※本記事には、解体・リフォームの一括見積もりサービス等のアフィリエイト広告(PR)が含まれます。
「山梨県で親から引き継いだ空き家を解体したい。補助金は出る?」
先に正直な結論です。山梨県(県庁)としての一律の解体補助はなく、制度は市町村ごとです。ただ山梨は、数だけ見ると恵まれています。県内には13の市がありますが、解体や除却の費用を助ける制度を市の公式で確認できたのは12市。ありそうで見つからなかったのは北杜市だけでした。
ただ、ここからが山梨の本題です。その12市のうち5市は、空き家バンクに登録して売る(貸す)ことが補助の前提になっています。ただ壊して更地にしたいだけでは、入口に立てません。
この記事では、元大工で中立の立場のおさむが、13市すべての公式を照合して、金額と入口の条件を型で整理します。除却(じょきゃく)は取り壊しのことです。
※2026年8月1日時点の各市町村公式サイト・交付要綱等にもとづきます(甲斐市・富士吉田市は当サイトの各市記事もあわせてご覧ください)。年度・予算で変わり、年度の途中で受付が終わることもあるため、申請前に必ず各市町村の公式ページや窓口でご確認ください。※この記事で扱うのは、平常時の空き家の解体補助です。災害で被害を受けた住宅の解体は別の枠組みで扱われることがあるため、その場合はお住まいの市町村の窓口へ直接ご相談ください。
主要5市の早見表【2026年度】

人口の多い5市(山梨県の推計人口・世帯/令和8年7月1日現在)を並べると、金額がきれいに並ばないのが分かります。上限100万円が笛吹市と富士吉田市。上限50万円が甲府市と甲斐市。そして南アルプス市だけが一律10万円です。
ただ、額の差より効いてくるのが入口の差です。甲府市の除却の助成は、空き家バンクに出して売る家のためのもの。南アルプス市は住宅リフォーム補助の中の1枠で、年100件の先着です。
だから山梨では、順番をひとつ足してください。「いくら出るか」の前に「自分の解体はどの型か」です。次で型から見ていきます。
山梨の解体補助は3つに分かれる

13市の対象要件を読み比べると、山梨の制度は「何のための解体か」で3つに分かれました。まとめサイトの一覧表では、この違いがいちばん落ちます。
壊すこと自体が対象(6市)。富士吉田市・甲斐市・笛吹市・上野原市・都留市・南アルプス市。傷んだ空き家を減らすための制度なので、売買や新築の予定がなくても申請できます。更地のまま持っておきたい人が使えるのは、この6市です。
空き家バンクに出すのが前提(5市)。甲府市・山梨市・韮崎市・甲州市・中央市。いずれも「バンクに登録した物件で、売買(または賃貸借)の契約がある」ことが条件です。金額は大きいのですが、買い手が付かないと補助の話まで進みません。
跡地に家を建てるのが条件(1市)。大月市です。解体したあと、その土地に住宅の建設工事が始まることまでが条件に入っています。
残る1市が北杜市。市の公式では解体費への補助が見当たりませんでした(後半でくわしく書きます)。
主要5市の中身|金額・入口・順番
ここからは人口の多い順に、5市の中身を見ていきます。
甲府市|除却は「バンクに出して売る家」の枠・区域で50万円から80万円
県庁所在地の甲府市で、公式に金額まで案内されている除却の助成は、甲府市空き家バンク活用促進助成金の枠です。市のページには「令和8年度より新規拡充」と書かれていて、除却工事費用が対象に加わりました。
金額は助成対象経費の2分の1で上限50万円。そこから区域で上乗せがあり、居住誘導区域内なら70万円、まちなかエリア内なら80万円まで上がります。居住誘導区域は、市がこれから人に住んでもらいたい範囲として定めているところです。
要件は、昭和56年5月31日以前に建築された建物で、6か月以上継続して空き家バンクに掲載した物件であること。申請は売買契約締結日から6か月以内です。窓口は空き家対策課(電話055-237-5350)。
着工の順番にも決まりがあります。交付要綱は、助成の対象になる除却工事の経費を「第8の規定により助成金の交付の決定を受けた後に着手するもの」と定めています(第5⑵)。
先に壊してから申請、はできないということです。まず物件をバンクに載せるところから始まるので、「来月には壊したい」という進み方とは相性がよくありません。
甲斐市|2分の1で上限50万円・入口は「認定される前」
甲斐市空家等除却費用補助金は、工事費の2分の1(千円未満切り捨て)で上限50万円。対象は、傷みの評点の合計が100点以上と判定された市内の住宅です。
この市で覚えておきたいのは入口の向きです。対象になるのは特定空家等に認定されていない家。認定されてから使う制度ではなく、認定される前に使う制度、という設計になっています。順番は事前相談が先で、契約と着工は交付決定を受けたあと。条件と動き方は甲斐市の解体補助金の記事にまとめています(建築住宅課・055-268-2336)。
