福岡県の解体補助金【2026】福岡市は狭く周辺市が手厚い|5市の条件を中立解説

補助金の基礎知識・申請の流れ

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「福岡県で古い家を解体したい。補助金は出る?」

先に結論です。福岡県(県庁)としての一律の解体補助はなく、制度は市町村ごとです。しかも金額も条件も、市によってまるで別物です。

意外に思われるかもしれませんが、空き家向けの枠で見ると、人口が県で一番多い福岡市がむしろ狭き門で、久留米市・大牟田市・飯塚市など周辺の市のほうが手厚い、という逆転が起きています。この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、福岡市・北九州市・久留米市・大牟田市・飯塚市の公式サイトを照合して整理します。

※2026年7月20日時点の各市公式サイトをもとに、2026年8月3日に再照合しました。開いたのは北九州市と久留米市の「がけ地近接等危険住宅移転事業」、久留米市の「木造住宅耐震改修等事業費補助金」、大牟田市の「中心市街地老朽建築物除却促進事業」、飯塚市の「木造戸建住宅性能向上事業」、福岡県の「がけ地近接等危険住宅移転事業」の各ページです。年度・予算で変わるため、申請前に必ず各市の公式ページで最新をご確認ください。

主要5市の早見表【2026年度】

福岡県の解体補助金2026 主要5市の早見表。福岡市は耐震建替・除却が入口で除却は上限30万円・建替は最大50万円、空き家というだけでは出ない狭き門。北九州市は危険な空き家の除却で市の判定を通れば除却費の3分の1・上限30万円、耐震診断は不要。久留米市は老朽危険空家の除却で除却費の2分の1・上限65万円。大牟田市は老朽危険家屋の除却で除却費の2分の1・上限60万円、家財の処分費は対象外。飯塚市は老朽危険家屋の解体で解体費の2分の1・上限50万円、事前の現地調査あり。この5市では空き家向けの枠の上限が30万〜65万円で、条件もバラバラ。人口トップの福岡市はむしろ狭く、周辺市の方が手厚いことも。この表は5市ぶんで、町や他の市には別の額の枠がある。早見表に載せた空き家向けの枠とは別に、耐震・がけ地・まちなかの整備といった枠から解体費が出ることもある。

見てのとおり、5市で入口も金額もそろっていません。ポイントは3つ。①福岡市は「耐震」が入口で、空き家というだけでは出ない、②北九州市・久留米市・大牟田市・飯塚市は「危険な空き家(老朽家屋)の取り壊し」そのものに補助がある、③空き家向けの枠だけで比べると、この5市では上限が30万円から65万円まで幅がある、です。除却(じょきゃく)は取り壊しのこと。

町まで見ると、芦屋町には上限100万円の枠があります。ただし木造で延べ床100平方メートルなら65万円が天井です。後半で書きます。

もうひとつ、市を金額の大小だけで比べないでください。ここで並べているのは空き家向けの枠で、これとは別に耐震・がけ地・まちなかの整備といった枠から解体費が出る市があります。順番に、自分の家がどこに当てはまるか当てはめながら読んでください。

市ごとの実態|「どこが手厚いか」で見る

福岡市|「耐震」が入口。空き家というだけでは出ない

県庁所在地で人口最多ですが、解体そのものへの補助はいちばん限定的です。福岡市にあるのは、旧耐震(1981年5月以前の古い基準)の木造で、耐震診断で倒壊の危険と判定された家を対象にした耐震建替・除却の補助。除却なら23パーセント・上限30万円、建て替えなら最大50万円です。「古いから」「空き家だから」では出ません。くわしくは福岡市の解体補助金の記事で解説しています。

もうひとつ、がけの近くに建つ危険な住宅を移すための「がけ地近接等危険住宅移転事業」という枠があります。福岡県のページには「県は、市町村を通じて補助を行いますので、お住まいの市町村がこの事業を実施することが必要です」とあり、補助制度のある市町村の一覧に福岡市も挙がっています(除却費・動産移転費・仮住居費などで1戸あたり975千円が限度)。市側の解説ページまでは確認できていないので、使えるかどうかは市の窓口へご確認ください。

北九州市|危険な空き家の取り壊しに使える

福岡市とは入口がかなり違い、危険な空き家の除却そのものに、市の判定を通れば補助が出ます(除却費の3分の1・上限1棟30万円)。この空き家向けの制度は耐震診断がいりません。今住んでいる旧耐震の木造を壊す・建て替える場合は別の補助(除却費の23パーセント・上限30万円、所有者が70歳以上なら令和8〜10年度に限り50万円)が用意されています。くわしくは北九州市の解体補助金の記事へ。

北九州市にはさらに「がけ地近接等危険住宅移転事業」があり、危険住宅の除却・動産移転・跡地整備・仮住居費で1戸あたり97万5千円が限度です。ただし対象は市内の居住者がいる危険住宅とされていて、空き家は想定されていません。

