※本記事には、解体・リフォームの一括見積もりサービス等のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。
「愛知県で古い実家を解体したい。補助金は出る?」
先に結論です。愛知県(県庁)としての一律の解体補助はなく、制度は市町村ごとです。しかも金額も条件も、市によってまるで別物。同じ県内に、上限10万円の枠と、立地しだいで120万円まで出る枠が並びます。
額を決めているのは、市の大きさではありません。家がどれだけ傷んでいるか、どれだけ壊しにくいかです。人口が県で一番多い名古屋市も、市が「特定空家等」と判断するほど傷んだ空き家なら最大80万円まで出ます。
もう一つ、6市に共通する形があります。どの市も「空き家の傷み具合で見る枠」と「旧耐震の木造を壊す耐震の枠」の2階建てで、片方に届かなくても、もう片方が残っていることがあります。
この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、名古屋市・豊橋市・豊田市・岡崎市・一宮市・春日井市の公式サイトを照合して整理します。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
※2026年8月3日に6市の公式ページを再照合しました。開いたのは、名古屋市の「戸建木造住宅除却助成」「老朽木造住宅除却助成」「名古屋市老朽危険空家等除却費補助金」「がけ地近接等危険住宅移転事業費補助金」、豊橋市の「空家解体促進費補助金」「木造住宅解体工事費補助金」、豊田市の「空家解体促進費補助金」「木造住宅の地震防災対策と補助事業」「がけ地近接等危険住宅移転補助事業」、岡崎市の「空き家の除却に関する補助制度」「倒壊のおそれのある住宅の除却費補助制度」「土砂災害特別警戒区域内の住宅等に対する補助制度」、一宮市の「老朽空き家解体工事費補助金」「民間木造住宅解体工事費補助金」、春日井市の「老朽空き家解体費補助金」「耐震診断・耐震改修等の補助制度」の各ページです。年度・予算で変わるため、申請前に必ず各市の公式ページで最新をご確認ください。
主要6市の早見表【2026年度】

見てのとおり、6市で入口も金額もそろっていません。ポイントは3つ。①上限が大きいのは「壊しにくい家」と「危険と判定された家」、②額の順では岡崎市のがけ地120万円、名古屋市の特定空家等80万円、豊田市52万円、豊橋市50万円が上位、③どの市にも旧耐震の木造を壊す耐震の枠が別にあり、空き家の枠に届かなくても入口が残ることがある、です。順番に、自分の家がどこに当てはまるか当てはめながら読んでください。
市ごとの実態|金額も条件もバラバラ
名古屋市|木造は20万〜40万円、特定空家等なら最大80万円
名古屋市の助成は、地震で木造が倒れるのを防ぐための「除却助成」が柱です。木造住宅密集地域の外は上限20万円、密集地域なら上限40万円(いずれも3分の1)。対象は昭和56年(1981年)5月以前に建った旧耐震の木造戸建てで、耐震診断で倒壊の危険と判定されることが入口です。入口になる耐震診断を無料で受けられるのは名古屋市の利点です。
ここで、金額の読み方に注意が要ります。上限の20万円と40万円は、家が小さいと届きません。
名古屋市はどちらの助成でも、除却費用のほかにもうひとつ物差しを置いています。原文は「対象住宅の延床面積に1平方メートル当たり9,600円を乗じた額」で、実費とこの額を比べて低いほうの3分の1が助成額です。
計算するとこうなります。密集地域の外で上限20万円に届くには延床62.5平方メートル以上、密集地域で上限40万円に届くには延床125平方メートル以上が要ります。木造30坪(約99平方メートル)の家だと、密集地域でも計算上は約31万円で、40万円には届きません。
そのほか、記事の前の版で書けていなかった条件も並べておきます。在来軸組構法または伝統構法であること(プレハブやツーバイフォーは対象外)。2階建て以下。所有者が個人であること(法人所有は対象外)。密集地域のほうは固定資産税と都市計画税を滞納していないことが要ります。そして密集地域かどうかは、市が出している「主な木造住宅密集地域一覧」で確かめてください(2026年8月9日確認)。
ただし、これで終わりではありません。市が「特定空家等」と判断するほど傷んだ空き家には、老朽危険空家等除却費補助金で最大80万円の枠があります。市の職員が現地調査で点数をつけ、評価75点以上なら工事費の3分の1(最大40万円)、125点以上なら3分の2(最大80万円)の2段階です。受付は先着で、予算額に達し次第終了します。
この制度だけ担当が別の局で、スポーツ市民局 地域振興部 地域振興課(電話052-972-3126)が窓口です。所有者が法人の場合は対象になりません。ほかに、土砂災害特別警戒区域の危険住宅から移り住むときの除却費などが出るがけ地近接等危険住宅移転事業費補助金と、耐震診断が義務づけられた大きな建物だけの枠もあります。くわしくは名古屋市の解体補助金の記事で5つの制度に整理しています。
豊橋市|危険な空き家の解体に上限50万円と手厚い