南アルプス市|一律10万円・リフォーム補助の1枠で年100件の先着
南アルプス市には、解体だけを扱う制度はありません。住宅リフォーム等総合支援事業費補助金という制度の中に、「申請者が所有している市内の空家住宅を解体する工事」という枠が用意されています。
金額は一律10万円。リフォームでも建替えでも空家解体でも同じ額です。対象になるのは工事費が50万円以上(消費税を除く)の工事で、交付決定の後に着工するもの。工事を頼めるのは市内に住所がある業者のうち、市の商工会員、市の競争入札参加資格、市の小規模工事等契約のいずれかを登録している業者です。
そしてここが大事なところ。年間100件予定の先着順で、令和8年度の受付開始は5月7日と市のページに書かれています。令和8年度について、受付を終了したという告知は出ていません(2026年8月4日照合。2026年8月11日にもう一度市のページを見ましたが、この日も終了の告知は出ていませんでした)。ただし、油断はできません。市が別に出している告知によると、ひとつ前の令和7年度は既定の件数に達したため8月21日付で受付を終了しています。去年は8月下旬に閉まったということです。
その令和7年度の告知には、キャンセル等で新規の受付枠が発生した場合は市のホームページで知らせる、とも書かれていました。閉まったように見えても、枠が戻ることはあるわけです。額は小さくても枠は動くので、使うつもりなら管理住宅課(電話055-282-6397)へ、いま空きがあるかを直接確かめてください。
笛吹市|2分の1で上限100万円・特定空家等でないことが条件
笛吹市空家等解体費補助金は、解体・撤去・処分に要する経費の2分の1(千円未満切り捨て)で限度額100万円。県内の市では最も手厚い部類です。
対象は個人が所有する市内の空き家等で、1年以上居住や使用がなされていないもの。そのうえで、昭和56年5月31日以前に建築されて周辺に悪影響を及ぼすおそれがあるもの、または住宅地区改良法に基づく不良住宅であること。延べ床面積の半分以上が人の居住に供するもの、という条件もあります。
甲斐市と同じく、特定空家等でないものが条件です。落ちやすいのは、いま住んでいる敷地、または事業に使っている敷地と同じ敷地内の空き家を壊す場合。これは対象外と明記されています。自宅の敷地内の旧住居や離れ、店や作業場の敷地に建つ空き家は、ここで外れます。
工事は、市内に本店・支店・営業所等を有する法人か市内に住所を有する個人事業者で、建設業法に基づく解体工事業の登録業者に頼むこと。受付期間の記載はなく、書かれているのは予算に達した時点で受付終了、という一言です(まちづくり整備課・055-261-3334)。
富士吉田市|2分の1で上限100万円・耐震の評点で決まる
富士吉田市老朽化空家除却事業費補助金は、補助対象経費の2分の1と100万円を比べて低いほうが補助額です。
この市の入口は耐震性です。対象は個人所有の木造在来工法(柱と梁で組む、日本でいちばん一般的な木造)の家で、昭和56年5月31日以前に新築の工事に着手したもの。そのうえで、耐震診断の総合評点が1.0未満、または容易な耐震診断で倒壊の危険性があると判断されたものが前提になります。ただ古いだけでは下りません。
入口が2本あるということです。容易な耐震診断は市の様式第2号を使う簡易版で、正式な診断まで受けなくても、これで倒壊の危険ありと判断されれば対象になります。
市のページには、着手後の申請は一切認められません、とはっきり書かれています。診断の受け方も含めて、まず都市政策課の建築指導担当(電話0555-22-1111・内線286)へ。詳しい条件と申請の順番は富士吉田市の解体補助金の記事で整理しています。
すでに特定空家等に認定されている家をお持ちの方は、後半の「県の一覧と市の公式が、少しずれている」もあわせて読んでください。県の一覧には富士吉田市の特定空家等向けの要綱も載っているのですが、市の公開ページでは確認できませんでした。
残りの7市|上限100万円が並ぶが、多くは売買とセット
主要5市のほかにも、7市に解体や除却の補助があります。上限100万円が3市もあるのですが、条件をよく見てください。
- 山梨市:定額20万円。空き家バンクに登録された空き家について、「解体して利活用する」ことを目的に売買契約を結んだ場合が対象です。解体・除却の費用が税込100万円以上、解体業者は市内業者、申請は売買契約成立後3か月以内。工事は交付決定の後に着手し、その年度の3月15日までに完了するもの。建物の一部だけの解体は対象外です(地域資源開発課・0553-22-1111 内線2374)