久留米市|除却費の1/2・上限65万円と手厚い

老朽危険空家等除却促進事業で、除却費の2分の1・上限65万円。この空き家向けの枠だけで比べれば、率も上限もこの5市のなかでは大きいほうです。対象は、周辺の住環境に悪影響を及ぼすおそれのある老朽化した危険な空き家。市内に営業所などがあり、解体の資格を持つ業者の工事が条件です。令和8年度の受付は令和8年4月21日から令和9年1月29日までとされています。くわしくは久留米市の解体補助金の記事へ。

久留米市で解体費が出る枠は、この空き家向けの1つだけではありません。木造住宅耐震改修等事業費補助金のなかに「建替えに伴う除却工事」と「空き家の相続に伴う除却工事」があり、どちらも除却工事見積額の23パーセント・交付上限額30万円です(相続のほうは令和8年度から対象に加わりました)。がけ地近接等危険住宅移転事業もあり、除却等費は上限97万5千円ですが、こちらは空き家が対象外と明記されています。

大牟田市|除却費の1/2・上限60万円

老朽危険家屋等除却促進事業で、除却・処分にかかる費用の2分の1・上限60万円。ただし家財道具の処分費など、家の取り壊しそのもの以外の費用は対象の考え方が別なので、見積もりの内訳で確認してください。相続関係者が申請する場合は覚書などの提出を求められます。着工前の事前相談と現地調査が必要です。

大牟田市にはもうひとつ、中心市街地老朽建築物除却促進事業があります。中心市街地の活性化エリア内で、放置されて周辺の環境を悪化させている建築物が対象で、対象費用の2分の1以内・上限75万円。長屋または木造・軽量鉄骨造以外の建築物ならさらに75万円を限度に加算され、合計150万円までになります。戸建ても対象で、予算の範囲内のため事前の相談が必要です。

飯塚市|解体費の1/2・上限50万円

老朽危険家屋解体撤去補助金制度で、解体撤去費の2分の1・上限50万円。この制度では家財道具の処分費は対象外で、建て替えを目的とする解体も対象になりません。住居部分が延べ床面積の半分以上あることなどの条件もあります。まず事前相談票を出し、市の職員が現地を調べて対象と認められてから交付申請に進む流れです。

ただし、飯塚市に建て替えの解体への補助がないわけではありません。木造戸建住宅性能向上事業という別の枠があり、耐震診断で上部構造評点が1.0未満と出た木造戸建て住宅について、建替え等(建替え・住み替え、空き家の相続等、移住者による空き家の購入)に伴う除却工事が23パーセント・上限30万円で対象になります。令和8年4月13日から受付が始まっています。

町まで見ると、芦屋町に100万円の枠があります

ここまでは5市の話ですが、福岡県は町も見ないと上限が変わります。芦屋町の老朽危険家屋等解体補助金がそれです。

額は解体費用の2分の1以内で上限100万円。5市のどこよりも大きい枠です。ただし2分の1の掛け先が2つあって、解体業者との契約金額(税抜)と、町が定める基準額の低いほうになります。

基準額は面積基準単価×延床面積で、単価は木造・軽量鉄骨造が1平方メートルあたり13,000円、非木造が19,000円です。重機が入れないなどの理由で機械による解体ができないと認められる場合は、21,000円と31,000円に上がります。

木造で延べ床100平方メートルなら、基準額は130万円。その2分の1の65万円が天井になる計算です。上限の100万円に届くのは、機械が入れない現場か、かなり大きな家に限られます。

対象は、周辺の住環境等を悪化させるおそれがある建築物で、老朽危険家屋と認定されたもの。倉庫や車庫は対象外です。住宅だけでなく事務所や店舗も入ります。

使えるのは、町税等の滞納がない、登記上の所有者かその相続関係者です。工事は町内の事業者に限られます(アスベストが検出された場合を除く)。申請の前に町との事前相談が必要です(町のページの更新日は2024年3月11日・2026年8月11日照合)。

ほかの16市にも枠があります|まず受付中の市から

ここまでの5市と芦屋町のほかにも、福岡県内の多くの市に老朽危険家屋の除却補助があります。福岡県のページに並んでいる各市へのリンクを1本ずつ開いて、16市ぶんの金額と受付を確かめました(2026年8月13日照合)。

先に、どの市でも共通して外れる人を書きます。入口はどこも「市が危険と判定した空き家」です。古いだけ、空き家というだけでは通りません。

まず事前相談や事前調査を出して市の判定を受け、そのあと交付申請、決定を受けてから契約と着工、という順番もそろっています。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません。

