北九州市の解体補助金【2026】空き家の解体に上限30万円|条件を元大工が中立解説

補助金の基礎知識・申請の流れ

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「北九州市で古い実家を解体したい。補助金は出る?」

先に、うれしい方の話からお伝えします。北九州市には、危険な空き家の解体そのものに使える補助が、市の判定を通れば用意されています。耐震だけが入口の市も多いなかで、ここは空き家向けの除却補助を持っているのが特徴です。ただし「古いから」「空き家だから」で自動的に出るわけではなく、危険度などの判定というふるいがあります。

この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、北九州市公式(2026年7月20日照合)をもとに、出る家・出ない家がすぐ分かるように3つの入口に整理します。

※2026年7月20日時点の北九州市公式サイト(都市戦略局 空き家活用推進課・建築指導課の各制度ページ)にもとづきます。年度・予算で変わるため、申請前に必ず公式ページで最新をご確認ください。

まず結論|北九州市の解体補助は「空き家・旧耐震・塀・がけ地」の4つ

北九州市の解体補助4つの入口の図。①空き家=危険な空き家の除却に上限30万円、市の判定が条件で除却費の3分の1、耐震診断は不要。②旧耐震=今住んでいる旧耐震の木造を壊す・建て替える場合、耐震診断で上部構造評点1.0未満が条件で除却費の23パーセント、上限30万円(所有者70歳以上は50万円)。③ブロック塀=道路面から1メートル以上の危険な塀は別枠で2分の1、上限15万円。ただし家の解体と一体で発注すると対象外になる。④がけ地=土砂災害の区域内に建つ家の除却で、今その家に住んでいる人が対象、空き家は対象外。除却・動産移転・跡地整備などに1戸あたり97万5千円。共通ルールは解体の契約より前に申請すること、交付決定の前に契約や着手をすると原則0円で、予算に達すると年度途中でも受付が終わる。

北九州市の解体にからむ補助は、倒れて人に危ない家や塀を減らす、防災を目的にしたものが中心です。だから「新しいか古いか」ではなく「危ないほど傷んでいるか」「耐震性が低いか」で線が引かれています。整理すると入口は次の4つです。

  • ① 老朽空き家等除却(空き家向け)市の判定を通れば、危険な空き家の除却費の3分の1・上限1棟30万円。耐震診断はいりません
  • ② 旧耐震の木造の除却・建替え(今住む家向け)昭和56年5月末以前の木造で、耐震診断で危険と出た家を、壊して住み替える/建て替える場合の補助です
  • ③ ブロック塀の除却:道路に面した危険な塀の除却は、上の制度とは別枠で補助があります。ただし家の解体と一体で発注すると対象から外れます
  • ④ がけ地の区域に建つ家の除却(今住む家向け):土砂災害特別警戒区域などに建つ家に、1戸あたり97万5千円。今その家に人が住んでいることが条件で、空き家は対象外です

ポイントは、誰も住んでいない空き家なら①、今住んでいる旧耐震の家なら②、土砂災害の区域に建つ今住んでいる家なら④、と入口が分かれることです。自分がどれに当てはまるか、当てはめながら順番に見ていきます。

制度①|老朽空き家等除却促進事業(判定を通れば上限30万円)

北九州市で「解体そのもの」に届く、いちばん多くの空き家に関わる制度がこれです。空き家であれば、耐震診断を受けなくても使える道が用意されているのが強みです。ただし対象は、市場では売りにくく、放っておくと倒れたり部材が落ちたりして危ない、と判定された空き家に絞られています。

  • 使える人:老朽空き家の所有者、またはその相続人(同意を得た人も申請できます)。相続した実家の空き家も対象になり得ます
  • 対象になる家:昭和56年5月以前に建てられた空き家で、市の判定で「市場での流通が困難」かつ「一定の危険度がある」とされたもの
  • 補助額:解体工事費(家財の処分費などは除く・税抜き)と、市の基準額を比べて低いほうの3分の1以内・上限は1棟あたり30万円です。基準額は「面積基準単価×延べ床面積」で、単価は重機解体が1平方メートルあたり15,000円、手壊し解体が24,000円で計算されます

大事なのが「判定」の順番です。まず「判定依頼申出書」を市に出すと、市が家の「市場での流通可能性」と「危険度」を調べます。ここで補助対象と認められて初めて、補助金の交付申請に進めます。判定で「まだ売れる・活用できる」となった場合は、この補助は使えず、代わりに売却や活用の支援に案内される流れです。窓口は都市戦略局の空き家活用推進課(本庁舎13階)で、申請は郵送や電子申請にも対応しています。

受付には期間があります。令和8年度は令和8年4月20日から始まっていて、判定依頼の締切は令和8年12月21日、交付申請の締切は令和8年12月28日です(2026年7月20日時点)。予算の枠に達すると、その時点で受付が終わります。年度途中で枠が埋まりそうなときは、危険度の高い家から優先される仕組みなので、思い立ったら早めの相談が有利です。

制度②|今住む旧耐震の木造を壊す・建て替える(上限30万円、70歳以上は50万円)

「うちは空き家ではない」「まだ住んでいる」という方の受け皿になるのが、こちらです。北九州市には、耐震性の低い木造を壊して安全な家へ住み替える/建て替えるときに、その除却費を助ける補助があります。空き家向けの制度①とは別ものなので、混同しないでください。

  • 補助額:除却工事費の23%・木造住宅1戸につき上限30万円。上限額は「床面積1平方メートルあたり34,100円」で計算した額の23%と、実際の工事費の23%のうち低いほうです
  • 70歳以上の特例令和8年度から令和10年度に限り、家の所有者が70歳以上なら上限が50万円に広がります(70歳未満は30万円)
  • 使える条件昭和56年(1981年)5月31日以前に着工した2階建て以下の木造で、耐震診断の結果、上部構造評点が1.0未満だったこと。さらに、その家に現に3か月以上住んでいて、耐震性のある新しい住まいを用意したうえで壊すこと、市税の滞納がないことなどが条件です

診断がまだ、という方は耐震診断が先です。北九州市のこの補助では、福岡県の耐震診断アドバイザー派遣制度を使って診断します。工事を頼む業者は市内の事業者が原則で、申請前の事前協議も必要です。工事費と補助金の差額だけを用意すればいい代理受領制度も使えます。

危険なブロック塀は別枠で補助(2分の1・上限15万円)

解体そのものとは別に、ブロック塀等除却工事費補助制度があります。地震のときの倒壊を防ぐため、道路に面した高さ1メートル以上の危険な塀の除却に、費用の2分の1・上限15万円が補助されます。塀の見付面積1平方メートルあたり10,000円で計算した額の半分と、実際の工事費の半分の、低いほうです。ここで順番を間違えると、塀の補助のほうが消えます。

公式の要件に、こう書かれています。「ブロック塀等除却工事は、単独で行うものとし、その他建築工事等と一体的に行うものでないこと」(北九州市ブロック塀等除却工事費補助制度・更新日2026年4月20日)

家の解体や建て替えとまとめて1本の工事で発注すると、塀の分が補助から外れるということです。ついでにやってもらうのが、いちばん損をする形になります。

塀も家も壊すなら、塀の除却は契約を分けてください。そのうえで交付決定を受けてから着手します。

対象になる高さは、道路面から1メートル以上(擁壁の高さを含む)です。全部を除却するほか、除却後の高さを道路面から0.4メートル以下にする部分除却も対象に入ります。

ほかに、補助金の交付は一団の土地につき一回限り、工事を頼むのは市内事業者が原則(やむを得ない理由があれば市外も認められます)、申請の前に必ず事前相談、という条件が付きます。

令和8年度の募集は4月13日開始の先着順で、予算上限に達し次第終了です。窓口は建築指導課(電話093-582-2531)になります。

制度④|がけ地の区域に建つ家の除却(1戸あたり97万5千円)

4つ目の入口です。北九州市がけ地近接等危険住宅移転事業のなかにある、危険住宅除却等事業がそれにあたります。

金額より先に、使えない人を書きます。対象になるのは「市内の居住者がいる危険住宅」です。誰も住んでいない空き家は、この枠では対象になりません

もう1本の線が、家の建っている場所です。次のいずれかの区域に建つ家であることが条件になります。

  • 土砂災害特別警戒区域
  • 急傾斜地崩壊危険区域
  • がけ条例適用区域(福岡県建築基準法施行条例第5条で建築が制限されている範囲)
  • 土砂災害特別警戒区域に指定される見込みのある区域
  • 過去3年間に災害救助法の適用を受けた地域

家のほうにも条件があります。県が区域を指定する以前から区域内に建っている既存の住宅であること。または、建築後の大規模地震や台風などで安全上か生活上の支障が生じ、県か市が移転勧告・是正勧告・避難勧告・避難指示を行った住宅であることです。

がけ条例適用区域は、昭和49年6月以前から建っている住宅が対象になります。社宅と、住宅部分が2分の1未満の店舗兼用住宅は外れます。

補助の上限は1戸あたり97万5千円です。対象になる経費は、危険住宅の除却、動産移転、跡地整備、仮住居費。共同住宅や長屋の場合は1棟あたりの上限額になります。

ここも天井の額で、必ず届く額ではありません。

除却だけで使える点は押さえておいてください。公式は実施方法を2つ示していて、危険住宅除却等事業だけを実施する形と、移転先の代替住宅建設等事業まで一緒に実施する形があります。危険住宅の除却は、どちらでも必須です。

申請できるのは、危険住宅の所有者もしくは相続人、またはその同意を得て事業を行う人です。事前相談が必須で、すでに解体工事などに着手している場合は対象になりません。申請年度内に事業が完了することも条件です。

窓口は建築指導課(電話093-582-2531)で、令和8年度の募集は4月13日開始の先着順です。制度④は2026年8月11日に公式ページを開いて確認しました。

申請の流れ|「交付決定の前に契約しない」が絶対のルール

北九州市の解体補助 申請の流れの図。①どの補助に当てはまるか確認する(空き家か旧耐震か、市の担当課へ電話で相談)②空き家は市の判定、耐震は診断を受ける(老朽空き家は判定依頼、旧耐震は耐震診断が先)③申請して交付決定を待つ(着手より前に申請、審査に日数がかかる)④業者と契約して解体する(交付決定の後に契約するのが鉄則)⑤完了報告して受け取る(工事費を払った後に振り込み、代理受領も使える)。交付決定の前に契約・着手した工事は原則対象外。

制度①でも②でも、いちばん大事なのはここです。

  • 解体の工事契約より前に申請し、市の「交付決定」を受けること。交付決定の通知より前に契約・着手した工事は、原則として補助を受けられません
  • 老朽空き家の制度は、まず「判定依頼」からです。判定を経て補助対象になってから交付申請に進むので、思い立ってすぐ壊す、では間に合いません
  • 審査にも日数がかかり、予算に達すると年度の途中でも受付が終わります。取る人は年度の早いうちに動いています
  • 補助金が振り込まれるのは、工事費を払って完了報告をしたあとです。代理受領を使わない場合は、いったん自分で立て替える前提になります

「先に業者と契約してしまった」は、補助が消える、いちばんもったいないつまずき方です。順番だけは守ってください。

対象外だった人の、現実的な選択肢

判定や条件に届かなかった場合でも、打つ手はあります。解体は業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。補助が使えない前提でも、2〜3社の相見積もりで数十万円変わることは珍しくありません。

▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※補助を使う場合は、その業者が制度の条件に合うかの確認も忘れずに)

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よくある質問

福岡市など近隣の市に住んでいます。同じ補助はありますか?

解体補助は市区町村ごとに制度が違うので、北九州市の内容はそのままは使えません。たとえば同じ福岡県でも、福岡市は空き家というだけでは解体補助が出ず、旧耐震の木造で耐震診断が条件の「耐震建替・除却」が入口になります(2026年7月20日時点)。北九州市とは入口がかなり違うので、お住まいの「市名+解体(除却)補助金」で市の公式サイトを確認するか、市役所の住まい・建築の担当課へ電話で聞くのが確実です。福岡市の詳しい条件は福岡市の解体補助金の記事にまとめています。

アスベストのある家の解体にも補助が使えますか?

北九州市には吹付けアスベストの除去などに使える補助(除去工事は費用の3分の2・上限120万円、事前の分析調査は上限25万円)がありますが、解体を予定している建物は、この補助の対象外です。あくまで、そのまま使い続ける建物のアスベストを取り除くための制度だからです。解体するなら、アスベストの除去や飛散防止の費用は解体工事の見積もりの中に含まれます。金額が大きく変わる部分なので、見積もりで「アスベスト処理費」がいくらか、内訳を必ず確認してください。

もう解体業者と契約してしまいました。今から申請できますか?

原則できません。北九州市の補助は交付決定より前に契約・着手した工事は対象外です。これから解体する方は、必ず相談→判定・申請→交付決定→契約の順で進めてください。着手までに期間がある場合は相談できることもあるので、まずは市の窓口へ。

まとめ

  • 北九州市は、危険な空き家の解体そのものに使える補助がある市。市の判定を通れば除却費の3分の1・上限1棟30万円
  • 今住んでいる旧耐震の木造を壊す・建て替えるなら別制度で除却費の23%・上限30万円(70歳以上は令和8〜10年度に限り50万円)
  • 危険なブロック塀の除却は別枠で2分の1・上限15万円
  • 土砂災害の区域に建っていて、今その家に人が住んでいるなら、がけ地近接等危険住宅移転事業の除却枠(1戸あたり97万5千円)もあります。空き家は対象外です
  • 共通ルールは着手前申請・予算内で先着。契約を先にすると補助は消える。対象外でも2〜3社の相見積もりで解体費は下げられます

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