- 都留市:不良空家等解体事業費補助金は、補助対象経費の2分の1と、市内施工業者なら60万円・市外施工業者なら30万円を比べて低いほうです。業者の所在地で上限が倍ちがう書き方をしているのは、県内ではこの市だけでした。対象は構造や設備が著しく老朽化して住むのに適していない不良住宅。申請期限は各年度の4月1日から12月28日、または予算を超えるまで(地域環境課・0554-43-1111 内線171・172・173)
- 中央市:2分の1で上限100万円。ただし対象は、空き家バンク登録物件を購入し、解体したあとにその土地へ自分で住宅を新築する人です。解体工事の経費が100万円以上、工事着手は交付決定の後。さらに、解体工事が完了した日から1年を経過する日までに、その土地へ自分が住むための住宅を建てる工事請負契約を結び、その住宅に住所を定めることまでが条件です。市のページには令和4年度から令和8年度までの制度と書かれています(政策秘書課・055-274-8512)
- 韮崎市:工事費用の半額で最大100万円。空き家バンク登録物件のうち、入居予定者がいて売買または賃貸借契約を締結した物件が対象で、補助されるのは居住部分の解体および撤去の工事費です。経費の総額が20万円以上であること。着手前の申請が必要と、市の案内に明記されています(移住定住促進課・0551-45-9159)
- 甲州市:2分の1で上限100万円。交付要綱では「解体等を要件に当該補助対象物件の売買が成立した場合」が対象で、市内の解体工事業者等に請け負わせる工事に限られます。同じ制度の中にある清掃等の補助を先に受けていると、その額を差し引いた額になります。ここはひとつ正直に書いておきます。市のページ(更新日2026年4月9日)は「令和7年4月から空き家バンク登録物件の除却に対しても補助金を交付いたします」と現行の制度として案内しています。いっぽう、そのページからリンクされている交付要綱の附則には「この要綱は、令和8年3月31日限り、その効力を失う」とあり、最終改正の令和7年3月31日告示第71号でもこの日付は変わっていません。2分の1・上限100万円という金額は、この要綱だけが出典です。県の一覧(令和8年4月1日現在)にも甲州市は載っています。業者を決める前に、今年度の扱いを都市整備課へ確かめてください(都市整備課・0553-32-5072)
- 上野原市:2分の1で上限50万円。対象は住宅地区改良法施行規則の別表による評点の合計が100点以上のもので、判定は市が行います。工事は市内の施工業者へ。市のページの流れも、要件確認から交付申請、交付決定を受けたあとに工事の契約・着手、という順で書かれています(生活環境課・0554-62-3114)
- 大月市:2分の1ですが、上限が区域で大きく変わります。市の立地適正化計画における居住誘導区域と居住誘導準備区域内なら50万円、それ以外の区域は10万円が限度です。解体に要する費用が50万円以上。跡地の条件は1年が2段になっていて、解体した日から1年以内に跡地を売却等または賃貸の契約を結び、その相手方が契約締結後1年以内に住宅の建設工事に着工すること、までが条件です(敷地を取得・賃借してから壊す人は、契約から1年以内に解体し、解体後1年以内に着工という並びになります)。売却や賃貸の相手方が二親等以内の親族の場合は対象外で、交付は1人につき1回限りです(市民課 生活環境担当・0554-23-8023)
都留市にはもうひとつ、上限がさらに大きい制度があります。空家等活用地域活性化拠点整備事業補助金で、除却なら補助対象経費の5分の4、市内施工業者なら200万円・市外なら150万円が上限。県内で見た中では最大の額です。
ただし市のページの冒頭には「令和6年度の申請を終了しています。」と書かれています(ページの更新日は2023年4月1日)。県の一覧(令和8年4月1日現在)には現行の制度として載っているので、いま動いているかどうかは地域環境課(0554-43-1111)へ確かめてください。
そもそも対象者は個人の所有者ではありません。空き家や跡地を地域活動の拠点として活用し管理していく自治会等やNPO法人等が対象で、10年以上の貸与や寄付が条件に入っています。実家をどうにかしたい個人が、この200万円に手を伸ばせるわけではないので、数字だけを見て期待しないでください。
北杜市の公式には見当たらない
期待させないために、先に書いておきます。人口では県内6位(山梨県の推計人口・令和8年7月1日現在)の北杜市について公式を見に行きましたが、解体費そのものへの補助は見つかりませんでした。