豊橋市の空家解体促進費補助金は、危険な空き家の解体費の3分の2・上限50万円と、6市では手厚い部類です。対象は、1年以上使われていない空き家で、延べ床面積の半分以上が住まいだったもの。そして市の調べで傷みの評点が100点以上(倒壊や建築材の飛散のおそれがある状態)になった木造などが条件です。共有名義なら共有者全員の同意もいります。窓口は建築物安全推進課で、令和8年度の受付が始まっています。
この空き家の枠に届かなくても、豊橋市にはもう一つ入口があります。木造住宅解体工事費補助金で、昭和56年5月31日以前に着工した延べ床面積30平方メートル以上の木造住宅を1棟すべて解体する場合に、解体工事費用の23パーセント(上限20万円)が出ます。市の無料耐震診断で判定値1.0未満、または自分で書ける「容易な耐震診断」で倒壊の危険があると判断されれば対象です。
豊田市|上限52万円に増額。空き家の解体に使える
豊田市の空家解体促進費補助金は、空き家の解体費の2分の1・上限52万円。もともと上限20万円でしたが、令和7年度から52万円に引き上げられ、ふつうの空き家の解体に使える枠としては6市で大きいほうです。対象は1年以上使われていない、住まいが半分以上を占めていた家で、屋根の陥落や壁の剥落などで著しく傷んだ「不良住宅」と同等のもの。申請の前に市の職員が現地で建物の中まで確かめる流れで、立ち会いが必要です。
豊田市にも耐震の枠が別にあります。昭和56年以前に着工した木造で、耐震診断の判定値が1.0未満、または調査票で倒壊の危険があると判断された延べ面積30平方メートル以上の家を1棟すべて解体する場合、解体工事費の23パーセント(最大52万円)です。空き家になっていなくても使えるのはこちらのほうです。窓口は建築相談課(電話0565-34-6649)。さらに、土砂災害特別警戒区域などの危険住宅から市内の安全な場所へ移る場合は、がけ地近接等危険住宅移転補助事業で除却費と引越費用等(上限97万5千円)も対象になります。
岡崎市|「立地の悪い危険空き家」ほど手厚い逆転
岡崎市の空き家除却事業費補助金は、ふつうの危険空き家は上限10万円(2分の1)と控えめでも、道路に接していない無接道の家は60万円、がけ地の家は120万円まで上がります。狭い道や崖の上にあって重機が入りにくく、自力では壊しにくい家ほど手厚くする、という逆転の設計です。
ただし、60万円と120万円には場所の限定がついています。市内ならどこでも、ではありません。
60万円の無接道等危険空き家は、原文で「居住誘導区域内の敷地に存在する危険空き家であって」と始まります。そのうえで、建築基準法第43条第1項に適合していない敷地であること、または幅員2メートル未満の道路のみに接していて除却工事に解体重機を使用しないもの、という条件が付きます。
120万円のがけ地空き家は「市街化区域内かつ土砂災害防止対策の推進に関する法律第9条第1項に規定する土砂災害特別警戒区域内に存する空き家」です。しかも事前相談制と明記されています。
自分の家がどの区域に入るかは、市の窓口で先に確かめてください。ここを確かめずに見積もりを取ると、10万円の枠だったという結論になりかねません。
あわせて、共通の条件も書いておきます。個人が所有するものであること。そして交付決定の前に除却工事や契約をすると対象外です。交付申請の申込期限は令和8年12月28日までです(2026年8月9日確認)。
対象は、市の測定で評点が100以上の危険な家で、1年以上使われず、住まいが半分以上を占めていたもの。まず判定申請を出し、対象と認められてから交付申請に進みます。なお岡崎市には、昭和56年5月以前の旧耐震住宅を対象にした「倒壊のおそれのある住宅の除却費補助制度」(23パーセント・上限10万円)もあります。さらに、土砂災害特別警戒区域の危険住宅から市内の安全な場所へ移る場合は、がけ地近接等危険住宅移転事業費補助金で、危険住宅の除却費(木造は1平方メートルあたり上限3万1千円)と引越等の費用(上限97万5千円)が対象になります。
一宮市|率は5分の4と高いが上限20万円・5戸の狭き門
一宮市の老朽空き家解体工事費補助金は、率が解体費の5分の4と高いものの、上限は20万円で予定は5戸の先着という狭き門です。対象は、市の判定で「不良住宅」と同等とされた空き家です。令和8年度の受付期間は9月30日までとされています。ただし市は8月6日の更新で、この日をもって予算上限に達する見込みだと告知しました。原文は「2026年8月6日をもって予算上限に達する見込みとなりました。2026年度申請をご検討されている方は住宅政策課(電話番号 0586-85-7010)までご相談ください」です。期間は残っていても、枠のほうが先に尽きた形です。まだ望みがあるかは、この番号へ直接お尋ねください。なお、不良住宅かどうかの判定申請だけは随時受け付けているので、来年度に向けて先に済ませておく手はあります(2026年8月9日確認)。もう一つ、旧耐震(昭和56年5月以前)の木造には民間木造住宅解体工事費補助金(23パーセント・上限20万円・予定200戸)があり、こちらは戸数に余裕があります。こちらの受付は12月15日までです。空き家の傷みで選ぶか、旧耐震で選ぶかで入口が変わる、と考えてください。
