空き家の電気・ガス・水道は止めていい?持ち続ける・壊す・手放すで変わる手続きを元大工が中立解説

業者選び・費用相場

※本記事には、不動産買取サービス等のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

実家が空き家になって、電気とガスと水道をどうするか。止めれば毎月の基本料金は出ていかなくなります。

ただ、止め方を間違えると、あとで工事とお金が余計にかかることがあります。答えはあと何年その家を持つかで変わるからです。

元大工で、ホームセンター売り場に8年いたおさむが、電力会社・ガス会社・自治体の水道局の公式ページで確かめました(照合日2026年8月14日)。

持ち続ける場合、壊す場合、手放す場合の3つに分けて見ていきます。

止めるかどうかは、料金だけでは決まらない

空き家の電気・ガス・水道を止めていいかは3つに分かれる。決め手は料金ではなく、あと何年その家を持つか。しばらく持つなら水道は残し、電気は使い方しだい。水を流さないと排水口の水が乾いて臭いが上がる。使わない電気製品のプラグは抜いておく。壊すと決めたなら止めるだけでは足りず、電気は引込線とメーター、ガスは管の切り離しが要る。水道は休止の届出とは別に撤去の工事を申し込む。手放すと決めたなら廃止まで進めるのは待つ。水道を廃止すると再開に工事と負担金がかかる市町があるので、引き渡しの形が決まるまでは休止でとどめておく。先に決めるのは止め方ではなく行き先。手続きの名前も費用も、会社と市町村で違います

まず、誰も住んでいなくても、契約が残っていれば料金は出ていきます。

日立市は「基本料金は、使用水量の有無にかかわらずお支払いただく料金です」と書いています。1滴も使っていなくても、契約が残っていれば毎月かかるという意味です。

だから止めたくなる。ここまでは自然な流れだと思います。

問題はその先です。水道の止め方には休止と廃止という別々の手続きがあり、名前が似ているわりに中身は別物です。

軽井沢町の説明が分かりやすいので引きます。休止は「水道を今後使用する予定はあるが、水道を一時的に止めたい場合」で、廃止は「水道を今後使用する予定がなく、水道を完全に止めたい場合」です。

そして廃止のほうには、こう続きます。「水道メーターの権利を失効いたしますので、再度水道を使用したい際は、新規メーター設置の負担金及び水道工事が必要となります」

つまり廃止まで進めると、気が変わって水を使いたくなったときに、お金を払って引き直すことになります。

休止のほうも、ただではありません。野々市市は休止の手数料を3,600円と書いていますし、軽井沢町は「休止状態は、基本使用料はかかりません。(メーター使用料は、休止状態でも料金が発生します)」と、休止中も残る料金があることを示しています。

手続きの名前も、費用も、市町村によって違います。ここは自分の家のある市町村の水道局で確かめてください。

ここまでを踏まえると、先に決めるのは止め方ではないと分かります。行き先のほうです。

しばらく持つなら|水道は残す、電気は用心する

水道は通水のために残しておく

人が住んでいない家でいちばん先に出るのが、においです。

台所や洗面台の下には排水トラップという曲がった管があって、そこに溜まった水がフタの代わりになっています。この水が乾くと、下水のにおいと虫の通り道になる。

この乾きは、月に1回、各蛇口の水を1分ずつ流せば防げます。だから管理を続けるあいだは、水道を残すのが基本です。

ただし雪国では逆の心配もあります。冬に水を残したまま放っておくと凍って配管が割れることがあるので、水抜きの扱いは地元の水道局か指定の工事店に聞いてください。

電気は「契約」と「プラグ」を分けて考える

電気は少し性格が違います。契約を残すかどうかと、家電を挿しっぱなしにするかどうかは、別の話だからです。

東京消防庁は、コンセントに挿したプラグの刃の周りにほこりが付き、そこが湿気を帯びて放電を繰り返すと火花が出て火災になると説明しています。トラッキングと呼ばれる現象です。対策として挙げているのは「使用しないプラグは抜いておく」というものです。

プラグを抜くのは、契約を残していてもすぐできます。ここは今日やっていい部分です。

契約そのものは、見回りのときに照明や換気扇を使うかどうかで決めれば足ります。冷蔵庫が中身ごと残っているなら、先に中を空にするのが順番です。

ガスは、使う予定がないなら止める

ガスは、管理のために残しておく理由が見つけにくいところです。管理のための通水や換気に、ガスは要りません。

プロパンガスの場合は、容器と調整器が敷地に置いたままになります。契約している販売店に、引き取りまで含めて相談してください。

維持費の全体像を数字で見たいときは空き家の管理サービス費用と維持費の現実に、管理を頼む場合と自分でやる場合の分岐をまとめています。

壊すと決めたなら|止めるだけでは足りない

壊す前に出す3つの申し込み。窓口も、いつまでに出すかも、3つとも別。電気は引込線と電力メーターの撤去で、東京電力パワーグリッドは1週間前までにと案内し、準備に6か月以上かかった例もあると同社は明記している。ガスは敷地の境目でガス管を切り離す工事で、東京ガスネットワークは2週間前を目安にと案内し、承諾なく触れて壊すと罰則の対象になることがある。水道は休止の届出では工事はできず、いわき市水道局は撤去工事の申請人は所有者と明記し、工事ができるのは市町村の指定を受けた事業者だけ。解体の日程より先に、この3つを動かします。期限も費用も、会社と市町村で違います