見たのは、空き家等及び所有者不明土地に対する取組、空き家の解体費用の目安がわかります、空き家バンク活用促進リフォーム費等補助金、空き家バンク、空き家をお探しの方へ、空き家バンク協力会、建築物の解体に係る手続き、移住定住の空き家バンク、空き家等及び所有者不明土地対策審議会、住まいの分野一覧、土地政策課の11ページです。この11ページに載っていたのは、空き家バンクとその改修・家財処分の補助、解体の手続きの説明、そして解体費用の試算サービス。除却費や解体費への補助にあたる記述は、この範囲では見当たりませんでした。
「無い」と言い切るのではなく、この11ページには見当たらなかったというのが正確なところです。制度は年度ごとに新設されることもあります。最新の扱いは土地政策課(電話0551-42-1361)に確認するのが確実です。
あるものも書いておきます。北杜市は株式会社クラッソーネと連携協定を結んでいて、市のページから空き家の解体費用の目安を試算できるサービスが使えます。空き家バンクに登録した物件なら、家財処分やリフォームの補助の対象になる場合もあります。補助が無いことと、動き出せないことは別です。
それともうひとつ。北杜市でも、同じ敷地に建て直すつもりなら別の枠があります。解体費の補助ではなく、木造住宅の耐震化の枠です。後半の「解体費の補助が使えなかった人へ」で書きます。
解体費の補助が使えなかった人へ|建て替えるなら、もうひとつ枠があります
ここまでは「壊すこと」に対する補助の話でした。ここからは別の制度です。
山梨には、木造住宅の耐震化という枠組みの中に、古い家を壊して同じ敷地に建て直す工事を対象にした補助があります。壊す費用も、この工事費の中に含めて見てもらえます。解体補助の一覧には出てこないので、探しても見つかりません。
先に、使えない人をはっきり書きます。
更地にして売りたい人、駐車場にしたい人、跡地に何も建てない人は対象外です。要綱の言葉は「既存住宅を除却し、同一敷地内に住宅を新築する工事」となっています。
壊すところで止まる予定なら、この枠は使えません。前の章までの解体補助を当たってください。

そのうえで、建て替えるつもりがある方に中身を書きます。
「1,437,500円」は、必ず出る額ではありません
山梨県が公開している一覧(山梨県住宅関連事業補助制度一覧・令和8年度版)を見ると、建替の限度額は27市町村すべてで1,437,500円です。13市も全部この額。ただし、この数字の意味に注釈がついています。
原文はこうです。「改修及び建替えの補助金については、耐震改修工事費(建替えについては、耐震改修相当費と建替えに要する費用を比べて低い方)が限度となり、限度額までは100%補助。」
つまり、その家を耐震改修したらいくらかかるかを先に算定して、それと建て替え費用を比べた低いほうが上限になります。1,437,500円はその上に乗る天井であって、必ず届く額ではありません。金額だけ見て建て替えを決めないでください。
逆に、限度額の範囲内なら全額補助(100%)と書かれています。ここは大きい。
どこまで確認したかも書いておきます。
13市のうち笛吹市・山梨市・上野原市・北杜市・大月市・富士吉田市・甲州市の7市は、市の交付要綱の条文まで開いて、「既存木造住宅を除却し、同一敷地内に住宅を新築する」という定義と限度額1,437,500円を確認しました。
残る6市(甲府市・都留市・韮崎市・南アルプス市・甲斐市・中央市)は、県の一覧に同じ額の枠があるところまでの確認です。要綱の書きぶりは市ごとに違うので、窓口で対象工事の定義を聞いてください。
誰が使えるかは、市によってバラバラです
ここがこの枠のいちばん大事なところです。空き家のままで使えるかどうかが、市で分かれます。
- 甲州市:住宅の側に居住の要件がありません。使えるのは「所有者又は当該住宅に居住する者」と「所有者又は居住者との関係が3親等内の親族」で、あわせて市税等の滞納がないこと(甲州市木造住宅耐震改修等事業費補助金交付要綱 第2条第1号・第3条第1項)
- 上野原市:要綱に居住の要件の明文がありません。住宅の定義は「長屋及び共同住宅以外の個人所有の住宅(借家を除く。)」まで、対象者は「既存木造住宅を所有する者」「市税等を滞納していない者」の2つだけです(上野原市木造住宅居住安心支援事業費補助金交付要綱 第2条第2号・第3条)
- 山梨市:住宅の定義が「居住している又はこれから居住する住宅」なので、これから住む場合も対象です。申請できるのは所有者または所有者の三親等以内の親族(賃貸借契約等による使用形態でないもの)(第2条第1号エ・第3条第1号)
- 富士吉田市:原則は「その個人が居住しているもの」とされています。ただし、賃貸ではなく、主に住んでいる人が所有者の3親等内の親族であることを書類で確認できれば対象になります(第2条第1号ア)
- 北杜市:住宅の定義は所有者の居住が原則ですが、ただし書きがあります。「当該住宅に居住している者が所有者の3親等以内の親族の場合で、賃貸借契約等による使用形態でないときは、この限りでない」(第3条第1号)