そのうえで、この記事を書いている時点で受付の窓が開いている市から挙げます。

  • 糸島市|1件につき50万円か補助対象経費の2分の1の低いほう。第2期の募集期間は令和8年8月28日まで。先着ではなく、募集期間内に申請のあったもののうち市の不良度測定の評定が高いものから決まります。受付には事前協議が要ります。窓口は総務部危機管理課生活安全係
  • 行橋市|上限30万円。申込期間は令和8年5月7日から9月30日まで。行橋市内の業者が除却工事を行うことが条件です。窓口は建築政策課建築政策係
  • 直方市|解体撤去に要する費用の2分の1以内で上限50万円。ただし1平方メートルあたりの上限があるので、上限額に必ず届くわけではありません。昭和56年5月31日以前の建築で、市の判定の評点が100点以上、住居部分が延床面積の2分の1以上、市内の解体業者に依頼すること、が条件です。受付は年度のはじめから1月末日までで、本申請は先着順。窓口は都市計画課住宅政策係
  • 大野城市|除却工事費の2分の1で上限50万円。申請期限は1月下旬ですが、対象件数は2件程度と枠が小さく、2月下旬までに工事を終える必要があります

金額の幅も書いておきます。今回開いた16市の上限は、20万円から50万円まででした。率は2分の1が中心で、田川市と豊前市は3分の1です。

上限50万円は八女市・筑後市・大川市・中間市・うきは市・嘉麻市・朝倉市・宮若市・糸島市・直方市・大野城市。柳川市とみやま市は45万円、行橋市と豊前市は30万円、田川市は20万円でした。

ただし上限額は天井であって、必ず届く額ではありません。宮若市のように「床面積1平方メートルあたり1万円を上限として対象経費を計算する」形の市があり、市自身が延床90平方メートルなら45万円という例を示しています。家の広さで頭打ちになる設計です。

確認の深さも書いておきます。16市とも市の公式ページの本文まで読みました(直方市だけは金額がページ本文になく、市が置いている「申請のご案内」のPDFまで)。田川市のページは更新日が2021年3月31日と古いので、動く前に必ず市へ電話で確かめてください。町村の分は今回開いていません。

この記事で見た市以外にお住まいなら

福岡県のサイトには県内市町村の除却補助制度をまとめた一覧があり、まず自分の市町村に制度があるかを確認できます。個別に調べるときは「市町村名+空き家 解体(除却)補助金」で検索し、URLが lg.jp などの公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度が古いことが多いためです。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。

どの市でも共通の鉄則

  • 工事の契約前に申請し、交付決定を受けてから契約・着工。先に契約すると1円も出ません
  • 危険な空き家の補助は、まず市の「判定」や「現地調査」からです。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
  • どの市も予算がなくなり次第終了。年度前半ほど有利です
  • 市内業者限定・市税の滞納なし・家財の処分費は対象外など、細かい条件は市ごとに違います。工事費を業者が代わりに受け取る代理受領(利用者は差額だけ用意する仕組み)が使える市もあります

解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています。

▶ 解体費の内訳を並べて比べるなら解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※市内業者限定の補助を使う市では、見積もり先が条件に合うかも確認してください)

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(※壊すか直すかで迷っている段階なら、直す場合の金額を先に知っておくと判断が早くなります。費用が心配なときの順番は解体費用が払えないときの4つの順番で整理しています)

よくある質問

福岡県(県庁)としての解体補助金はないのですか?

ありません。県の空き家対策は、窓口は各市町村という案内や、市町村の制度一覧の紹介が中心です。解体の補助は、家がある市町村の制度を調べてください。福岡県には市町村ごとの空き家対策の一覧も用意されているので、まず自分の市町村に制度があるかを確認するのが早道です。

なぜ政令市の福岡市より、周辺の市のほうが手厚いのですか?

制度の「ねらい」が違うためです。福岡市の補助は地震で倒れそうな家を減らす耐震化がねらいなので、条件が「旧耐震+耐震診断で危険」に寄っています。一方、久留米市・大牟田市・飯塚市などは、放っておくと危ない老朽空き家を減らすことがねらいで、危険と判定された空き家の取り壊しそのものに補助を出す形です。金額の大小より、自分の家がどの「ねらい」に当てはまるかで使える制度が決まります

解体すると固定資産税が上がると聞きました

土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで考えるのが安全です。

まとめ

  • 福岡県の解体補助は市町村ごとで、県の一律制度はない
  • 人口最多の福岡市はむしろ狭き門で、耐震が入口(除却30万円・建替最大50万円)
  • 空き家向けの枠だけで比べると、北九州市は上限30万円、久留米市は65万円、大牟田市は60万円、飯塚市は50万円
  • これとは別に、耐震・がけ地・まちなかの整備の枠から解体費が出ることがある(大牟田市の中心市街地は上限75万円、長屋や木造・軽量鉄骨造以外なら加算で150万円)
  • 共通の鉄則は契約前に申請と、業者差の大きい解体費を下げる相見積もり

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