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

解体のために必要なのは、契約を止めることではありません。設備そのものを撤去してもらう申し込みです。しかも電気・ガス・水道で窓口も期限も別々になります。

電気|引込線と電力メーターの撤去

東京電力パワーグリッドは「電気設備がある状態での解体工事は感電の恐れがあり大変危険です」と書いています。建物を壊すなら、引込線と電力メーターを撤去する必要がある、と明記されています。

期限の案内はこうです。「一般住宅への電柱からの引込線の撤去については遅くとも撤去ご希望日の1週間前までにお申込みをお願いいたします」

そのうえで、同じページに「場合によっては撤去工事の準備に6ヶ月以上を要する事例もあります」とあります。1週間前が最低ラインで、余裕を持って動く前提だと読むのが安全です。

もうひとつ。電気の解約先と撤去の申込先は同じではありません。同社の案内では、解約が済んでいれば送配電会社へ、まだなら契約している小売電気事業者へ、という分け方になっています。

ガス|敷地の境目で管を切り離す

東京ガスネットワークは、建物の解体に伴う工事を「全部撤去(地境切断)」と呼び、「建物の解体や建て替えに伴う敷地境界でのガス管の切り離し」と説明しています。栓を閉めるのとは別の工事です。

申し込みの時期は「ご希望工事日の2週間前を目安に、お早めにお申し込みください」とあります。

そして、これは知らないと怖い部分です。「ガス事業者の承諾を得ずにガス工作物を移設したり、破損した場合は、ガス事業法に基づき罰則の対象となることがあります」と書かれています。工事が終わるまでガス管には触れないよう、作業に入る人へも伝えておいてください。

なお、この案内は工事業者向けのページに載っているものです。実際の申し込みを解体業者が出すこともあるので、次の分担の話につながります。

水道|休止の届出では工事ができない

水道は、似た名前の手続きが並んでいて分かりにくいところです。

いわき市水道局は「「水道使用休止届」では、工事を行うことはできません」とはっきり書いています。解体の前に必要なのは撤去工事のほうです。同局はこれを「給水装置工事の撤去工事」と呼び、申請人は所有者と明記しています。

誰が工事をするかも決まっています。「水道の給水装置工事を行うことが出来るものは、「指定給水装置工事事業者」だけです。解体業者は水道工事を行うことができません」

費用についても「工事費用や申請に係る費用は、すべてお客さまの費用負担となります」とあります。

これはいわき市の案内なので、手続きの名前や流れが同じとは限りません。ただ、休止と撤去が別物だという構えは、どの市町村で確認するときにも役に立ちます。

解体業者との分担を先に決める

ここまでの3つは、解体業者が代わりに申し込んでくれる場合と、所有者が自分で出す場合に分かれます。水道のように申請人が所有者と決まっているものもあります。

見積もりを取る段階で、どれをどちらがやるのかを口に出して確認しておいてください。口約束で終わらせず、見積書か打ち合わせのメモに残しておくと、あとで確かめられます。

解体費そのものの相場と補助は家の解体費用の相場と補助金に、市ごとの制度は解体の補助金|47都道府県まとめにまとめています。手元のお金が足りないときの順番は解体費用が払えない!売る前に確認する4つの順番です。

手放すと決めたなら|廃止まで進める前にやること

売る、あるいは引き取ってもらう。この行き先を選んだ人が気をつけたいのは、先ほどの廃止です。

買い手がその家に住むなら、水道も電気もそのまま使えたほうが話が早くなります。廃止まで進めてしまうと、次に使う人が引き直しの費用を負うことになり、そのぶん条件の話がややこしくなります。

引き渡しの形が決まるまでは、休止でとどめておく。これがいちばん戻しやすい状態です。

そのうえで、順番としては金額を先に知るほうが決めやすくなります。売ったらいくらか、壊したらいくらかかるか。この2つが並ぶと、電気や水道をどうするかも自然に決まるからです。

共有名義になっている、再建築ができない、長く空き家だった。そういう条件でも査定してもらえるところなら、数字だけ先に聞くことができます。

▶ 手放したときの金額を先に聞いておく

他社で断られた物件でも買取りが可能「ワケガイ」

(※査定は無料です。公式サイトには、共有持分・共有名義、空き家、再建築不可、相続した実家を売りたい、遠方で管理できないといった事情が対象として並んでいます。メールの受付は24時間で、返信は翌営業日までと書かれています。2026年8月14日に公式サイトで確認しました。名義がまだ親のままなら、先に相続登記を)

兄弟で相続していて話がまとまらないときの進め方は実家の処分で兄弟と揉めないための順番に、家の中の荷物の費用感は空き家・実家の片付け費用にあります。

よくある質問

空き家の電気は止めてもいいですか?