- 笛吹市:住宅の定義そのものに「その個人が居住しているもの」と書かれています。建替えの申請者には例外があり、建替え後の住宅を所有する人も、既存住宅の所有者と建替え後の家に同居する場合に限って申請できます(第2条第1号ア・別表第1)
- 大月市:住宅の定義は「その個人が居住しているもの」です。申請できるのは所有者、または建替え後の住宅を所有する人(既存住宅の所有者、または同居する者に限る)。要綱の本文に「親族」「親等」という言葉が一度も出てきません。他市のような3親等の例外はない書き方です(第2条第1号ア・第3条)
- 都留市:市のページと要綱で書いていることが違います(次の見出しで書きます)
並べてみると、空き家のままで手が届きそうなのは甲州市と上野原市、これから住むなら山梨市、という順になります。親族が住んでいる家なら、北杜市・富士吉田市のただし書きが効きます。
残る5市(甲府市・韮崎市・南アルプス市・甲斐市・中央市)は、今回は要綱の条文まで確認できていません。ここまで市で割れる以上、他所の市の話を自分の市に当てはめないでください。
実家が空き家になっている方は、金額より先に、ここを電話で聞いてください。
聞き方はこれで十分です。「今は誰も住んでいないのですが、建て替えるなら対象になりますか」
この一言で、動く価値があるかどうかが決まります。
もう2つ、要綱を読んで分かったことがあります。どちらも書き方が市でちがうので、そのまま写します。
- 土砂災害特別警戒区域のあつかい。笛吹市は「建替後の住宅が、土砂災害特別警戒区域において新築するもの」を対象としないと、はっきり書いています。山梨市は「建替えの場合は、原則として土砂災害特別警戒区域外に存すること」という書き方で、原則という言葉が入ります。山あいや斜面の集落なら、自分の土地がどちらの区域かを先に確かめてください
- 順番。笛吹市の要綱は「事業に着手する前に」申請すること(第4条)、着工は「交付の決定後」(第7条)と定めています。山梨市も申請は着手前です。契約の時期そのものを定めた条文は、今回読んだ7市の要綱の中には見当たりませんでした。ただし北杜市の案内ページには「工事着手(仮契約・本契約を含む)」、甲州市の案内ページには「補助金交付決定前に工事請負契約等を締結した場合は補助対象外」と書かれています。要綱に無くても、市の運用としては契約の時点を着手とみなすということです。解体業者を先に押さえたくなるところですが、順番は変えないでください
お金の出方が違う市が3つあります(北杜・上野原・甲州)
県の一覧には「工事費委任払制度」という欄があって、13市のうち北杜市・上野原市・甲州市の3市だけが×になっています(残る10市は○)。
委任払いが使えると、補助金にあたる分は市から業者へ直接払ってもらえます。使えないと、いったん工事費の全額を自分で用意して払い、あとから補助金を受け取る流れになります。額が額なので、この3市では資金の準備の仕方そのものが変わります。見積もりを取る前に、支払いの流れを窓口で確かめてください。
今年度使えるかどうかが読み切れない市(大月・都留・上野原)
正直に書きます。この3市は、公開されている情報だけでは「受付中」とも「終了」とも書けませんでした。
- 大月市:市のページ(更新日2025年5月21日)に「令和7年度は予定件数に達したため受付終了。今年度の事業実施予定はございません」とあります。いっぽう、県の一覧(令和8年度版)には大月市の建替1,437,500円が載っています。令和8年度分の受付開始や締切は、市のサイトで見つけられませんでした。建設課(0554-20-1852)へ
- 都留市:食い違いが3つあります。金額は、市の一覧(令和8年4月1日現在)と県の一覧が1,437,500円、例規集の要綱は「5分の4以内・100万円限度」となっています。ただし例規集は令和5年5月19日内容現在の古い写しです。期間は、市のページが「令和8年度まで」、要綱の附則が「令和6年3月31日限り失効」、市の令和8年度の一覧には現行として掲載、と3つに割れています。居住の要件も、市のページ(所有者または3親等以内の親族が居住/これから居住も可)と要綱(その個人が居住)で違います。金額も期間も条件も、建設課(0554-43-1111 内線136)で確かめてから動いてください
- 上野原市:同じ更新日(2024年4月1日)の市の2つのページで、125万円と1,437,500円という別の金額が書かれています。要綱と県の一覧は1,437,500円です。両方あることを承知のうえで、建設課(0554-62-3123)へ
どちらが正しいと決めつけられる材料は、こちらにはありません。数字が割れているという事実だけをお伝えします。
13市の窓口(耐震の担当課)
県の一覧(令和8年度版)に載っている、木造住宅の耐震化の担当課です。解体の窓口とは別の課になっている市が多いので、そのまま使ってください。
- 甲府市:建築指導課 055-237-5828/富士吉田市:都市政策課 0555-22-1111/都留市:建設課 0554-43-1111(内線136)/山梨市:都市計画課 0553-22-1111
- 大月市:建設課 0554-20-1852/韮崎市:移住定住促進課 0551-45-7634(内線246)/南アルプス市:管理住宅課 055-282-6397/北杜市:土地政策課 0551-42-1361
- 甲斐市:建築住宅課 055-268-2336/笛吹市:まちづくり整備課 055-261-3334/上野原市:建設課 0554-62-3123/甲州市:都市整備課 0553-32-5072/中央市:建設課 055-274-8553
がけや急斜面のそばの家なら、もうひとつ
上野原市には、がけ地近接危険住宅移転事業補助条例(平成17年条例第175号)が、現行の例規として載っています(内容現在は令和8年5月28日)。危険住宅の除却等に1戸あたり50万円、移転先の建物の費用の利子相当に165万円、土地の費用に50万円という組み立てです。
ただし、市の建設課と生活環境課の掲載ページを2026年8月8日に全部見ましたが、市民向けの案内ページは見つけられませんでした。「制度が無い」とは書きません。条例はある、案内は見つからない、という状態です。建設課の都市計画担当(0554-62-3123)へ確かめてください。
この種の制度は、全国的には「そこに現に住んでいる人が危険な場所から移る」ための枠で、空き家では使えないことが多いものです。
ただし、除却だけでも使えると明記している市も他県には実在します。使えるかどうかは市ごとに違うので、山梨県内で一括りにはできません。山梨のほかの市については、今回は確認できていません。
都留市にもうひとつ、個人が使える除却の枠
都留市には、管理不全空家等地域活性化除却事業補助金(平成29年告示第25号)があります。補助率は5分の4。前の章で触れた「空家等活用地域活性化拠点整備事業」が自治会やNPO法人向けだったのに対して、こちらは個人の所有者・相続人・敷地の所有者が対象です。
ただし条件があります。跡地を自治会等へ10年以上、無償で貸すことです。売りたい人には向きません。
もうひとつ、状態を正直に書きます。この制度は市の例規集(令和5年5月19日内容現在)には載っていますが、市が出している令和8年4月1日現在の補助制度の一覧には載っていません。今年度使えるかどうかは、こちらでは確定できませんでした。地域環境課(0554-43-1111)へ。
※この章は、山梨県住宅関連事業補助制度一覧(令和8年度版)を2026年8月9日に、各市の交付要綱・例規集・市の公開ページを2026年8月8日に照合しています。年度と予算で変わるため、申請の前に必ず各市の窓口でご確認ください。
県の一覧と市の公式が、少しずれている
山梨県は、市町村の空き家補助を一覧にしたPDFを公開しています。「市町村における空き家対策関連の補助制度一覧表」で、令和8年4月1日現在の内容。除却の補助だけを抜き出した表もあって、当たりをつけるにはとても便利です。
ただ、この一覧と市の公式を突き合わせると、合わないところが2種類ありました。隠さずに書きます。
ひとつめ。県の一覧には載っているのに、市の公開ページで見つけられない制度があります。甲府市特定空家等除却費助成金交付要綱(2分の1・限度額100万円)と、富士吉田市特定空家等除却費補助金交付要綱(同)の2つです。甲府市は空き家関係の25ページ、富士吉田市は担当課の都市政策課をふくむ3つの課の86ページを見ましたが、この2つの案内は見当たりませんでした。一覧は令和8年4月1日現在、こちらの照合は2026年8月1日時点です。どちらが正しいと決めつけられる材料はこちらにはないので、特定空家等に認定されている家をお持ちなら、甲府市は空き家対策課、富士吉田市は都市政策課へ直接聞いてください。一覧に要綱名まで載っている以上、電話で聞く価値はあります。
ふたつめ。金額の見え方です。県の一覧は代表的な内容を整理したものと断り書きがあり、上限額だけが載ります。たとえば甲府市は80万円、大月市は50万円と書かれていますが、市の公式を開くと甲府市は区域によって50万円から80万円、大月市は区域の外だと10万円が限度でした。一覧の数字は「いちばん良い場合」だと思って読むのが安全です。
結論はひとつ。県の一覧は制度の名前を拾うところまでにして、金額と受付は必ずその市町村の公式か窓口で確かめてください。
この記事にない町村にお住まいなら
山梨県は13市8町6村の27市町村です。この記事では13市を全部見ましたが、町村にも制度があります。県の除却の一覧に載っているのは、市川三郷町・早川町・身延町・富士川町・昭和町・鳴沢村・小菅村・丹波山村の8町村。市に見劣りしません。
とくに鳴沢村は、村が認める老朽空き家等を対象に補助率3分の2・限度額100万円と一覧に書かれていて、率だけなら個人が使える市の制度(補助率が書かれている市はどこも2分の1まででした)を上回ります。市川三郷町は危険空き家なら50万円、老朽空き家なら10万円と、区分で分かれる書き方です。ただしどれも一覧の記載なので、実際の条件と今年度の受付は町村の窓口で確かめてください。
探し方はかんたんです。「町村名+空き家 解体 補助金」で検索して、町村の公式ページだけを見ること。まとめサイトは年度が古く、いまは受付が終わっている制度を受付中のまま載せていることがあるためです。
山梨県(県庁)としての一律の解体補助はありません。県の役割は、空き家対策の全体方針づくりや相談の案内、市町村の制度をまとめて紹介すること。県は専門家に相談できる「やまなし空き家相談手帳」も配っています。ただ、解体費そのものの補助があるかどうかは、家がある市町村の窓口が出発点です。全国の主要都市の傾向は解体補助金の主要都市まとめで「3つの型」に整理しています。
どの市町村でも共通の鉄則
- 工事を始める前に、まず市町村に申し出ること。制度のある12市のうち、交付決定より前に着手した工事は対象外だと市の公式(ページまたは交付要綱)に書いていたのは10市でした。書き方は「着手後の申請は一切認められません」(富士吉田市)から「必ず工事・処分開始前の申請を」(韮崎市)までいろいろですが、向きは同じです。残る2市(甲州市・大月市)は、今回見た範囲では着手の時期をはっきり書いた文が見当たりませんでした。ただ大月市のページには、解体工事前に必ず相談を、と書かれています。順番を自己判断で決めず、先に窓口へ聞いてください。先に業者と契約してしまうのが、いちばんもったいないつまずき方です
- 山梨は「壊したあとどうするか」を先に決めておくと早い。12市のうち6市は、売る・貸す・建てるという次の予定が条件に入っています。更地のまま持つつもりなら対象になる市は限られますし、逆に売る予定があるなら、先に市の空き家バンクへ相談したほうが金額が伸びることもあります。解体業者を探すより前に決めることです
- 頼む業者にも条件があります。多くの市が建設業法の許可か建設リサイクル法の登録を求めていて、そのうえで市内の業者に限る市が大半でした。都留市のように、市内か市外かで上限額そのものが変わる市もあります。相見積もりはぜひ取ってほしいのですが、比べる相手は条件に合う業者どうしにしてください。見積もりをもらったら許可番号や登録番号を聞いて構いません。きちんとした業者なら、聞かれて嫌がることはまずありません
- 家財道具の処分費は、解体の補助とは別枠のことが多いです。山梨は家財処分の補助を用意している市町村が多いのですが、その多くは空き家バンクの登録物件が条件。長く空いていた実家ほどここが膨らむので、解体の見積もりを取るときに残置物の処分費がいくら乗っているかは必ず分けて聞いてください
- 枠には限りがあります。南アルプス市は年100件予定の先着順、笛吹市と都留市は予算に達した時点で締切。受付期間が残っていても、予算や件数に達すればそこで終わります
- 更地にすると土地の固定資産税が上がる場合があります(住宅用地の特例が外れるためです)。笛吹市のページにも、建築物を除却することにより翌年度から土地にかかる固定資産税が増額になる場合があると書かれています。解体のタイミングは、税金や売却の予定とセットで、税の窓口にも確認しながら考えるのが安全です
解体は、補助が使える・使えないにかかわらず、業者によって金額の差がとても大きい工事です。差を生むのは家そのものより、まわりの条件。前の道が細くて重機が入らない、隣家との隙間がない。そうなると手壊しの割合が増えて、日数も人手も膨らみます。山梨は斜面や谷沿いの集落も多いので、ここは効きます。2〜3社の相見積もりで内訳(本体・付帯・処分費)を比べると、同じ工事でも数十万円変わることは珍しくありません。相場は家の解体費用の相場と補助金の記事にまとめています(木造なら30坪で90〜150万円ほどが目安です)。
▶ 解体費の内訳(本体・付帯・処分費)を並べて比べるなら:解体工事見積りnet(解体業者の相見積もり・無料)が使えます。(※各市町村の補助を使う場合は、見積もり先や契約のタイミングが制度の条件に合うかも確認してください)
▶ 解体でなく「直して住む・貸す」なら、リフォーム費用を無料で比較
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よくある質問
山梨県(県庁)としての解体補助金はないのですか?
解体費への一律の県補助はありません。県の役割は、空き家対策の全体方針づくりや相談の案内、市町村の支援制度の一覧づくりが中心です。解体費そのものの補助は、家がある市町村の制度を調べてください。まず自分の市町村の空き家・建築・住宅・都市整備の担当課が出発点になります。
空き家バンクに出す気はありません。それでも使える市はありますか?
あります。2026年8月1日時点で公式を確認した範囲では、富士吉田市・甲斐市・笛吹市・上野原市・都留市・南アルプス市の6市は、バンクへの登録や売買契約を条件にしていませんでした。傷んだ空き家を減らすための制度なので、家の状態のほうが問われます。ただし市ごとに評点や築年の条件があるので、対象になるかは市の判定次第です。
北杜市に実家があります。本当に解体の補助はないのでしょうか?
2026年8月1日時点で北杜市の公式ページを11ページ見た範囲では、解体費への補助は見当たりませんでした。空き家等の取組のページにも、空き家バンクの補助のページにも載っていません。制度は年度ごとに変わるので、最新の扱いは土地政策課(電話0551-42-1361)に確認するのが確実です。あわせて、空き家バンクに登録すれば家財処分やリフォームの補助が使えることがあるため、売る・貸す方向なら相談する価値があります。なお、壊した跡地に自分で家を建て直すつもりなら、耐震化の枠に建替えの補助(限度額1,437,500円・ただし耐震改修相当費と建替え費の低いほうが上限)があります。窓口は同じ土地政策課です。
解体すると固定資産税が上がると聞きました
土地の固定資産税が上がる場合があります。家が建っていると土地に「住宅用地の特例」が効いており、更地にするとその特例が外れるためです。笛吹市のように、翌年度から増額になる場合があると明記している市もあります。解体のタイミングは、税金や売却・活用の予定とセットで、税の窓口にも確認しながら考えるのが安全です。実家をどうするか全体で迷っているなら実家が空き家になったらどうするかもどうぞ。
まとめ
- 山梨県の解体補助は市町村ごとで、県の一律制度はない
- 県内13市のうち、解体・除却の補助を市の公式で確認できたのは12市。見当たらないのは北杜市だけ(2026年8月1日時点)
- ただし12市は3つに分かれる。壊すこと自体が対象は6市(富士吉田・甲斐・笛吹・上野原・都留・南アルプス)、空き家バンクに出すのが前提は5市(甲府・山梨・韮崎・甲州・中央)、跡地に家を建てるのが条件は1市(大月)
- 上限は100万円が5市(笛吹・富士吉田・中央・韮崎・甲州)。ただし後ろの3市は売買とセットで、額の大きさと使いやすさは別
- 変わり種は都留市(市内業者60万円・市外業者30万円)と大月市(誘導区域内50万円・区域外10万円)、そして南アルプス市(一律10万円・年100件の先着)
- 県の一覧(令和8年4月1日現在)は上限額だけが載る。金額と受付は必ず市町村の公式で確かめる
- 解体費の補助とは別に、同じ敷地に建て直す人だけが使える枠が耐震化のほうにある(更地にする人・売る人は対象外)。限度額は1,437,500円だが、耐震改修相当費と建替え費の低いほうが上限。空き家のままで使えるかは市でバラバラ
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