春日井市|昭和56年以前の空き家に3分の2・上限20万円
春日井市の老朽空き家解体費補助金は、解体費の3分の2・上限20万円。対象は、1年以上使われていない、住まいが半分以上を占めていた空き家で、昭和56年5月31日以前に着工されたものです(以前は「木造で築22年、非木造で築47年」でしたが、条件が変わりました)。門や塀、立木まで含めて全部を解体して更地にすることも条件です。契約より前の申請が必要で、窓口は住宅政策課です。
春日井市にも耐震の枠があります。市の無料耐震診断で判定値1.0未満、または容易な耐震診断調査票で倒壊の危険があると判断された木造住宅を1棟すべて取り壊す場合、木造住宅除却費補助で解体等に要する費用の23パーセント(上限20万円)です。仮申込書の受付は、申請を予定する年度の12月上旬までとされています。
この6市以外にお住まいなら
江南市など、ここに挙げていない市町村にも老朽危険空き家の除却補助はあります。愛知県のサイトには県内市町村の空き家支援制度をまとめた一覧があり、まず自分の市町村に制度があるかを確認できます。個別に調べるときは「市町村名+空き家 解体(除却)補助金」で検索し、URLが lg.jp などの公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度が古いことが多いためです。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。
どの市でも共通の鉄則
- 工事の契約前に申請し、交付決定を受けてから契約・着工。先に契約すると1円も出ません
- 危険な空き家の補助は、まず市の「判定」や「現地調査」からです。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
- どの市も予算がなくなり次第終了。年度前半ほど有利です。一宮市の5戸のように、件数が少ない制度ほど早い者勝ちになります
- 市内業者限定・市税の滞納なし・家財の処分費は対象外など、細かい条件は市ごとに違います。工事費を業者が代わりに受け取る代理受領(利用者は差額だけ用意する仕組み)が使える市もあります
- 空き家の枠で断られても、旧耐震の木造を壊す耐震の枠は6市とも別にあります。空き家の担当課と耐震の担当課が違う市もあるので、片方で終わりにしないでください
解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。
▶ 解体費の内訳(本体・付帯・処分費)を並べて比べるなら:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※市内業者限定の補助を使う市では、見積もり先が条件に合うかも確認してください)
▶ 解体でなく「直して住む・貸す」なら、リフォーム費用を無料で比較
リショップナビで無料一括見積もりを取る(複数社で比較)(※壊すか直すかで迷っている段階なら、直す場合の金額を先に知っておくと判断が早くなります。費用が心配なときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています)
よくある質問
愛知県(県庁)としての解体補助金はないのですか?
ありません。県の空き家対策は、窓口は各市町村という案内や、市町村の支援制度一覧の紹介が中心です。解体の補助は、家がある市町村の制度を調べてください。愛知県には市町村ごとの空き家支援制度の一覧が用意されているので、まず自分の市町村に制度があるかを確認するのが早道です。
6市のうち、どこがいちばん手厚いのですか?
市の名前ではなく、家の状態で決まります。2026年8月3日に確認した範囲で上限がいちばん大きいのは岡崎市のがけ地空き家(120万円)、次が名古屋市の特定空家等(最大80万円)、岡崎市の無接道の危険空き家(60万円)、豊田市(52万円)、豊橋市(50万円)の順でした。
ただし額が大きい枠ほど、条件も厳しくなっています。がけ地や無接道は立地で決まり、特定空家等は市の判定が要ります。金額の大小より、自分の家がどの枠に当てはまるかで使える制度が決まります。
解体すると固定資産税が上がると聞きました
土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。豊田市の案内でも、解体後は固定資産税が上がる可能性があると注意しています。
まとめ
- 愛知県の解体補助は市町村ごとで、県の一律制度はない
- 名古屋市は旧耐震の木造で上限20万〜40万円。ただし市が「特定空家等」と判断した空き家には最大80万円の枠がある
- 空き家の解体で手厚いのは豊田市(2分の1・52万円)と豊橋市(3分の2・50万円)。一宮市・春日井市は上限20万円
- 岡崎市は無接道60万円・がけ地120万円と、立地が悪くて壊しにくい家ほど手厚い
- 6市とも旧耐震の木造を壊す耐震の枠が別にある(多くは23パーセント・上限20万円前後)
- 共通の鉄則は契約前に申請と、業者差の大きい解体費を下げる相見積もり
あわせて読みたい


コメント