電気を止めたこと自体が建物を傷める理由にはなりません。止めたら家が悪くなるという性質のものではないからです。

ただし、換気扇や除湿機を回して湿気を逃がしている家は別です。見回りのときに照明や換気扇を使うか、防犯用の照明を点けたいか。この2つで決めてください。契約を残す場合も、使わない家電のプラグは抜いておきましょう。

水道を止めると家は傷みますか?

止めること自体ではなく、水を流さなくなることが問題になります。排水トラップの水が乾いて、においと虫の通り道ができるからです。

誰かが月1回通えるなら水道は残す。通えないなら管理サービスに通水まで頼むか、行き先を早めに決める。この分岐で考えると迷いません。

解体するとき、電気や水道はいつ止めればいいですか?

止める日ではなく、撤去を申し込む日から逆算してください。東京電力パワーグリッドは撤去希望日の1週間前まで、東京ガスネットワークは工事希望日の2週間前を目安と案内しています。

水道は休止の届出とは別に撤去工事の申請が要ります。解体の日程を決める前に、契約先と市町村の水道局に連絡するのが安全な順番です。

いったん止めた水道は、すぐ再開できますか?

休止であれば再開の届出で戻せますが、手続きと費用は市町村で違います。廃止まで進めた場合は、軽井沢町の説明のとおりメーターの権利が無くなり、新規設置の負担金と工事が必要になる市町があります。

迷っている段階では廃止を選ばない。これだけ覚えておけば大きな損は避けられます。

まとめ

  • 契約が残っていれば、使っていなくても基本料金はかかる。ただし止め方は2種類ある
  • 休止は戻せる。廃止まで進めると、再開に負担金と工事が要る市町がある
  • しばらく持つなら水道は通水のために残し、使わないプラグは抜いておく
  • 壊すなら止めるだけでは足りない。電気・ガス・水道それぞれに撤去の申し込みが要る
  • 申し込みの期限は会社ごとに違う。東京電力パワーグリッドは1週間前まで、東京ガスネットワークは2週間前が目安

今日やることを1つだけ挙げるなら、水道の検針票か請求のはがきを探すことです。そこに書いてあるお客様番号があれば、水道局に電話1本で「いま自分の家がどの状態か」を教えてもらえます。

あわせて読みたい

運営者の経歴は運営者情報(元大工のおさむ)をご覧ください。

【出典】使用水量にかかわらず基本料金がかかること=日立市「水を使っていない(使用水量0立方メートル)のに水道料金がなぜかかるの?」( https://www.city.hitachi.lg.jp/faq/kurashi_tetsuzuki/1006341/1010975/1006346.html ・ページ更新日 令和6年1月24日・照合日2026年8月14日)/休止と廃止の違い、廃止後の新規メーター設置の負担金=軽井沢町「水道メーターの休止と廃止の違い」( https://www.town.karuizawa.lg.jp/page/18389.html ・ページ更新日2025年12月15日・照合日2026年8月14日)/休止手数料3,600円=野々市市「まったく使用していないのに、水道・下水道料金がかかるのはなぜですか」( https://www.city.nonoichi.lg.jp/soshiki/32/367.html ・ページ更新日2022年9月1日・照合日2026年8月14日)/トラッキングと使用しないプラグを抜くこと=東京消防庁蒲田消防署「電気火災」( https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/fs/kamata/denkikasai.html ・照合日2026年8月14日)/引込線と電力メーターの撤去、1週間前までの申し込み、準備に6ヶ月以上を要する事例、解約と撤去の申込先の違い=東京電力パワーグリッド「建物解体に伴う引込線等撤去のお手続き」( https://www.tepco.co.jp/pg/electricity-supply/operation/distribution/removal.html ・照合日2026年8月14日)/全部撤去(地境切断)、2週間前を目安とする申し込み、ガス事業法に基づく罰則=東京ガスネットワーク「敷地内での解体・増改築に伴うガス管撤去工事のお申し込み」( https://www.tokyo-gas.co.jp/network/engi/removal/index.html ・照合日2026年8月14日)/休止届では工事ができないこと、撤去工事の申請人は所有者、指定給水装置工事事業者、費用の負担=いわき市水道局「家屋解体を行う市民の皆さまへ」( https://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1578440325237/index.html ・登録日2026年7月29日・照合日2026年8月14日)。料金・手数料・手続きの名称は事業者と市町村によって異なります。実際の扱いは契約先と市町村の窓口でご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました