京都市の解体補助金【2026】使えるのは”活用が前提”の制度|条件を元大工が中立解説

補助金の基礎知識・申請の流れ

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「京都市で古い実家を解体したい。補助金は出る?」

先に正直なところをお伝えします。京都市に解体費の補助はありますが、その中心は「壊すだけ」ではなく空き家を活かす・流通させることが前提の制度です。しかも期間限定で、年度によって受付があったりなかったりします。「古いから」「空き家だから」だけで、誰でも解体費が下りるわけではありません。

この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、京都市公式(2026年7月20日照合)をもとに、出る家・出ない家がすぐ分かるように整理します。

※2026年7月20日時点の京都市公式サイト(都市計画局住宅室・まち再生・創造推進室の各制度ページ)にもとづきます。年度・予算で変わるため、申請前に必ず公式ページや空き家相談窓口でご確認ください。

まず結論|京都市の解体補助は「活用・流通が前提」

京都市の解体に使える助成の入口を示した図。①活用が前提=空き家を活かすなら解体費の3分の1を補助・活用が条件。②京都特有=路地や密集地の老朽木造は細街路・防災まちづくりの除却助成があるが対象は限定。③壊すだけ=解体だけで広く使える補助は基本なく、まず空き家相談窓口へ電話で確認。共通ルールは解体の契約より前に申請すること、予算がなくなり次第終了で年度により内容が変わる。

京都市は、京町家や古い木造が細い路地の奥まで建ち並ぶ、独特の街並みを持っています。市の空き家対策も「壊して更地にする」より、空き家をできるだけ活かす・流通させる方向が軸です。だから解体費に届く補助も、活用や防災という目的に結びついています。整理すると入口は次の3つです。

  • ① 空き家を「活かす」前提の型:そのままでは売りにくい狭い空き家を解体して敷地を活かすなら、解体費の3分の1(上限60万円)の補助があります。ただし期間限定で、年度の受付を要確認
  • ② 京都特有の「路地・密集」の型:細い路地(袋路)や、古い木造が密集した地区の老朽木造を除却(取り壊し)する場合の助成。老朽木造の除却は上限60万円で、跡地の使い方によって別の枠もあります。ただし立地の条件が厳しめです
  • ③ 単純に「壊すだけ」の型:京都市に、ただ古い家を壊すだけで広く使える解体補助は基本的にありません

どれも金額の大きさより、自分の家がどの入口に当てはまりそうかが先です。当てはめながら、順番に中身を見ていきます。

いちばん有名な制度|空き家等の活用・流通補助金(解体費の一部)

解体費に直接届く、京都市でいちばん知られた制度がこれです。京都市空き家等の活用・流通補助金の「敷地活用補助」です。そのままでは活用や流通が難しい狭い空き家を解体し、その敷地を活かそうとする所有者が対象になります。

  • 補助額:解体費用の3分の1・上限60万円。解体後に隣の敷地と統合して狭い土地を解消する場合は、上限に最大20万円が加算され、最大80万円になります
  • 対象の建物:昭和64年(1989年)1月7日以前に建てられた建物などで、現在は住んでいない・使っていない建築物(共同住宅や重層長屋(じゅうそうながや|2階以上に住戸が重なる長屋)は除く)
  • あわせて、空き家を「売る」ほうを後押しする建物活用補助(売却時に不動産会社へ払う仲介手数料の2分の1・上限25万円)もあります

正直にお伝えすると、この補助は令和6・7年度(2024〜2025年度)の期間限定の制度で、令和7年度分の受付はすでに終了しています。京都市は令和8年度も空き家の支援制度の受付を始めていますが、2026年7月20日に公式サイトを確認した時点では、専門家の派遣や相談の制度が中心で、解体費(敷地活用補助)が令和8年度も同じ形で出るかは、公表資料からは確認できませんでした。使えるかどうかは、必ず京都市空き家相談窓口(電話075-231-2323)で最新をご確認ください。

使える条件|「昭和の空き家+活用が前提」が壁になる

この制度の入口は、名前のとおり「活用・流通」です。ここで多くのケースがふるいにかかります。正直に書いておきます。

  • 築年数昭和64年(1989年)1月7日以前に建てられた建物などが対象。おおむね昭和に建った家、という古さの目安です
  • 使いみち:ただ壊して終わりではなく、跡地を活かす(売る・貸す・隣地と一体で使うなど)ことが前提。共同住宅や重層長屋は対象外です
  • 建物の状態:現在、人が住んでいない・使っていない空き家であること

「うちはただ古い家を壊したいだけ」という方には、この制度は入口が合いません。その場合の受け皿は、次にお話しする京都ならではの制度か、補助なしでの相見積もりになります。

京都ならでは|路地・袋路と密集地の「除却」助成

もう一つ、京都に特徴的な入口があります。京都は細い路地や行き止まりの道(袋路|ふくろじ・行き止まりの細い道)に古い木造がびっしり残っていて、地震や火事のときの避難・防火が課題です。市はこの路地・密集地の老朽木造を減らすための除却の助成を続けています。

  • 細街路対策事業:袋路の入口部分に建つ、条件を満たす木造建物の耐震・防火改修や除却の費用を助成します
  • 防災まちづくり推進事業:老朽化した木造建築物を除去する費用の一部を助成します。跡地を地域の「ひろば」として活かす場合や、危険なブロック塀の除去にも助成があります

ただし、どれも「一定の条件を満たす木造建物」が対象で、路地の奥・袋路の入口・指定された密集地区など、立地に条件があります。金額は2026年6月2日に更新された京都市の公式ページで公表されているので、事業ごとに書き出します。

老朽木造建築物除却事業|上限60万円(補助率2分の1)

防災まちづくり推進事業の中心にあるのが、この枠です。古くなった木造建築物の除却に、上限60万円が出ます。

補助率は2分の1なので、半分は自分で払う前提になります。

対象は3つを全部満たす建物です。1つ目が「昭和56年6月1日に現に存し、又は工事中であった建築物である」こと、2つ目が「原則、京町家でない」こと。そして3つ目が、次の5つのどれかに当てはまることです。

  • 袋路(幅員4メートル未満の行き止まりの道)に接している
  • 幅員1.8メートル未満の道にのみ接している
  • 建築基準法上の道路に接する部分が2メートル未満である
  • 優先地区にある幅員2.7メートル未満の2項道路(建築基準法第42条第2項に基づく道路)に接している
  • 密集市街地または細街路の防災性および住環境の向上を目的として行う総合的な計画の用地の一部として利用するもの

4つ目に出てくる優先地区は、柏野学区、翔鸞学区、仁和学区、正親学区、出水学区、六原学区の6つです。

公式で学区の名前が出てくるのはこの1行だけで、意味は「この6学区にある家は、接する道が2項道路なら幅員2.7メートル未満でも3つ目の条件を満たせる」です。6学区だから審査で優先される、という書き方はされていません。

まちなかコモンズ整備事業|除却費 上限100万円・ひろば整備費 上限200万円

額はここがいちばん大きいのですが、条件から先に読んでください。跡地を自分で使う人の制度ではありません。

跡地の要件に、土地所有者が5年以上の期間にわたり、土地を京都市に無償貸与することが入っています。自治組織が共同で利用と維持管理を行い、まちなかコモンズである旨を記した標識を見やすい場所に設置することも要件です。

壊した跡地を、地域の防災ひろばとして5年以上ただで貸す形になります。更地にして売りたい人、駐車場にしたい人は当てはまりません。

そのうえでの金額が、建物の除却費が上限100万円(補助率10分の9)、ひろばの整備費が上限200万円(全額補助)です。

建物側の条件は3つ。細街路(幅員4メートル未満の道)に接していること、その位置が周辺の防災性向上に有効であると認められること、原則として土地面積が40平方メートル以上であることです。

危険ブロック塀等改善事業|1平方メートルあたり11,600円

塀の除却は上限額ではなく単価で決まります。1平方メートルあたり11,600円です。

先に外れる塀を書きます。隣地間のブロック塀等は対象外と、公式にはっきり書かれています。

対象になるのは、次の5つを全部満たす塀です。

  • 地震時等において、倒壊により道の通行を妨げるおそれがある
  • コンクリートブロック造、石造、れんが造その他の組積造(ブロックや石を積み上げた造り)である
  • 地盤面からの高さが1メートル以上である
  • ひび割れ、はらみ、傾斜等、倒壊のおそれがあると認められる
  • 防災まちづくり計画の学区内(策定中の区域を含む)で細街路か避難経路に位置付けられた道に面している、または袋路に面している

細街路対策事業|袋路の入口のトンネル部分(除却は上限80万円か50万円)

袋路の入口には、上に建物がのってトンネルのようになっている部分があります。ここは別の事業です。

除却工事は、防火工事ありで上限80万円、防火工事なしで上限50万円。どちらも全額補助です。取り壊さずに耐震・防火の改修をする場合は上限150万円(全額補助)になります。

対象になる建物の条件は3つです。建築物の立ち並びがある袋路等の入口部の敷地に建つトンネル部分であること、昭和56年6月1日に現に存し、又は工事中であった木造建築物であること、申請前10年間に耐震改修その他改修工事に係る補助を受けていないことです。

このほかに、袋路の奥から道路などへ抜ける避難経路を確保する緊急避難経路整備事業(上限30万円・全額補助)と、袋路の入口部分の舗装や工作物の撤去などに使える袋路始端部整備事業(上限50万円・全額補助)があります。

ここまでの金額を使う前に

ここに並べた額は、2026年6月2日更新の京都市公式ページ(防災まちづくり推進事業・細街路対策事業)に載っているものを、2026年8月11日に開いて写しました。

ただし公式は「各事業には、上記以外にも要件があります」と明記しています。ページに出ている条件を全部満たしても、それだけで決まりではありません。

対象になる区域も別図で決まっています。自分の家が入るかどうかは、区域の図で確かめてください。

補助金は予算がなくなり次第、受付を終了します。公式は事前相談から始めるよう求めているので、心当たりのある方はまち再生・創造推進室(電話075-222-3503)へ。

なお、これとは別に、土砂災害特別警戒区域内の安全対策工事(上限75.9万円)や、壁のアスベスト除去(除去などで上限100万円)への助成もあり、古い家の解体では費用の一部を補えることがあります。

自宅が対象になるか|確認の順番

京都市は制度が分かれているぶん、どれに当てはまるかを先に見分けるのが近道です。次の順で当てはめてください。

  • まず「活かせるか」を考える:壊した跡を売る・貸す・隣地と一体で使うなど、活用の見込みがあるなら、活用・流通補助金(敷地活用補助)が候補です。ただし年度の受付を要確認
  • 次に「路地・密集か」を見る:家が細い路地の奥や袋路の入口、古い木造が密集した地区にあるなら、細街路・防災まちづくりの除却助成が候補です
  • どちらも当てはまらないなら:補助なしで解体する前提で、相見積もりで費用を抑える方向に切り替えます

迷ったら、まず京都市空き家相談窓口(電話075-231-2323)に電話するのがいちばん早いです。制度が複雑で年度でも動くので、自分で判定しきる前に窓口で聞いてしまうほうが失敗がありません。

申請の流れ|「解体の契約より前」が絶対のルール

京都市の解体の助成 申請の流れの図。①どの助成に当てはまるか確認する(空き家相談窓口、路地はまち再生・創造推進室へ電話)②対象か・今年度の受付を確かめる(活用が前提か・予算が残っているか)③申請して交付決定を待つ(着手より前に申請・審査に日数がかかる)④交付決定の後に契約して解体する(決定の前の契約・着手は原則対象外)⑤完了報告して受け取る(工事費を全額払った後に振り込み)。交付決定の前に契約・着手した工事は原則対象外。

どの助成でも共通して、いちばん大事なのはここです。

  • 解体の工事契約より前に申請し、市の「交付決定」を受けること。交付決定の前に契約・着手した工事は、原則として補助を受けられません
  • 審査には日数がかかります。思い立ってすぐ壊す、では間に合いません。工程を決める前に、まず窓口へ相談するのが確実です
  • 予算には限りがあり、年度の途中でも予算に達すると受付が終わります。取る人は年度の早いうちに動いています
  • 補助金が振り込まれるのは、工事費を全額払って完了報告をしたあと。いったんは自分で立て替える前提です

「先に業者と契約してしまった」は、補助が消える、いちばんもったいないつまずき方です。順番だけは守ってください。

対象外・端境期だった人の、現実的な選択肢

条件に届かなかった、あるいは年度の端境期で使えなかった場合でも、打つ手はあります。解体は業者によって金額の差がとても大きい工事です。私も見習いのころ解体の現場に入りましたが、同じような家でも重機の入れ方や処分の仕方で見積もりは大きく動きました。補助が使えない前提でも、2〜3社の相見積もりで数十万円変わることは珍しくありません。

▶ 解体すると決めているなら、まず解体業者の相見積もりから解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)でまとめて頼めます。(※補助を使う場合は、その業者が制度の条件に合うかの確認も忘れずに)

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あわせて読みたい

よくある質問

宇治市や向日市に住んでいます。同じ補助はありますか?

解体や除却の補助は市区町村ごとに制度が違うので、京都市の内容はそのままは使えません。宇治市・向日市・長岡京市・亀岡市など京都府内の市町村でも、老朽化した危険な空き家の除却などに補助を設けているところがあります(金額や条件は市ごとに異なり、年度でも変わります)。お住まいの「市名+空き家(解体・除却)補助金」で市の公式サイトを確認するか、市役所の住宅・建築の担当課へ電話で聞くのが確実です。当サイトでも各市の情報がそろい次第、記事を追加していきます。

もう解体業者と契約してしまいました。今から申請できますか?

原則できません。京都市の補助は交付決定より前に契約・着手した工事は対象外です。これから解体する方は、必ず相談→申請→交付決定→契約の順で進めてください。着手までに期間がある場合は相談できることもあるので、まずは窓口へ。

いつまでに動けばいいですか?

制度によって受付の期限は違いますが、共通して審査に日数がかかり、予算に達すると年度の途中でも受付が終わります。京都の中心的な制度は年度で受付があったりなかったりするので、解体を考えているなら、まず空き家相談窓口に「今年度に使える解体の助成はあるか」を早めに電話で確認するのが堅実です。

まとめ

  • 京都市の解体費補助は、「活かす」が前提の活用・流通補助金(敷地活用=解体費の3分の1・上限60万円)が中心。ただし令和6・7年度の期間限定で、令和8年度の受付は要確認
  • もう一つの入口が、京都特有の路地・袋路・密集地の老朽木造の除却助成。老朽木造の除却は上限60万円(補助率2分の1)で、接する道の幅などの条件がある。跡地を地域のひろばにする枠は額が大きいかわりに、土地を5年以上ただで市に貸すことが要件です
  • 共通ルールは着手前申請・予算内で先着。契約を先にすると補助は消える
  • 「壊すだけ」で広く使える補助は基本ないので、対象外・端境期なら2〜3社の相見積もりで費用を抑える

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