばに建っていて、今その家に住んでいる場合は、がけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助の対象になることがあります。移転にともなう除却等費に97万5千円までの枠がある制度で、住んでいる家だからこそ届く枠です。あてはまりそうなら建築指導課(099-216-1358)へ。なお、災害で被害を受けた住宅の解体は、これとは別の枠組みで扱われることがあります。その場合も市の窓口へご相談ください。

もう解体業者と契約してしまいました。今から申請できますか?

原則できません。鹿児島市の補助は交付決定より前に契約・着手した工事は対象外です。これから解体する方は、必ず事前協議→申請→交付決定→契約の順で進めてください。着手までに期間がある場合は相談できることもあるので、まずは建築指導課(099-216-1358)へ。

まとめ

  • 鹿児島市の空き家向けの解体補助は1つ。倒壊のおそれが著しい危険な空き家に、解体費の3分の1・上限30万円。4つの条件をすべて満たすことが必要
  • 単に古い・空き家というだけでは出ない。業者サイトにある「2分の1・50万円」は誤りで、正しくは3分の1・上限30万円
  • がけ地に近接する危険住宅の移転等に関する補助は別の枠。移転にともなう除却等費が97万5千円まで出るが、今その家に住んでいることが基本の条件で、空き家のままでは原則あてはまらない
  • 危険なブロック塀も別の枠で、撤去費の2分の1・上限20万円(同一敷地1回まで)。受付期間だけは①②とずれていて、令和8年4月20日から令和9年1月29日までです
  • 共通ルールは事前協議・着手前申請・予算内の先着。契約を先にすると補助は消える。迷ったら建築指導課(099-216-1358)へ電話

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